シニア女性向け月刊誌「ハルメク」と関連する通販事業を展開する株式会社ハルメクホールディングスが東証グロース市場に3月23日に上場することが承認されました。想定売出価格1550円から算出される想定時価総額は約158億円、最大36億円を調達します(一の部)。
ハルメクは1989年にユーリーグ株式会社として設立。50代以上の女性が「いきいきと生きること」を支援することを目指し、雑誌「いきいき」や関連する通販事業を営んできました。一方、不動産・株式投資や自社倉庫・システムへの投資が嵩み、2009年に民事再生法の適用申請を行い、ファンドのJ-STARの傘下による再建が始まりました。その後、ノーリツ鋼機が買収し、2018年には経営陣によるMBOが行われ、現在は経営陣や従業員が保有する会社となっています。
ハルメクの2022年3月期の連結業績は売上高252億3300万円、税引前利益で11億7200万円となっています。また、2023年3月期の第3四半期までの業績(9ヶ月間)は売上高229億6600万円、税引前利益は20億0900万円と大きく成長しています。
中核の「ハルメク」は定期購読のみの販売ですが、雑誌の部数としてナンバーワンの規模を誇り(50万部、ABC調査)、共感を持ってくれる読者に対して、特集と連動したオリジナル商品の販売、講座や旅行企画の販売などに広げていっているのが特徴。ウェブサイトの「ハルメク365」では無料の記事を毎月約230本掲載し、2022年7月には641万PV、278万UUを記録しています。さらにウェブでも動画や記事、講座などを有料でも提供開始しています。
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直近では、シニア市場に進出したい企業向けのマーケティング支援を行うハルメク・エイジマーケティングを2018年に設立、血液と尿からがん・成人病のリスク検査ができる「おちでドック」を提供するハルメク・ベンチャーズを2014年に設立、「ハルメク 介護と住まいの相談室」というシニア住宅サポート事業を2022年に開始など、シニア領域で多角化を積極的に図っています。
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メディアや広告は厳しい環境下にありますが、雑誌が祖業とはいえ、これから成長市場と見られるシニア向け市場をがっちりと掴んでいて、事業自体も成長中であるハルメクがどのような評価を市場から受けるのか期待されます。メディアの360度展開の成功例でもあり、上場し様々な情報開示がされていくことは悩んでいるメディア関係者にとっても有益なものになりそうです。