CARTA HOLDINGS、NTTドコモによる公開買付に賛同 電通とドコモの合弁会社に

2025年6月16日、株式会社CARTA HOLDINGSは、NTTドコモによる同社株式および新株予約権を対象とした公開買付け(TOB)の開始予定に対し、賛同の意向を表明しました。また、同時にNTTドコモおよび電通グループとの三者間で業務資本提携契約を締結したことも明らかにしました。

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CARTA HOLDINGS、NTTドコモによる公開買付に賛同 電通とドコモの合弁会社に

2025年6月16日、株式会社CARTA HOLDINGSは、NTTドコモによる同社株式および新株予約権を対象とした公開買付け(TOB)の開始予定に対し、賛同の意向を表明しました。また、同時にNTTドコモおよび電通グループとの三者間で業務資本提携契約を締結したことも明らかにしました。

CARTA HOLDINGSは、今回の公開買付けが開始された場合、株主および新株予約権者に対して応募を推奨する方針であり、同社の株式は将来的に非公開化される予定です。TOB価格は普通株式1株あたり2,100円とされており、現行株価に対してプレミアムが付けられています。

本件の背景には、デジタルマーケティング事業の環境変化と、それに対応する体制強化の必要性があります。CARTA HOLDINGSは、デジタル広告の高度化、プライバシー対応、生成AIの導入などを軸に事業構造の再編を進めており、電通グループ傘下での戦略的推進が続いていました。一方、NTTドコモはdポイントクラブを起点としたマーケティングのトータル支援体制「Single ID Marketing」の強化を進めており、今回の買収はその一環と見られます。

注目すべきは、TOB完了後の組織体制です。電通グループが所有する株式はTOBには応じず、CARTA株主として継続。一方、NTTドコモはD2C(こちらも電通とドコモの合弁)を含むグループ企業との連携を深め、CARTAの広告配信機能・データ分析基盤と統合。三者連携により、データドリブンなマーケティング支援の統合基盤を構築するとしています。

また、買収後は段階的に株式交換や株式併合、自己株式取得などを経て、最終的にCARTA HOLDINGSの全株式をNTTドコモおよび電通グループが保有し、上場廃止となる見込みです。最終的に電通グループが53.13%、ドコモが46.87%を所有する形となります。

CARTA HOLDINGSのAI活用や広告技術、運用ノウハウと、NTTドコモが保有する生活者データ基盤、そして電通グループのブランド戦略支援力が融合することにより、オンラインとオフラインを横断する次世代マーケティングソリューションの展開が期待されます。

デジタルメディア業界においては、媒体社にとって広告主への統合的ソリューション提供能力の向上がますます求められる中、本件はメディア×通信×広告の三位一体型モデルとして注目すべき事例となりそうです。

《Manabu Tsuchimoto》

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デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの事業統括やM&Aなど。メディアについて語りたい方、相談事など気軽にメッセージください。

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