ニューヨーク・タイムズの会長兼発行人であるA.G.サルツバーガー氏が、2026年6月1日にマルセイユで開催されたWAN-IFRA(世界ニュースメディア会議)の基調講演に登壇し、AI企業による報道コンテンツの無断利用を「前例のない規模の知的財産の大胆な窃盗」と強く批判しました。講演のタイトルは「AI、ジャーナリズム、そして公共の広場の不確かな未来」で、パブリッシャーが取るべき防御策と自律的なレジリエンス戦略の両面を提示する内容でした(The New York Times Company)。
サルツバーガー氏はAIモデルの構成要素を「人材、計算資源、エネルギー、データ」の4つに整理しました。前者3つには対価が支払われる一方、「データ」にあたる著作権で保護されたジャーナリズムなどのコンテンツは同意も補償もなく取得されていると指摘しています。主要AI企業6社の時価総額合計は11兆ドルに達し、フランスのGDPの3倍以上です。米国におけるAI民間投資は2025年に約3,500億ドルに達し2026年も加速していますが、データを生み出す人々や企業への還元はその0.5%未満にとどまるとのことです。
また、一部の人気大規模言語モデルの学習に使われたデータセットにおいて、上位10サイトのうち5つがニュースパブリッシャーであり、ニューヨーク・タイムズは独自データの最大の供給源だったと述べています。「OpenAI」自身が、著作権で保護された素材なしに現在の主要AIモデルを学習させる事は不可能だと認めている点も引用されました(WAN-IFRA)。

