株式会社ZUUは2026年8月12日、2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結決算を開示しました。売上高は807百万円で前年同期比41.8%増となり、営業利益は78百万円、EBITDAは120百万円と、前年同期の営業損失203百万円から黒字に転換しました。詳細は決算短信と決算説明資料で確認できます。

同社は2027年3月期を「グロース&ファイナンス一気通貫プラットフォームの本格収益化フェーズ」と位置づけ、前期に進めた構造改革の成果を業績に結実させる取り組みを進めています。今期からは従来の「フィンテック・トランザクション事業」を「ファイナンスセグメント」、「フィンテック・プラットフォーム事業」を「グロースセグメント」へ名称変更し、事業ポートフォリオの再定義を行いました。

ファイナンスセグメントが業績を牽引
ファイナンスセグメントは売上高532百万円(前年同四半期比102.7%増)、事業利益289百万円を計上しました。資金調達支援や資産運用コンサルティングを中心に、中小・中堅企業向けの金融トランザクション収益が伸長しました。累計調達支援額は約279億円(前年同期比55.5%増)、預かり資産運用額(AUM)は約562億円(同18.6%増)、金融取引流通総額(GMV)は約76億円(同881.2%増)と、主要KPIが軒並み増加しています。同社は既存金融機関が対応しにくい成長ステージ企業へのリスクマネー供給ニーズの高まりを背景に、大型案件組成を中心とした高粗利収益の積み上げを進めています。

グロースセグメントは事業再構築の途中
一方でグロースセグメントの売上高は275百万円(前年同四半期比10.3%減)となり、営業損失41百万円を計上しました。前期に送客事業を合弁会社化した影響で事業構成が変化したほか、2026年4月1日付で議決権70%を取得し連結子会社化した株式会社グローバルマーケティングについても、既存事業の再構築過程における収益の一時的な落ち込みが影響しました。同社はグローバルマーケティング社をデジタルマーケティング領域の中核企業として位置付け、コンサルティングとデジタルマーケティングを融合させた提供価値の磨き込みと、クロスセル推進による収益改善を図るとしています。

背景には、インターネット広告市場が2025年実績で前年比111.8%の3兆3,093億円に達し、2026年には3兆5,840億円への拡大が見込まれるという市場環境があります。加えて中堅・中小企業においてAI活用・DX推進が経営課題として広く認識される一方で大企業との導入格差が拡大しており、同社は自社の経営コンサルティング・デジタルマーケティング支援へのニーズが高まっているとの認識を示しています。
費用構造の改善とガバナンス対応
販管費は587百万円(前年同期比17.9%増)となったものの、売上高の伸長により売上高販管費率は87.5%から72.7%へ14.8ポイント改善しました。人件費・業務委託費の増加を伴いながらも、収益力の質的な転換が進んでいることがうかがえます。
また、同社は2026年3月19日に発生した資金流出事案(96百万円)について、外部専門家による特別調査を踏まえた再発防止策を実施したことも明らかにしています。送金承認プロセスの抜本的見直し、経理部門の人員増強、内部監査機能の強化などに着手し、ガバナンス体制の再構築を進めています。
通期業績予想と今後の方向性
通期の業績予想については、売上高2,949百万円(前期比11.6%増)、営業利益53百万円、経常利益440百万円、親会社株主に帰属する当期純利益10百万円を見込んでおり、直近の公表からの修正はありません。配当は無配を継続する方針です。
同社は「機会格差を解消し、持続的に挑戦できる世界へ」というパーパスのもと、ファイナンスセグメントで積み上げた収益基盤を土台に、グロースセグメントの事業再構築を進める方針を示しています。両セグメントを一気通貫でつなぐプラットフォームとしての収益化フェーズにおいて、グローバルマーケティング社を軸としたクロスセルの進捗が今後の焦点となりそうです。






