富士山マガジンサービスは2026年9月7日、連結子会社の株式会社Fujisan Academia Groupを通じて、九州地盤の学習塾グループ「Vネットホールディングス」傘下事業の譲受契約を締結したと発表しました。対象は株式会社受験Vアカデミーが運営する学習塾事業部門、株式会社Vネットワールドが展開するシェーン英会話教室事業、株式会社ブイ管理システムが管理する学習塾テナント管理事業の3事業です。
2026年6月30日に公表した基本合意書に基づきデュー・ディリジェンスと交渉を進め、事業譲渡契約書の締結に至りました。事業譲渡期日は2026年10月1日を予定しています。詳細は同社の適時開示資料で確認できます。
株式会社受験Vアカデミーは福岡地域を中心に20拠点の学習塾を展開しており、姉妹塾の明光義塾九州は今回の譲渡対象には含まれていません。株式会社Vネットワールドが運営するシェーン英会話教室事業も福岡を拠点としており、あわせて教室のテナント管理事業も譲受の対象となります。譲受価額は相手先の要請により非公表としていますが、東京証券取引所が定める適時開示の軽微基準の範囲内であるとしています。
医学部受験サービスの全国展開を見据えた布石
富士山マガジンサービスグループは2024年に学習塾事業へ進出し、M&Aを重ねることで横浜、センター北、大阪・茨木市、首里に校舎を設けてきました。2026年5月には市ヶ谷に医学部専門の校舎も開設しており、事業領域を段階的に広げてきた経緯があります。
今回の事業譲受により、対象事業部門に通塾する生徒に対し、同社グループが2026年から始めたオンラインによる医学部受験生向け個別指導プラン「精鋭オンライン」の展開を加速させる狙いがあります。加えて、医系学部や難関大学を目指す生徒向けの夏期合宿、現役医学部大学生チューターによるオンライン自習室、医学部・獣医学部向けの大学別直前対策授業といった同社グループの強みとする付帯サービスを、譲受先の生徒にも提供できる体制を構築する方針です。
注目されるのは、これらのサービスを自社の校舎展開にとどめず、全国の地元密着型の学習塾や自習室を運営する事業者向けにフランチャイズ展開するためのサービスモデル確立を目指すとしている点です。単なる校舎数の拡大ではなく、コンテンツやオンライン指導のノウハウを外部の塾事業者に提供する仕組みづくりを進める方針と読めます。
また、株式会社受験Vアカデミーがシステム提供を受けている学習塾向け管理システムを開発する株式会社e-siaに対しては、出資やシステム事業の譲受の可能性について、引き続き協議を継続していく予定としています。学習塾の運営面だけでなく、業務システム領域にも関与を広げる可能性があります。
業績への影響は軽微、会計処理は精査中
譲受対象となる株式会社受験Vアカデミーの学習塾事業は2025年11月期において売上高2億9813万円、営業利益791万円を計上しています。一方、株式会社Vネットワールドが展開するシェーン英会話教室事業は2026年3月期で売上高1億1852万円に対し、営業利益は1068万円の赤字となっており、収益構造には差があります。譲受対象資産は敷金・保証金や建物附属設備など合計9670万円で、2026年5月末時点の内容から一部縮小されています。
本件は企業結合会計上の「取得」に該当し、取得原価の配分やのれん・無形固定資産の償却期間は現在精査中としています。同社は2026年12月期の連結業績に与える影響は軽微であると見込んでいますが、適時開示基準には該当しないものの投資家にとって有用な情報と判断し、任意開示を行ったとしています。

