ブロックチェーンに特化した投資ファンド「gumi Cryptos」の組成、個人がトークンを発行できる『FiNANCiE』のサービス開始、ブロックチェーンゲームを開発するdoublejump. tokyo株式会社との資本業務提携など、ブロックチェーン領域に積極的な姿勢を見せる株式会社gumi。これらを陣頭指揮する、同社創業者で代表取締役会長CEOの國光宏尚氏に、同社の取り組みと、ブロックチェーンのこれからについて聞きました。

―――ブロックチェーン技術に関心をもたれたのは、いつごろになりますか?

投資ファンド「gumi Cryptos」を組成したのがおよそ1年半前で、多少遅めでした。僕らのビジョンは新しいテクノロジーにまっさきに挑戦していって、そのテクノロジーでなければ実現できない新しいエンタテインメントを生みだしていくこと。これまでの事業を振り返ってみても、ガラケーが出たときに他社に先駆けてソーシャルゲームを作りました、スマートフォンが出たときも、スマホならではのゲームを作りました。2015年くらいから、VRやAR領域への投資やコンテンツ開発を始めました。ただ、ブロックチェーンについては、そこまで興味がありませんでした。VRが忙しかったですしね(笑)

もっとも、その頃からブロックチェーンに注目する友人が増えてきたので、我々も調べ始めました。そして、次第に「これはかなりおもしろいぞ」とハマっていきました。

―――ブロックチェーンのテクノロジー的な魅力はどこにあると思いますか?

大きなビジネスチャンスはパラダイムが変わる瞬間におきます。そして新しいパラダイムは絶えず新しいテクノロジーが生み出していきます。2007年から10年間はスマートフォンの時代でした。そこで成功した会社はシンプルで、スマホファーストを実践したところです。スマホならではのUI/UXや、スマホならではのコンテンツをいちから作ったところですね。メルカリやLINE、スマートニュースが好例です。逆に既存のコンテンツやサービスをスマホに移植したところは、だいたい失敗しています。

ブロックチェーンについて調べていくと、ブロックチェーンでなくてもできることを、わざわざやっているところが多いなあと思うようになりました。大切なことは「ブロックチェーンならでは」という部分を見つけて、そこに特化したUI/UXなり、体験なりを作っていくことです。その上で僕らは「ならでは」の部分が、大きく3つあると思っています。もっとも、これから増えるかもしれませんけどね(笑)

―――それは気になります。

第1にトラストレス(信頼の担保が不要)で自律的に動く、ディセントラライズド(非中央集権)なネットワーク構造です。たとえばビットコインには、通貨としての信用保証をしている人なり組織なりが存在しません。日本円だと日本政府、楽天ポイントなら楽天といった具合に、これまでの通貨は信用保証とセットでした。でもビットコインは信用を担保している人がいません。これがトラストレスです。

では、ビットコインの信用はどこからくるのか。これを行っているのがマイナーと呼ばれる人たちです。マイナーは人から頼まれているわけでもないのに、自分の利益のために、自律的にマイニングしています。中央集権的ではなく、きわめて非中央集権的です。この特徴はプロトコルとか、インフラ側プロジェクトに活きてきます。

次に2つめですが、ブロックチェーン技術を使うと、デジタルデータをコピーできなくなります。つまり、デジタルデータに資産価値を持たせることができるようになります。ビットコインの例で言えば、あれってただのデジタルデータですよね。にもかかわらず資産価値を持っている。なぜなら、コピーできないからです。これによって既存のインターネット産業が大きく変わります。

歴史を振り返ると、メディアやエンタテインメントビジネスは、もともとデータを売っていました。ゲームでも音楽でもデータを円盤に焼き付けて売っていたんです。ところがインターネット時代になって、コピーが自由になると、誰もデータを買ってくれなくなりました。そこで、各社サービス業になったんです。ゲームも基本無料で配信して、運用などのサービスで対価をもらうようになりました。SpotifyやNetflixも同様で、利用者はコンテンツ自体ではなくて、自分の聞きたい音楽や視聴したい映像に出会えるというサービス体験に課金しているんですね。

しかし、ブロックチェーンによってデジタルデータが資産価値を持つようになると、話は変わってきます。これによって、それまで「情報のインターネット」だったものが「価値のインターネット」に変わります。これが第2の特徴で、コンテンツ側の新しさです。

最後に3つめの特徴ですが、俗にトークンインセンティブと呼ばれる、新しいインセンティブ設計が可能になったことですね。たとえばビットコインやイーサリアムは単純にいうとオープンソースなんですよ。だからLinuxやMySQLなどと本質的には変わりません。大きく違うのがトークンインセンティブの有無です。

LinuxなどのOSSの開発に初期から参加した人で億万長者になった人は殆どいません。その一方でイーサリアムの初期メンバーは全員が億万長者です。トークンインセンティブを設計したからです。もともとイーサリアムは若干19歳だったヴィタリック・ブテリンという若者の夢やビジョンに共感して集まった人たちでした。こうした人々がコードが書ける人、マイニングができる人、お金を出せる人、宣伝できる人といった具合に、それぞれの得意分野で改良を続けることで、利用者が増えていきました。これによって、トークンの価値がどんどん上がり、みんながハッピーになりました。

こんなふうにブロックチェーンでは、トークンという独自の仮想通貨を発行できます。それによってサービスを使う人が増えれば増えるほど、トークンの価値が高まります。これはスタートアップにおけるストックオプションに似ています。これが第3の特徴で、コミュニティ設計の新しさですね。

―――それぞれ、どのようなビジネスにかかわっていくのでしょうか?

最初の「トラストレスで自律的に動くディセントラライズド(非中央集権)なネットワーク」という点では、シリコンバレーのスタートアップの多くはみな、GAFAをディスラプトしようと動いています。

ビジネスとしてのインターネットがこれまで進めてきたのは、ひらたくいうと中抜きです。IT業界は中間業者を廃して、売り手と買い手を直接つなげることで利益を上げてきました。これをシリコンバレーではディスラプトと言ってきたんです。ただ、直接繋がることで、思わぬトラブルが発生する可能性がありますよね。そこで両者の中間に立って、トラストを提供する存在が必要になりました。これがプラットフォーマーです。メルカリもUberもAirbnbもアップルも、みんな同じ理屈です。

ただ、プラットフォーマーは一業種一社でいいんです。その結果、最終的にGAFAが支配する構造が産まれました。ただ、このトラストがブロックチェーンで担保されるようになると、プラットフォーマーそのものがディスラプトされる可能性がある。ここが大きなところですね。だからシリコンバレーのベンチャーは目の色を変えているわけです。僕らがアメリカで運用している投資ファンドgumi Cryptosも、GAFAをディスラプトしようとしている企業を中心に投資しています。

gumi Cryptosの投資ポートフォリオ

―――ブロックチェーンで個人と個人が直接取引できるようになると、企業の存在価値はどこに出てくるのでしょうか?

そこはビジネスモデルだけの話だと思いますね。これまでもインターネット時代になって、それまでデジタルデータを売ることに固執していた会社は、みな衰退していきました。これに対して変化に早く気がついて、サービス業に転換していった企業は、NetflixやSpotifyのように急速に成長しました。gumi Cryptosの例でいうと、THETAというトークンを発行しているTheta Networkがあります。ここがやろうとしているのは、クラウドサービスをディセントラライズドで実現することなんです。

たとえば企業が動画配信をする時、AWSなどのクラウドサービスを使いますよね。これに対してTHETAでは、個々人のPCやスマホで通信をしていない時間や空いている帯域を使って、P2Pで配信を行います。みんなが余っている帯域を束ねれば、クラウドがなくてもいいのでは? というのがコンセプトなんです。今後5Gになると、なおさら余っている帯域が増えていくと予想されます。

P2PはWinnyやBitTorrentのように、すでに枯れた技術です。にもかかわらず、これまで事業化が難しかったのは、利用者が利己的だったからです。自分が使う分にはいいけれど、他人に帯域を使わせるのは嫌だから、P2Pが成立しなかったんですね。これに対してTHETAでは帯域を使わせると、マイニングと同じようにトークンがたまります。空いた時間で自動的にトークンがたまっていたら、得ですよね。だったらみんな帯域を使わせるのでは、という発想です。これまで性善説では動かなかったものでも、みんなが利己的に動くことで機能するわけです。

gumi Cryptosの投資先の1つであるTHETAは、空いた帯域のシェアリングをトークンで実現しようとしている。

また、これまでの動画配信では、動画配信事業者がクラウド事業者にサーバ使用料を支払う一方で、一般のお客様から月額徴収をするというビジネスモデルでした。これに対してTHETAのような技術が一般的になると、動画配信事業者は動画を配信するとき、直接ネットワークに投げるだけですみます。これに対してみんながピアで繋がっているので、それぞれが空いているリソースを提供する。それによって動画が流れるわけです。その結果、今まではクラウド事業者に支払われていた代金が、協力したそれぞれのピアに少しずつお金が支払われることになります。配信に協力した何十万人、何百万人といった人々が、貢献度に応じて少しずつトークンが入っていくことになるんです。つまり、従来の売上や利益といった概念がなくなっていきます。

一方でP2Pといっても、どこかで大きなハブのようなピアができるはずなんですよ。ということは、このピアを回すために、ある程度おおきなピアを回す会社が出てくることが想像されます。それってビットコインのマイナーと同じなので、そこからマイニング収入も入っていきます。さらに動画を投稿する際のインターフェースが必要で、これも誰かが作る必要があります。さらに、こういったネットワークが広がっていくと、大手の動画配信事業者用に、高い安定性を備えたピアのネットワークを構築する事業者も出てくると思われます。

これって、昔のOSが辿った道を考えるとわかりやすいと思います。昔マイクロソフトがWindowsで市場を独占していました。そこに無料のLinuxが出てきました。Linux自体は無料なのですが、その一方でLinuxでさまざまなサービスを企業向けに提供するRed Hatが出てきたり、LinuxをベースにGoogleやFacebook、AWSができたり。そんなふうにLinuxではなく、その周辺でさまざまなビジネスが生まれてきました。だからブロックチェーンも儲けどころが変わっていくだけだと思います。音楽業界でもCDが売れなくなったかもしれないけれど、ライブは儲かっていますよね。AKBみたいに握手券を売ったり、グッズを売ったり。サブスクリプションも儲かっているし。そこに気づけない会社は、古いレコード会社、古いゲーム会社みたいになっていくんじゃないかな。

次にデジタルデータが資産性を持つようになると、『Minecraft』のようなゲームの中で作られた家や服などで、クオリティが高いものがあれば、それを直接トークンで売買できるようになります。モノの価値は基本的に需要と供給で決まりますよね。これまでデジタルデータに価値がつかなかったのは、供給量が無限大だったからです。これに対してバスキアなどの絵画に価値がつくのは、それが世の中で1つしかないからですよね。これによってネット上で経済圏を作り上げることができる。これが大きいんですよ。というのも、今までのインターネットはリアルな経済圏と連動するしかなかったんですよ。実際、ざっくりいうとインターネットのビジネスモデルって広告とコマースしかなかったんです。

これがネット上で経済圏が完結できれば、セカンドライフ的なものが本当の意味で完成します。僕らが作っているゲームでいえば、ゲームの中でモンスターを狩るのが得意な人は、延々とモンスターを狩って素材を売ればいいし、素材からアイテムを作るのが得意な人は、延々とアイテムを作って売ればいい。だから僕はVRとブロックチェーンが結びついたときが本格的な新時代が到来すると思います。僕らが『My Crypto Heroes』のdouble jump.tokyo株式会社に投資しているのも、こうした未来を見すえてのことです。そういう可能性があるのが、この二つ目の大きなところなのかなという感じです。

「 ゲームにかけた 時間も お金も 情熱も、あなたの資産となる世界 」を標榜するブロックチェーンゲーム『MyCryptoHeroes

最後のトークンインセンティブでは、スタートアップが社員にストックオプションを発行して会社の成功と個人の金銭的成功を一体化させることでウィン・ウィンの関係を築いたように、イーサリアムはオープンソースプロジェクトの関係者に、『My Crypto Heros』はゲームのユーザーに、「フィナンシェ」はオーナーがファンに対して独自のトークンを発行することでウィン・ウィンの関係を築くことができます。株式会社フィナンシェが現在βテストを進めている『FiNANCiE』もその一つで、元サッカー日本代表の本田圭佑さんにもいち早く共鳴いただきました。インフルエンサーがファンにトークンを発行し、ファンが増えれば増えるほど、初期からのファンにより大きなリターンを提供できるという仕組みに共感いただいたものと理解しています。

―――FiNANCiEも間もなく正式ローンチですよね。

はい、3月からβ版で運用していて、8~9月の正式ローンチを経て、11月にグランドローンチする予定です。実はファンコミュニティって、古参のファンからすれば「痛し痒し」なところがあるんです。応援している人が有名になるのは嬉しいけれど、ファンが増えると自分との距離が離れてしまう。だから古参ファンが新参ファンにマウントをとるようなことがおきる。コミュニティがギスギスしてくるんです。でも、ブロックチェーンならファンが増えれば増えるほど、トークンの価値が上がってみんながハッピーになる。ここがポイントです。

これはゲームでも同じで、『My Crypto Heroes』はブロックチェーンMORPGなので、それぞれのカードの資産価値がブロックチェーン技術によって担保されています。その上で他のソーシャルゲームと違って、ユーザーが非常にポジティブなんですよ。攻略サイトを作ったり、YouTubeで実況してくれたり、ミートアップイベントなどを自発的に開いてくれたりする。今までとまったく違います。みんなが頑張ってゲームを盛り上げたら、それだけカードやトークンの価値が上昇する可能性があるからです。ゲームが成長することが自分たちの得になるんですね。

みんなの夢を応援するプラットフォーム「FiNANCiE

―――メディアでいえば、どのようなインセンティブ設計があり得るでしょう。

一番シンプルなのは、NewsPicksのプロピッカーのような仕組みと、トークンエコノミーを結びつける方法でしょうね。大半のプロピッカーはお金が欲しくてやっているわけではなくて、自己承認欲求を満たしたいからコメントをつけているわけです。ここにトークンインセンティブを持ち込んで、コメントに「いいね」がついたぶんだけトークンがもらえるみたいな感じになると、かなり変わるんじゃないでしょうか。「いいね」数に応じてトークンがもらえることと、そのことによってNewsPicksユーザーが増加しトークンの価値が上がること、この2つをうまく設計できれば、関係者みんながハッピーになれます。

―――ただ、それはブロックチェーンでなくても実現できるのではないでしょうか?

そのとおりなんですが、ブロックチェーンならではという点が二つあります。第一にトークンは企業ポイントなどと違って、発行主が勝手に価値を書き替えられません。そのため企業の価値を越えた信頼感を担保させられます。第二に記者が10人くらいであれば、インセンティブの支払いが銀行振込でも対応できますが、これがグローバルに広がっていって、数十万人にもなると完全に破綻します。これがブロックチェーンになると、トークンによって支払いの自動化が可能です。これがスマートコントラクトの良いところです。逆にそれくらいの規模にならないと、ブロックチェーン化のメリットは乏しいかもしれません。

―――FiNANCiEはイーサリアムベースですが、ガス代(手数料)はかかりませんか?

実際はかなりオフチェーン(ブロックチェーン上には記録されない取引)で運用していますし、オンチェーンとのバランスが重要だと思います。

ちょっと話はそれますが、僕はなんでも思想から入っていく方なんですよ。中でもブロックチェーンで気に入っているのがディセントラライズド(非中央集権)なところです。Power to the Peopleというか、より一人ひとりに力を与えることが気に入っています。ブロックチェーンの初期に集まってきた人々も同じで、思想系のハッカーが中心でした。でも、彼らはみなリテラシーが高いので、技術力は高いかもしれないけれど、ユーザーのことを見ていない。そのため、びっくりするくらい使い勝手が悪いものしか出てこないんです。

実際『FiNANCiE』も、最初は全てオンチェーンで作っていたんですが、これは使い物になりませんでした(笑) ちょっとトラフィックが増えただけで動作が重くなる。なので、これはまずいと思って、かなり作り直しました。トークンをイーサリアムベースではなく、円ベースで買えるようにしたのも、その一つです。イーサリアムを購入するにはMetaMaskなどのウォレットアプリが必要になりますよね。でも、MetaMaskはまだまだ使いにくい。ので、ブロックチェーンの志は尊重しながらも、まずはユーザーファーストを大切にしました。

そのため現在は、本当に必要なところはブロックチェーンベースにして、それ以外はオフチェーンにしています。もともと僕たちはゲームとか、エンタテインメントだから、お客様が使っていただいてナンボ。ブロックチェーンだって、それくらいサクサクしていないと、誰も使わないですよ。『FiNANCiE』を使ってもらえれば、同じようなサクサク感が得られると思います。一方で技術はどんどん進化していきますから、品質が高くなってきた段階で、どんどん置き換えていく予定です。最終的には完全にオンチェーン化していきたいですね。

―――ブロックチェーン技術には投資面からすれば、どのような魅力がありますか?

僕らはブロックチェーン領域で3つのことをやっています。第1にgumi Cryptosを立ち上げて、サンフランシスコを拠点に30億円規模のファンドを回しています。投資先は大半がシリコンバレーで、プラットフォーマーをディスラプトする、デジタルアセットに資産価値を持たせる、トークンインセンティブを設計している、こういった企業になりますね。第2に自社案件として株式会社フィナンシェと、『My Crypto Heroes』のdouble jump.tokyo株式会社に対する投資があります。最後にゴールドラッシュの時につるはしやジーンズを販売した企業が儲かったように、ブロックチェーンの周辺にいる企業。具体的にいえば大手金融機関が互いに送金する際に必要になる技術の整備や、資産管理のためのカストデイなどの企業に投資しています。

―――最後にブロックチェーンを使って、こういった世界を作りたいというビジョンはありますか?

映画「レディ・プレイヤー1」はご覧になりましたか? 2045年のバーチャル空間が舞台の話ですよね。そこで人は好きなアバター、好きなコミュニティ、好きな経済圏、好きなアイデンティティで生きている。リアルな世界って、きわめて不自由じゃないですか。ほとんどの人にとって、生まれついた外見で、生まれついた環境に紐付いたコミュニティで、そのコミュニティに期待された性格を演じていて、お金の稼ぎ方も極めて資本主義的……そこから抜けられないんですね。これに対してVRの世界では、選択肢が一気に広がります。そういった世界を作りたいんですよね。いま子会社の株式会社よむネコで『ソード・オブ・ガルガンチュア』という剣劇VRアクションゲームを作っているのも、その一環です。

実際に視覚情報は片眼4Kで現実と遜色なくなりますし、あと数年で片眼4Kのヘッドマウントディスプレイが399ドル程度で買えるようになると思われます。サウンドも立体音響が実用化されているし、触覚もかなりの部分が再現可能です。ただ、これまではVR空間上で経済圏が閉じていなかったから、独自の経済圏ができませんでした。これがブロックチェーン化されれば、「VRでお金を稼ぐこと」が可能になる。そうなると現実世界が自分にとってワンオブゼムになる。もっとも、今のところ食事と排泄はリアルでしかできませんけどね(笑)それ以外はVR空間上で生活できるようになるでしょう。そういった世界をVRとブロックチェーンで作りたいんです。

―――まさにゲーム会社ならではですね。

もともとオンラインゲームって、そういうものでしたからね。ゲームの世界なら、性別も外見も性格も人間関係も自由じゃないですか。人の生き方に大きな選択肢を与える、そこが究極的にやりたいことです。ただ、それって2023年くらいにできますよ。僕らはオアシス構想といっているんですが、VRで小説『ソードアート・オンライン(SAO)』や『レディ・プレイヤー1』のオアシスのような世界を2023年までに作るのが目標です。そのころになるとブロックチェーンも、だいぶ使い物になっていると思うんです。『レディ・プレイヤー1』のオアシスって、『SAO』がブロックチェーン化された世界なんですよね。そこまではいける。

ただ、僕らがやりたいことは、その先にもあるんです。『レディ・プレイヤー1』や『SAO』って、両方とも「誰かによって作られた世界」で、中央集権的なんですよ。創った人の意思で世界を勝手に消せるとか、ルールを勝手に変えられるとか、おかしな話じゃないですか。これが完全にブロックチェーン化されれば、仮に創造者が暴走しても、ハードフォークすればいいんです。新しいワールドを新しい統治方法で作り直す。本当にそっちの方が居心地が良ければ、勝手にみんなが移住していくので、悪い世界は自然に過疎化していきます。それが本来の意味でのブロックチェーン的な世界です。

だから当面の目標はVRで『SAO』を作る。その上でブロックチェーンと連携させていって、『オアシス』を作る。最後にそうした世界が、非中央集権的に回っていくようにする。そういった世界を作り上げたいですね。でも、本当に2023年くらいにできちゃうんですよ。『レディ・プレイヤー1』は2045年という設定でしたが、それを23年間、僕らは前倒ししていきます!(笑)

―――ありがとうございました。

gumi國光会長も登壇するイベント「ブロックチェーンとメディアのこれから」を8月28日(水)に丸の内で開催します。詳細はこちらから

特集: ブロックチェーンとメディアのこれから

  1. 活用が広がるブロックチェーン領域のカオスマップを大公開!全135の企業・サービスを掲載
  2. メディアにおけるブロックチェーン技術の活用とは? 著作権管理と許諾のプラットフォームにも取り組む、コンテンツジャパンの堀代表に聞く
  3. ブロックチェーンで資本主義的な世界を超える!全領域に積極投資を進めるgumi國光会長に聞く
  4. 「ゲーム遊ぶ」だけで生活できる未来を作りたい、ゲーム領域のトークンエコノミーに挑む「GameDays」・・・イード宮崎氏
  5. NFTを使った音楽の原盤権や3Dデータ流通にも取り組む、ブロックチェーンの社会実装を目指すBlockBase真木社長インタビュー
  6. トークンを使ったコンテンツの翻訳プラットフォーム「Tokyo Honyaku Quest」について、Tokyo Otaku Mode、bitFlyer blockchain、イードの3社に聞く

登壇者が出演するイベントは28日(水)に開催

Media Innovationのオフラインイベント「Media Innovation Meetup」では、8月も特集と同じく「ブロックチェーンとメディアのこれから」というテーマで、4名の方をお招きして8月28日(水)に開催します。ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただければ幸いです。

■概要
日時 2019年8月28日(水) 19:00~22:00
会場 Vacans Space5 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル B1F
主催 株式会社イード

■スケジュール
18:30 開場
19:00 開演、主催者挨拶
19:05 各登壇者からプレゼンテーション
    株式会社イード 宮崎紘輔 部長
    BlockBase株式会社 真木大樹社長
    株式会社gumi 国光宏尚 会長
    株式会社bitFlyer blockchain 加納裕三 社長
20:15 パネルディスカッション
20:50 懇親会
    軽食とドリンクを用意します
21:45 終了

チケットはPeatixで販売中です。

サロン会員の皆様には1000円引きのクーポンコードを配布しています。下記からぜひ入会ください。