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CDPで世界を席巻するトレジャーデータ、メディアにも有益なエコシステムを構築する・・・特集「After Cookie~メディアと広告の未来像」

Media Innovationの2021年1月特集は「After Cookie~メディアと広告の未来像」と題して、プライバシー重視の高まりや、サードパーティクッキー廃止の技術的な制約の中で、メディアにおける広告やデータ活用がどのように変化していき、どのようなスタンスで望んでいけば良いかキーパーソンへの取材で探っていきます。

トレジャーデータ株式会社は日本発のカスタマーデータプラットフォーム(CDP)のトップ企業で、日本で圧倒的なシェアを誇るだけでなく、世界的に利用が進み、マーケティングテクノロジーの祭典、マーテックアワードでは「Best Customer Data Platform」に選出された実績を持ちます。

企業が保有する様々な形のデータを一元的に管理し活用するためにCDPは無くてはならない存在となっていますが、メディア企業でも採用実績があり、広く利用されるプラットフォームとしてメディア企業への支援も強めていきたいということです。同社でDirector of Business Developmentを担う山森康平氏にお話を聞きました。

山森康平
トレジャーデータ株式会社 Director of Business Development
東京大学卒業後、ドリームインキュベータでエンタメ産業を対象としたコンサルティングなどに携わり、投資先のアイペット損害保険に転籍し社長室長を務め2018年にマザーズ上場。2019年にトレジャーデータに入社しパートナーアライアンス、プライバシー担当、トレーニング事業の立ち上げなどに携わる。

―――まず改めてトレジャーデータについて教えてください

弊社ではカスタマーデータプラットフォーム(CDP)の「Treasure Data CDP」を提供しています。いま企業は様々なツールを業務やマーケティングに活用していたり、消費者との接点もオフラインとオンラインで多様になっていたりして、それぞれの場所で得られたデータが分断されて保存されている状況です。我々はこの状況を「データのサイロ化」と呼んでおり、サイロ化を解消し、データを一元的に管理するための箱となるのがCDPです。

トレジャーデータの強みの一つは、そのデータを収集するためのソースコネクターが膨大に用意されていて、各企業が利用している大抵のツールを既にカバーしているということです。ですので、導入してすぐに簡単な設定をするだけで、データを収集できるようになります。まだ対応がされてないソースについても顧客ニーズの高いプロダクトとの連携は自社で随時開発を行っています。

デジタルトランスフォーメーションと言われていますが、デジタル活動が増えるに従って、データも様々な場所に保管されるようになってしまっていて、十分な活用ができなくなってしまっている、それが、CDPが注目されるようになった理由だと思います。データは単体では効果が限定的ですが、統合して紐付ける事で、消費者をより理解し、次の一手を打てるようになります。

―――今後データ活用はどのように進化していくと考えられますか?

いま3つの流れが一つに収束していっているように考えています。

1つは新型コロナウイルスが加速させたデジタルトランスフォーメーションです。企業がデジタルに本腰を入れて、消費者と繋がる方法を構築しなくてはいけなくなっています。もう1つはSafariのITPやChromeのサードパーティクッキー廃止などプライバシーを重視する流れが出てきていること。最後はGDPRやCCPA、日本の個人情報保護法の改正など法的な枠組みが出来上がってきたということです。

この3つの潮流が、企業がきちんとファーストパーティデータを集める事を重視して、自社の顧客基盤を構築するという世界観に収束してきていると我々は見ています。これまでのように第三者の売り場やデータに依存できなくなったということです。その核として「Treasure Data CDP」を利用いただけるケースが増えていて、とても有り難く感じています。

―――市場的には非常に追い風だと思いますが、今後どのような手を打っていくのでしょうか?

企業が顧客と直接繋がり、商品やサービスを提供していくD2C(Direct to Consumer)の流れは新型コロナウイルスの後押しもあり不可逆的に進んでいきます。CDPはその中核でデータを貯めるための箱ですが、そもそも企業がファーストパーティデータを獲得したり活用したりする為の周辺のエコシステムも含めて、パートナー企業と一緒に開拓していきます。

具体的には、ユーザー登録/認証、権限管理、同意管理などのためのCIAM(カスタマーアイデンティティアクセス管理)やCMP(同意管理プラットフォーム)との連携があります。この点ではCMPで世界シェアナンバーワンのOneTrust社とパートナーシップを締結しました。ユーザーからデータを取得する際の同意管理は様々な法規制で求められるようになっています。

また、メール・LINE・SMSへの配信、広告配信、Eコマースなどデータを活用した具体的な施策に繋げるためのMA(マーケティングオートメーション)との連携も進めていきます。こちらはセールスフォースと提携し、「Commerce Cloud」「Marketing Cloud」「Interaction Studio」との製品連携を行うほか、アクセンチュアにも入ってもらってコンサルティングや導入支援も強化します。

昨年11月のビジネス戦略に関する記者発表会資料から

―――「トレジャーアカデミー」という取り組みもスタートされているようですが、どういった意図があるのでしょうか?

残念ながら製品を導入してもらったお客様が解約するケースもございます。そうした際に理由として上がるのが、「うまく使うことができなかった」あるいは「使いこなしてた担当者が辞めてしまった」という話も頻繁にあります。ですから、きちんとトレーニングをして皆が使いこなせるようにしていかないといけないという課題がずっとありました。以前も無償で簡易なトレーニングを提供していたのですが、それだと結局定着しないという問題があって、コンテンツを大幅に増強した有償版の提供を始めた次第です。

コースはプロジェクトリーダー養成とエンジニア養成の2系統ありまして、技術の分かるプロマネ、ビジネス理解のあるエンジニアを育てる事を目標としています。単純にCDPを使いこなすのではなく、これを起点にDXを実現していって欲しいので、両方の視点を持つ事が重要だと思っています。また、単に手法だけを教えるのではなく、実際のケースを使ったカリキュラムや、個人情報に関する法律など実践的な内容についてもカバーしています。リーダーを養成するカリキュラムは他のベンダーでもなかなか見られないユニークな内容ではないかと思っています。

―――メディア企業も受講されているものなのでしょうか?

メディア企業でもアドテク関連のお客様ですと以前からCDPを利用いただいているケースが多く、全体的に知識レベルは高いというのはあります。例えばDACはDMPの「Audience One」にトレジャーデータのプラットフォームを活用いただいています。

一方で、某新聞社などもクライアントですが、弊社のパートナーである大手SI企業や大手代理店の方がしっかりサポートされているので、受講に至ってない場合もございますが、その場合はパートナー企業の方に受講いただいております。新規にCDP利用開始される場合には必ず受講いただいていますが、古くからのお客様で既に使いこなしていらっしゃる企業には無理におすすめしておりません。

―――メディア企業のデータ活用についてはどのように捉えていらっしゃいますか?

言うまでもありませんが、サードパーティクッキーの問題もあり、大きな変わり目にあると思います。具体的には、サードパーティクッキーを介して利用してきた第三者のデータではなく、どのようにして自社のデータを収集して活用するかというのが鍵になると思います。

例えば、会員登録まで道のりが長いとしても、ミニアンケートを繰り返す事によって、ファーストパーティクッキーに紐づく読者データを集めたり、読了率や再生完了率などPV/UUよりも深い指標で読者を追って、ページの価値を高めていく取り組みが求められるでしょう。

サードパーティクッキーが使えなくなってもファーストパーティのデータから価値のある読者を特定して、それを拡張して広告を配信するような事はできます。今までは第三者がそれを容易に出来たのが、パブリッシャー自身が仕組みを整えないと提供できなくなったので、メディア規模が大きく、豊富にデータを取得できる、技術的な投資能力があるメディア企業にとっては有利な状況になる可能性があります。

―――トレジャーデータとしてもメディアの課題を解決するための取り組みはあったりするのでしょうか?

例えばケーススタディでも紹介していますが、枻出版の子会社のピークスとは、性別、年代、接触時間帯、興味関心キーワード、コンテンツの滞在時間やCTR、読了率や動画視聴完了率などを計測した「エンゲージメントスコア」を算出するという取り組みをしています。広告では枻出版の保有する多数の媒体の中から、広告主に対する「エンゲージメントスコア」が高い媒体で施策を実施し、高い効果を得たという実績があります。

これはCDPを拡張した仕組みで、自動的にサイトを訪れているユーザーの行動から「エンゲージメントスコア」を算出する事が出来るようになっています。このような取り組みに対するサポートも行っています。

それから、やはりプラットフォーマーが強いのは間違いなく、GoogleやFacebook、日本でいえばヤフーやLINEなどは圧倒的な規模を持っています。そういったプラットフォーマーとはシンクを行う仕組みがあり、例えばメディアがプラットフォームでも広告を拡張配信したいと考えた際に、「Treasure Data CDP」を介して実行するという仕組みは整えようとしています。

―――ポストクッキーのソリューションで統合IDのような考え方も出てきていますが、トレジャーデータとしてはどういうスタンスでしょうか?

海外ですと、Live RampやThe Trade Deskなどが統合IDの動きでリードしていると思っていて、もちろん彼らとも話をしています。ただ、トレジャーデータはあくまでもCDPでファーストパーティデータを入れる箱なので、私達自身が統合IDを作るつもりはありません。お陰様で日本では圧倒的なシェアを持っていますので、統合IDを普及させようとすると真っ先に声が掛かる立場ではあります。ですので、どんなサービスとも真っ先に繋がるサービスというのを維持していくというのがパートナーシップ戦略の柱です。

―――最後に読者にメッセージをお願いします

メディア企業は私達にとって非常に大切なお客様です。幅広い企業に使ってもらって、そこが広告主になって、メディア企業と連携をさせてもらうという関係性は今後も変わらないと思っています。

それから、メディア企業を支援できる仕組みを作っていければと思っています。先程も触れましたが、大手プラットフォームとの接続は、一社一社が話をしていってもなかなか難しい点だと思いますので、私達が代行してできればと考えています。サードパーティクッキーに変わる施策も、なかなか決め手は無いのが現実だと思いますが、最善策を模索して共有していくつもりです。

2021年1月特集 After Cookie~メディアと広告の未来像

1月27日にはイベントも開催します!

毎月恒例のオンラインイベントでは今回の特集に登場いただいた皆様をお招きして開催します。

概要
・名称 Media Innovation Meetup #23 After Cookie~メディアと広告の未来像
・日時 2021年1月27日(水) 17:00~18:30(予定)
・料金 1000円 ※MIのライト会員以上のステータスの方は無料
・参加方法 登録すると参加するためのZoom URLがメールですぐに送信されます
・申し込み方法 このページの「申し込み」ボタンから。MIの会員登録、ログインが必要です

当日スケジュール
・17:00 イベント開始、主催者挨拶
・17:05~18:00 各社からAfter Cookieへの取り組みについてのプレゼンテーション
・18:00~18:30 パネルディスカッション、質疑応答

※本イベントは有料イベントですが、Media Innovation Guildのライト会員、プレミアム会員の皆様には無料で参加いただけます。月額980円からご利用いただけますのでこの機会にぜひご登録ください(詳細)。

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Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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