メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略

Media Innovationの6月特集は「地域メディアの現状とこれから」。世界的に地域の情報流通を担うローカルメディアの大きな役割が見直されています。一方で、「メディア砂漠」という言葉があるように、そのビジネスは簡単ではなく、地域にメディアが存在しないという場所…

特集 その他
メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略
  • メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略
  • メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略
  • メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略
  • メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略
  • メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略
  • メディアが取り組む地域の課題解決、地元企業との協業で加速するロコガイドの戦略

Media Innovationの6月特集は「地域メディアの現状とこれから」。世界的に地域の情報流通を担うローカルメディアの大きな役割が見直されています。一方で、「メディア砂漠」という言葉があるように、そのビジネスは簡単ではなく、地域にメディアが存在しないという場所が確実に増えていっています。特集では日本各地で地域の情報流通を担い、先進的な取り組みで未来を切り開こうとしているキーパーソンを直撃します。

国内最大級のチラシ・買い物情報サービス「トクバイ」や地域のよりみち情報サービス「ロコナビ」といったメディアを運営する株式会社ロコガイドは、クックパッドからスピンオフし設立された会社で、「地域のくらしを、かしこく、たのしく」を掲げて地域の情報流通や課題解決を目指しています。主力事業の「トクバイ」は掲載店舗56,000店舗以上、月間利用ユーザー数約1628万人に利用されている買い物情報メディアです。

2021年4月には静岡県を中心にメディア事業を展開するしずおかオンラインをグループ化。より地域に密着した情報流通を目指す方針を掲げています。

地域のメディア企業は苦境が伝えられる事も多い中、ロコガイドはどのようなアプローチで地域の情報流通を担っていこうとしているのか、ロコガイドの取締役 地域情報本部長の片桐優氏と、しずおかオンラインの代表取締役 坂本真吾氏にお話を伺いました。

お買い物情報から地域のDXへと進化

―――ロコガイドについて簡単に教えてください

片桐: もともと、クックパッドの一事業として誕生し、その後スピンオフした「トクバイ」というサービスが原点です。「トクバイ」はスーパーやドラッグストア、ホームセンターなど地域のお店のお得な情報・チラシ情報を閲覧できるメディアで、現在は、約1628万人に利用されています。

もともとはトクバイという社名だったのですが、今後、買い物だけでなく、生活者の暮らしが、より便利で楽しくなるようなサービスを提供したいという想いで、現在のロコガイドに変更しました。

全国のチラシを無料で見られる「トクバイ

2020年5月には、コロナ禍で密を避けるための「混雑ランプ」という仕組みを、トクバイに参画している店舗向けに開始。水族館や温浴施設など様々な業態での導入が進む中、市役所などの窓口でも導入したいという声をいただいたのをきっかけに自治体向けにも提供を開始し、今では自治体のアプリ開発やふるさと納税支援、情報発信支援など自治体のDX支援に業務を広げているところです。

店舗や自治体の窓口などの混雑状況を発信するためのツール「混雑ランプ

―――チラシを閲覧できるサービスは競合も存在します。その中で「トクバイ」がここまで成長したのはどういった優位性があったからなのでしょうか?

片桐: クックパッドでスタートした事業ですので、ユーザーにとっての使い勝手には自信があります。アプリストアでのレビューからも分かるように、非常に高い評価をいただいています。また、店舗の利用料金が月5000円(税別)~と、新聞折込チラシと比べて安価なのも大きいと思います。非常に費用対効果が高く、多くのお店が参画してくれる事で、ユーザーへ届ける情報が充実し、その結果ユーザーも増え、更に参画する小売店へも還元できるようになる、という良い循環が生まれています。

片桐優
株式会社ロコガイド 取締役 地域情報本部長

―――お店はどのような事を望んでいるのでしょうか?

スーパーなどの小売店では、集客をチラシに依存してきました。つまり新聞の折込チラシです。それが、新聞の購読率が下がった事で、特に若い世代に情報を届けることができなくなってしまいました。だからこそデジタルのサービスに注目が集まっていると言えるでしょう。

「トクバイ」は「クックパッド」と同様に50-60代も多いのですが、新聞と比べると全体としては若い世代に支持されていると言えると思います。

―――デジタルに変わる事でチラシに変化はあるのでしょうか?

はい、意識の高い会社は既に、従来のチラシとは異なる販促をデジタルで展開し始めています。

従来のチラシは基本的にはファミリー層に向けた値段訴求でした。特定曜日の特売や、朝から産直の野菜を売る、といったものは専業主婦をメインターゲットとした施策で、働いている人にとってはあまり意味がありません。共働きの世帯は土日にまとめ買いをする傾向にあり、商品が安いからといって来店してもらえず、従来の販促が効きません。

デジタルのデータを見ていると、そうした人たちに効くのは、少し贅沢なスイーツや果物だったりします。ちょっとしたご褒美になるような商品、それを少しお得に提供することで、購買行動を促すことができます。

「トクバイ」を利用してもらえれば、小売企業はデータを見ながら訴求を変えていく事ができる、というのも良い点だと思います。

静岡を中心に地元の情報発信をする、しずおかオンラインをグループ化

―――しずおかオンラインは2021年4月、ロコガイドのグループに入りました。どのような事業を行っているのでしょうか?


《Manabu Tsuchimoto》

関連タグ

Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

特集