写真共有アプリInstagramは7月1日、Twitterが提供するサービス「スーパーフォロー」に似た独自機能「Exclusive Stories」を開発中であることを発表しました。これは、オンラインクリエイターのファンだけが見られる独自コンテンツをストーリーズで公開できるようにする機能であり、利用には何らかのサブスクリプション料金が必要になるとされています。
Exclusive Storiesの社内プロトタイプがSNSで出回る
最近SNSで出回っている新機能のスクリーンショットが、現在開発中の社内プロトタイプであることをインスタグラムは認めました。同社は、このプロジェクトの詳細はまだ公表できる状況ではないとしていますが、スクリーンショットからいくつかの情報が明らかになったようです。

「Exclusive Stories」では、ファンだけに独占公開されるストーリーズが別の色(現在は紫)で表されます。ファン以外のユーザーが限定ストーリーズに遭遇すると「メンバーのみがこのコンテンツを閲覧できます」というメッセージが表示されます。このストーリーズはスクリーンショットができず、ハイライトとしてシェアできるようになっているということです。また、クリエイターには「ファンのためにハイライトに保存してください」というメッセージが表示され、そうすることで「ファンが参加したときにいつでも何かしらのコンテンツを見られる」とインスタグラムは説明しています。

「Exclusive Stories」は、インスタグラムが計画しているクリエイター向け収益化ツールの一部に過ぎないとのことです。同社の責任者であるAdam Mosseri氏は2021年5月、NFT(非代替性トークン)のような他の新機能とともにサブスクリプションサービスの開始を検討していると米メディアThe Informationに対して語っていました。
モバイルアプリのコード内の未公開機能をよく見つけているリバースエンジニアのAlessandro Paluzzi氏は、NFT機能であるCollectiblesに関する記載も発見しました。そこには、クリエイターのプロフィールの新しいタブに、デジタル収集品が表示される様子を示しています。

クリエイター収益化ツールは3つに分類される
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インスタグラムは、現段階ではクリエイター収益化ツールの具体的な開発内容を公表していないものの、責任者のMosseri氏によると以下の3つのカテゴリーに分類されるということです。
・eコマース:ブランドコンテンツやアフィリエイトマーケティング、商品販売などの支援を促進する
・ユーザーがクリエイターにお金を直接支払う方法:個人情報と引き換えにアクセスできるようになるゲート付きコンテンツやサブスクリプション、バッジのようなチップなどがある
・収益分配に焦点を当てた製品:IGTV(インスタグラムの長編動画)やReels(インスタグラムの短編動画)などがある
また、IGTVによる広告収益分配に関するテストをインスタグラムとパブリッシャーが実施していることをAxiosが報じました。このテストの詳細は以下のとおりです。
・インスタグラムは2021年6月上旬、IGTVを利用するクリエイターを対象とした広告収益分配プログラムを広く展開した
・このプログラムの関係者がAxiosに語ったところによると、テストを共同で実施しているパブリッシャーのなかには、ATTN:に加え、NowThisやPopSugarなどのブランドを抱えるGroup Nine Mediaなど、Instagramで多くのフォロワーを持つパブリッシャーが含まれている
パンデミックにより中断されていた収益化に関する協議について、多くのフォロワーを持つパブリッシャーは不満を募らせていたようです。インスタグラムは一部のパブリッシャーにはコンテンツ利用料を支払っていますが、フェイスブックのニュースタブのようなものは設置していません。
IGTVはYouTubeと最も競合するサービスだと考えられており、YouTube広告の収益分配と同じ割合である55%をクリエイターに還元することを提案してきました。
「TikTokやYouTubeがライバルである」とInstagram責任者が発言
Instagramは6月末、ユーザーのフィードにフルスクリーンでおすすめ動画を表示する計画も発表しました。発表と同時に責任者のMosseri氏は、「インスタグラムはもはや写真共有アプリではなく、TikTokやYouTubeがライバルである」と述べています。
このサービスには、ユーザーがまだフォローしていないアカウントのおすすめ動画の表示も含まれ、今後数カ月以内にテストを実施するとのことです。
クリエイターの収益化を進めているのは、Instagramだけではありません。OnlyFans(オンリーファンズ)やPatreon(パトレオン)などで普及したメンバーシップモデルが、最近では大手SNSでも採用されるようになってきました。その例として、ツイッターの「スーパーフォロー」や「Ticketed Spaces」、Substack(サブスタック)のニュースレターに対抗するフェイスブックのBulletinなどが挙げられます。大手SNSが具体的な動きをみせるなかで、Instagramはどのようにクリエイターの収益化を確立していくのでし