iOS 14.5 オプトイン戦略:コンテクストのあるプリ パーミッション プロンプトでユーザーの信頼を得る【寄稿】

この記事は、アプリ広告の効果計測ソリューションで世界最大手のAdjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々 直紀氏による寄稿記事です。2021年4月にアップデートされた「iOS14.5」から、アップル端末の広告識別子「IDFA」の取得について、ユーザーからの明示的なオプトイン…

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この記事は、アプリ広告の効果計測ソリューションで世界最大手のAdjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々 直紀氏による寄稿記事です。2021年4月にアップデートされた「iOS14.5」から、アップル端末の広告識別子「IDFA」の取得について、ユーザーからの明示的なオプトインが必須となりました。ユーザーから同意を得るために、マーケターがどのようなアプローチをするべきなのか、その戦略を解説しています。

オーディエンスをトラッキングにオプトインさせることは重要ですが、決して容易なことではありません。マーケターは、マーケティングに関するコミュニケーションに同意するユーザーがアプリと積極的にエンゲージし、高い価値をもたらすオーディエンスになることを理解しています。また、IDFAに関するプライバシーポリシーの変更により、モバイルアプリユーザーから同意を得ることがこれまで以上に重要になっています。ユーザーデータへのアクセスを得るには、ユーザーと信頼を築き、ブランドが提供するカスタマーエクスペリエンスが伝わる方法でオプトインをリクエストすることから始まります。

アプリユーザーは、AppTrackingTransparency(ATT)のオプトインリクエストを大量に受け取ることになり、それ に圧倒されてしまう可能性があることを念頭に置いておきましょう。しかし、オプトインを選択することは結果的に自身のデータプライバシーを守ることに繋がり、ユーザーにとってメリットがあります。プライバシーに関してユーザーと意思疎通をすること、透明性のあるオプトインエクスペリエンスを提供することは、ブランドの信頼を高める上で必要不可欠です。

IDFAのトラッキングが今後難しくなるからといって、データ主導のマーケティングが機能しなくなるわけではありません。ATTでは、広告主は確定的アトリビューションデータを受け取り、引き続きセグメンテーションやリターゲティングができます。重要なのは、顧客と信頼関係を築くことです。

プリ パーミッション プロンプトがもたらす高い同意率

AdjustのR&Dチームはこの1年間以上クライアントと緊密に連携し、AppTrackingTransparency (ATT) framework で、ユーザーのオプトインを確保するための効果的な方法を研究してきました。特に、プリ パーミッション プロンプト(説得力のあるアプリ内メッセージ)を使用したコミュニケーション方法と、アプリでリクエストを表示するタイミングについて重点的にテストをしています。

オプトイン率はカテゴリーによって異なりますが、複数の業界のアプリが 20~40%の結果を出していることが分かりました。特にパフォーマンスが優れているのはファイナンスアプリで、これはバンキングや決済サービスのプロバイダーに対する信頼を表していると考えられます。

では、ブランドはどのようにユーザーに警戒させず、ファイナンスアプリのようにユーザーの信頼を得てトラッキングの許可をリクエストしたらよいのでしょうか?

その答えは「コンテクスト」と「信頼」にあります。Adjustがさまざまなカテゴリーのクライアントやパートナーと連携して行った調査では、同意率を高めるのに最も有効なのはプリ パーミッション プロンプトだということが分かりました。ユーザーにいきなりプライバシー通知を表示するのではなく、ユーザーに合わせたメッセージでATTのポップアップを出した方が効果的だということです。

ユーザーと信頼関係を築くことは、マーケターにとって新しい概念ではありません。ユーザーから信頼を得ている企業は、長期的に見てもリテンションやグロースが全体的に高い傾向があります。ユーザーから得た同意数で、企業が得た信頼を数値化することができます。アプリがデータをトラッキングする理由とその用途をユーザーが理解することで、ユーザーがアプリ内のメッセージに同意する可能性が高まります。

特に、データトラッキングに同意することでより関連性のある広告が表示される、またはアプリのフローが改善するというメリットが伝わった場合にこの傾向が顕著に高くなります。データ共有においては、万人向けのアプローチではユーザーの同意を得ることが難しくなります。

投資したユーザーからより良い結果を得る

オーディエンスの規模が大きいのは良いことですが、数よりも重要なのは、オーディエンスがアプリと積極的にエンゲージしているかどうかということです。マーケターはオーディエンスの評価をするうちに、たとえ少ないオーディエンスでも、トラッキングにオプトインしたユーザーは非常に価値があるものだということに気付くでしょう。

たった10%のオプトイン率だとしても、広告主は最初のテストから正確性の高い結果を得ることができます。そしてその正確なデータを活用することで、自信を持ってデータ主導の意思決定ができるようになり、継続してアプリを成長させることができます。

これは一部の方々にとっては当たり前かもしれませんが、ユーザーの同意を得てデータをトラッキングすることのメリットは、これまで慣れ親しんできた確定的かつ、ユーザーレベルでのアトリビューションに関するデータポイントが取得できるという点です。また、Adjustは、iOS 14以降において最も効果的なデータストリームを評価し、できる限り以前と同様にビジネスを継続するために研究を重ねモデルを設計しました。

もちろん、これらのモデルの機能と精度は、そのモデルに与えるデータに左右されます。同意したユーザーのデータポイントは1:1のため、あらゆるアトリビューションモデルにとって最も信頼できるデータだと言えます。

オプトイン率が高いと、KPI についてより深く理解できるようになるとともに、より効率的に最適化を行い、ツールを活用してパーソナル化されたエクスペリエンスを作り出すことができます。さらに、ユーザーに透明性を提供して信頼関係を築くことで、マーケターが求めるロイヤリティの高いユーザーの獲得へとつながります。

《Hideaki Taga》

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