NFTでエンタメの価値を引き出す、Jリーグのゲーム開発にも取り組むアクセルマーク尾下氏に聞く

ブロックチェーンで唯一性が担保された資産であるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)。非常に高額で取引されるなどの話題が尽きないNFTですが、これによってデジタルコンテンツはどう変化していくのか、最前線で取り組まれている方に話を伺います。 この記事では2020年…

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NFTでエンタメの価値を引き出す、Jリーグのゲーム開発にも取り組むアクセルマーク尾下氏に聞く
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ブロックチェーンで唯一性が担保された資産であるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)。非常に高額で取引されるなどの話題が尽きないNFTですが、これによってデジタルコンテンツはどう変化していくのか、最前線で取り組まれている方に話を伺います。

この記事では2020年にブロックチェーンゲーム『コントラクトサーヴァント』をリリースし、2021年には、それまでのスマホゲームから本格的にブロックチェーン事業に舵を切ったアクセルマーク株式会社 取締役会長の尾下氏にNFTゲームのこれまでとこれから、そして一般化への道筋をお聞きしました。

尾下 順治
アクセルマーク株式会社 取締役会長
神戸大学卒業後 1998年 第二電電(現KDDI)に入社。 2005年 独立系ベンチャーキャピタルのICPへ入社、 投資先のエフルートへ出向し同取締役に就任。 2008年8月、同社代表取締役社長兼CEOに就任。 2011年10月、アクセルマークがエフルートを吸収合併 同社代表取締役社長兼CEOに就任。 2018年よりブロックチェーン関連事業を開始、 2019年NFTの特徴を生かした「コントラクトサーヴァント」をリリース 日本の上場企業史上初のBCゲームサービス提供者となる。 パブリックプレセールでは国内売上歴代No.1となる3480ETHを記録。 2021年3月、同社取締役会長に就任(現任)と同時に 上場企業を対象とした投資ファンドのディレクターも兼任している。

飽和状態のスマホゲームからブロックチェーンへ事業転換

―――尾下様のご来歴と、アクセルマークの現状をお聞かせください。

大学時代から、研究室に引かれていたインターネットに慣れ親しみ、卒業後はKDDIの前身のDDI(第二電電)に就職しました。郵政省に許認可をいただく部署で働いていたのですが、通信といえばまだ電話が主流だった頃にEZweb立ち上げの手続きにも携わり、今後の通信はインターネットが中心になっていくことを予感していました。

2000年に友人と起業した会社でEZweb関連の開発やコンテンツプロバイダーのサポート業務を行い、3年半ほどでヤフーに売却した後、ICPというベンチャーキャピタルに入社しました。一年半ほどで当時担当していたエフルートに転籍し、社長に就任した後、エフルートがアクセルマークと合併して、2011年から2021年の2月いっぱいまで代表取締役を、3月からは取締役会長を務めています。

アクセルマークは2008年に着うた、着メロ、占いを配信するコンテンツプロバイダーとして上場したのですが、iPhoneが登場しガラケーコンテンツ企業としては最悪のタイミングでした。そのためソーシャルゲームやスマホゲームへも注力しますが、中国勢の台頭もありコンテンツが大型化してしまったので、次なる展開としてNFTブロックチェーン領域に着手することを決めました。

―――ゲーム市場の厳しさを感じたのはいつ頃だったのでしょうか?

2017年頃には明確に感じていました。モバゲー、グリーの時代から、グローバルプラットフォームの時代に移ったことは大きな変化でしたね。それまでプラットフォーム側とできていた話し合いが通用しなくなり、スマホゲーム市場全体が札束で殴り合いの様相を呈していました。

同時に17、18年あたりから中国企業の作品がApple、Googleのトップセールスランキングに続々と入り始め、一気に勢力を強めてきました。今は中国が世界ナンバーワンのマーケットになりましたが、4~5兆と言われる自国マーケットを海外企業にはシャットアウトし、海外には攻め放題という状況になってしまっています。

―――NFTブロックチェーンに舵を切ったきっかけは何だったのでしょうか。

ブロックチェーンとコンテンツとは関係ないと考えていたのですが、DapperLabが作った『クリプトキティ』を見たときに「ノン・ファンジブル」(Non-Fungible)という考え方が成立することに衝撃を受けました。

また、自分たちでソーシャルゲームを運営し、ユーザーとしても親しんできたなかで矛盾と課題も感じていました。ひとつは「所有権」の問題です。ガチャでお目当てのキャラクターを入手した時、ユーザーはお金をかけてそれを「購入した」と思っていても、実際には運営側からの貸与や使用許諾を認められたにすぎません。ユーザーはその状況を受け入れながらも、納得はしていないと感じていました。

もうひとつは、ユーザーがゲーム内でコミュニティを作り会話するギルドシステムが抱える課題です。ギルドの運営をいちユーザーとして体験してみると、それこそ仕事並みに労力がかかるんですね。ユーザー自身がコンテンツを生み出し面白い世界を作っているのに、まったく報われていない人たちがいることに気づいたんです。

ゲームで儲かるのは運営会社だけという状況は、産業や社会にゲームが浸透していくなかで是正されるべきですし、スポーツのようにプロプレーヤーとその周辺にビジネスが成り立つ構造になれば、社会により欠かせない存在として成長していくことができます。そのために、ブロックチェーンが活用できると思いました。


《小田恵》

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小田恵

小田恵

フリーランス編集者/ライター。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン科卒業後、デザイナーとして広告代理店に勤務したのち、編集プロダクション、駐在員および帯同家族向けの情報誌を発行する海外メディアに編集者として勤務。現在は中小企業経営者や女性自立支援団体へのインタビューを手がけながら、企業の新サービス提供のためのコンテンツ視覚化の手引きもなども行う。

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