音声の経済圏を作る、Voicy緒方代表・・・メディア業界2022年に向けて(6)

今年もメディア業界は様々な事がありました。Media Innovationではいつもお世話になっている業界関係者の皆様に「2021年の振り返りと、2022年のメディア業界」というテーマで寄稿をお願いしました。年始にかけて順次掲載して参ります。いろいろな振り返りから、皆さんが…

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音声の経済圏を作る、Voicy緒方代表・・・メディア業界2022年に向けて(6)
  • 音声の経済圏を作る、Voicy緒方代表・・・メディア業界2022年に向けて(6)
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今年もメディア業界は様々な事がありました。Media Innovationではいつもお世話になっている業界関係者の皆様に「2021年の振り返りと、2022年のメディア業界」というテーマで寄稿をお願いしました。年始にかけて順次掲載して参ります。いろいろな振り返りから、皆さんが2022年を考えるきっかけにしてもらえればと思います。

2021年は音声メディアがこれまで以上に注目を集めた一年でもありました。日本を代表する音声メディアに成長したVoicyも新しい展開が続々。マネタイズ手段も多様化して、稼げるプラットフォームになりつつあります。音声の経済圏を作る事を目指す、Voicyの緒方代表のメッセージをお届けします。

緒方憲太郎
株式会社Voicy 代表取締役CEO
1980年8月生まれ、兵庫県出身。大阪大学基礎工学部卒業後、大阪大学経済学部卒業。同年公認会計士合格。2006年に新日本監査法人へ入社。その後 Ernst&Young NewYork、トーマツベンチャーサポートにてスタートアップから大企業まで経営者のブレインとなりビジネスデザイナーとして支援。途中1年間かけて地球一周放浪しながら、アメリカで医療系NPOの立ち上げやオーケストラ公演のディレクターも行う。2015年医療ゲノム検査事業のテーラーメッド株式会社を創業、3年後業界最大手上場企業に事業売却。2016年株式会社Voicy創業。音声の原体験にアナウンサーの父を持つ。社会と生活を変えて、新しいワクワクする価値を生む事業が好き。

今年のご自身の仕事を振り返っていかがだったでしょうか?

私たちにとって2021年は、音声元年。特に激動激務の1年でした。1月にClubhouseが上陸し、一気に世間が音声へ注目するようになりました。2016年から日本国内で音声の文化づくりを積み上げてきたVoicyとしては、この機会は逃すわけにはいかない。そんな想いで駆け抜けました。音声市場への期待から企業の音声活用も進み、ニーズもあったことから『ボイステック革命』という書籍を出すことができました。Voicyは、おかげさまで年間1,100万人に聴かれる音声プラットフォームに成長しました。秋にはグッドデザイン賞を受賞、声で月収600万円を稼ぐパーソナリティも誕生するなど、積み上げてきた文化を産業に変えて、音声市場の可能性を広げることができた1年だったと感じています。

今年一番注目した出来事は何だったでしょうか?

夏に開催されたオリンピックでしょうか。開会式のあの感動は忘れられません。開催まではいろんな出来事がありましたよね。あの世界的なイベントを、世の中が素直に喜べないという状況を目の当たりにしたのは、ある種気づきでもありました。開催にあたっては国民のなかでも賛否が分かれました。選手にも誹謗中傷があったようですし、関わる人たちが過去をさかのぼって叩かれた姿も皆さんご覧になったかと思います。多くの人たちが同じものを一緒に楽しんで盛り上がることがこんなに難しいことになってしまった。時代の移り変わりを感じますね。イベントを開催したり、大衆の心を動かすものをつくる難しさを学び、秋に開催したVoicyフェスに少なからず活かすことができたかなと思っています。

2021年の出来事で、今後の焦点となりそうな事は何だと思いますか?

アフターコロナにおける世界の変化です。ウィズコロナであろうかなかろうかは関係なく、時代が変わることが明確になった2021年だったのではないでしょうか。初回のミーティングはもちろん、信頼性が必要なイベントもリモートになり、一度も会うことのないまま重大な決議がなされるケースも生まれています。人が直接会えないなかで、メタバースなどのオンラインの世界が進化していて、人の生活のあり方の大きな変化を感じています。

一方で、Voicyでは年間2,000時間もVoicyを聴いて過ごしているリスナーが続出しているんです。オンラインという非対面化が進むなかでも、人の声を聴きたいという需要はむしろ増えていることを実感しています。

今後の生活や働き方が変わることは、みんなが自覚したと思います。人がリモート下で生きるなかで、なにが変わってなにが変わらないのか、その変化や時代にフィットできるかどうかが焦点ですね。

2022年への意気込みを聞かせてください

音声という文化を積み上げ、持続可能な産業にできるよう価値を提供し、土台をつくったのが、2021年の音声元年でした。ここからは、社会にインパクトを与えるサービスを目指します。多くの方に使っていただくことはもちろん、収益面でも成果を発揮して音声で経済圏を作り出すために、いままでにない価値のあるプロダクトとコンテンツを生んでいく必要があります。

もちろん、引き続きサービスの拡充を見込んでいます。2021年は「プレミアムリスナー」のほかに「差し入れ」も開始し、マネタイズの幅も広がったものの、実は再生数比例による収益化を実現できませんでした。この実装も予定しています。2022年、きっとVoicyの表情が大きく変わって見えるのではないでしょうか。音声市場は、伸びしろしかありません。Voicyにご期待ください!

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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