メディア企業への支払いを再考するFacebook【Media Innovation Weekly】6/13号

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今週のテーマ解説 メディア企業への支払いを再考するFacebook

ウォール・ストリート・ジャーナルがFacebookを運営するメタが、メディア企業への支払いを再考していると報じました。同社は昨年、2024年までの間にニュースに少なくとも10億ドルを投資すると述べていました。この問題を巡っては、PressGazetteも5月に契約を修正しようとしていると伝えていました。

FacebookやGoogleなどのプラットフォームはメディア企業と共存共栄の関係にありますが、コンテンツを無料で使っているという批判は以前からあり、そうした声を受けて、2017~2018年にかけて、Facebook News Project、Google News Initiativeといったプロジェクトが立ち上がり、メディア企業に対して多額の資金提供を行ってきました。

Facebookは2019年にFacebook Newsというタブを作り、メディア企業からニュースのライセンスを受け、掲載するという取り組みをスタートしました。大半の企業は2019年10月から3年間の契約を結び、WSJによれば、ニューヨーク・タイムズは2000万ドル、ワシントン・ポストは1500万ドル、ウォール・ストリート・ジャーナルは1000万ドルを超える収益を毎年得ていたということです。また、その後、豪州などでメディア企業に対する支払いについて交渉するよう義務付ける法律も制定されました。

こうした動きについて、あるメディア企業は「規制を回避しようとするPRの動きに過ぎない」「依然として正当にライセンスで受けるべき支払いを受けていない」と述べていました。豪州で成立し、カナダや米国でも動き出しているプラットフォームに対して支払いを強制する法律を避ける為の動きだったという見方です。そして、その動きを止める事はできないとの諦めもありそうです。

その結果、WSJもPressGazetteも実際に契約を結んでいる企業からの情報として、Facebookがパートナーシップを延長する兆候を示していないと伝えています。また、マーク・ザッカーバーグCEOが世界で法的に縛るような取り組みが進んでいることに失望し、ニュースを重要なコンテンツとして扱う情熱を失っているとしています。むしろ同社はBytedanceのTikTokへの対抗として短尺動画に力を入れているようです。

デジタルメディア企業で作る業界団体、Digital Content Nextのジェイソン・キン氏は、オーストラリアでの法案成立を前に、Facebookがプラットフォームからニュースを排除した過去を振り返り、「パンデミック中に公益を捨てて、支払いを避けるために社会を脅迫した」と指摘、同様の脅しが繰り広げられていると述べました。米国議会ではジャーナリズム競争保存法(JCPA)という豪州に近い法案が議論されています。

同じく業界団体のNews Media Allianceのデビット・チャバーン氏は「メタがニュースの取り組みから離れようとするなら、パブリッシャーだけでなく、信頼できる情報ソースを必要としている何百万人のユーザーを傷つける事になります。質の高いジャーナリズムは彼らのプラットフォームで盛んに飛び交う誤った情報に対する解毒剤であり、ニュースがなければ彼らの問題は悪化するだけです」と述べています

また、数千万ドル規模の支払いを受けているのはごく一部の全国紙だけであり、地方紙は数十万ドル規模の会社が多いようです。一部の大手メディアだけが優遇され、中小規模のメディアはあまり恩恵に預かっておらず、今の形が果たして最善かという議論もあります。

まだ契約切れまで数ヶ月ありますが、メディア企業とプラットフォームのせめぎ合いが再び激化することになりそうです。

今週の人気記事から Pinterestが日本で広告事業をスタート

写真共有サービスのPinterestが日本での広告事業を6月1日からスタートしました。同日から開催されていたAdvertising Weekでもブースを出展し、アピールしていました。クリエイティブをシェアする独自の立ち位置を確保したPinterestは広告も伸びていて、実際に活用したツクルバも良い成果を得られたと述べています。

1.Pinterestが日本において広告事業を開始・・・新機能の導入やShopifyとのパートナーシップ拡大も

2.「日本スタートアップ大賞2022」経済産業大臣賞、スマートニュースが受賞

3.TBSが急成長するウェブトゥーン市場へ参入、NAVERグループ等と合弁で

4.全国の地方新聞社による「Build New Local 2022 with Google News Initiative」始動 新たな地域社会構築目指す

5.音声広告のオトナルがアドサーバー・SSPを提供開始 音声メディアの広告マネタイズをサポート

6.SlowNewsが定額課金サービス終了へ 事業方針を変更

7.note、「cakes」(ケイクス)のサービスを8月末をもって終了

8.難民支援協会が「難民の報道に関するガイドブック」を発行・・・報道により生じる被害を回避

9.「コンテンツ編成で収益最大化を」文春のデジタル戦略・・・文藝春秋・村井氏

10.ライブコマース・縦型動画の「Firework」のLoop Now Technologiesがソフトバンクなどから190億円を調達

会員限定記事から 朝日放送HDに聞く、BuzzFeed Japanへの投資の狙い

朝日放送グループHDが、Zホールディングスが保有していたBuzzFeed Japanの株式の一部を取得し資本業務提携をしました。関西を拠点として、テレビを中核にするグループですが、デジタル戦略も積極的に進めている同社。BuzzFeed Japanとの提携の狙いは何なのか、浅野執行役員に聞きました

BuzzFeed Japanは、ヤフーとBuzzFeedが合弁で立ち上げたBuzzFeed Japanと、朝日新聞社とハフポスト(BuzzFeedが買収)が合弁で立ち上げたザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンが昨年、合併して誕生しました。その経緯から、BuzzFeed、Zホールディングス、朝日新聞社が大株主でしたが、今回の資本移動により、BuzzFeed、朝日新聞社、朝日放送HD、バリューコマース(ZHDグループ)が出資する会社となりました。今後の展開も注目です。

1.【メディア企業徹底考察 #59】新規上場のマイクロアド、注目されるタクシー広告の行方

2.「コンテンツの共創を進める」BuzzFeed Japanに投資した狙いを朝日放送GHDに聞く

3.メディアにおけるアフィリエイトビジネスの拡大、豪州でも約8割が過去2年で収益増加を報告

4.【メディア企業徹底考察 #60】AViC(エイビック)の新規上場はベンチャー投資の新たな形となるか?

5.フォーブス、SPAC上場を断念・・・業績は想定を上回る

6.【メディア企業徹底考察 #54】インドのユニコーン企業をグループ化したグノシーの狙いとは?

7.【メディア企業徹底考察 #58】業績好調のKADOKAWAが本格化する中国進出は毒か薬か?

8.英テレグラフ、サブスクが74万人に到達し業績も好調

9.米国のポッドキャスト広告収益額が前年から72%増加し、10億ドルを突破・・・デジタル広告全体の2倍の成長率

10.BBC、守りから攻めに転じたい「デジタルファースト」宣言【Media Innovation Weekly】5/30号

編集部からひとこと

JAXAによれば、ハヤブサ2が採取したリュウグウのサンプルから大量のアミノ酸や水が採取されたそうです。46億年前に太陽系が誕生した当初に近い形を今も保っているということで、今後の研究成果が楽しみです。技術がここまで進化しても、宇宙についてはまだまだ分からないことだらけ、宇宙を眺めているだけで遠大なロマンを感じます。(天文学者になりたかった筆者)

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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