Wikipedia運営による初の商用プロダクト、グーグルも採用する背景

世界的に有名なウィキペディアはグーグルで検索して上位に表示されることが多い上、最近はナレッジパネルと呼ばれる公式な辞書表示でリンク先に行くまでもなく簡易の関連情報を表示するパネルにも利用されています。 もともとそのような連携が実現しているのも、グーグ…

テクノロジー その他
Wikipedia運営による初の商用プロダクト、グーグルも採用する背景

世界的に有名なウィキペディアはグーグルで検索して上位に表示されることが多い上、最近はナレッジパネルと呼ばれる公式な辞書表示でリンク先に行くまでもなく簡易の関連情報を表示するパネルにも利用されています。

もともとそのような連携が実現しているのも、グーグルの社是と非営利団体のウィキメディア財団も「世界中の人々のために知識と情報へのアクセスを拡大するという共通の目標」を掲げているということがあります。毎年寄付のお願いの表示を見ては、いくら出せばいいのだろう?出さないとサイトが立ち行かなくなるのではと心配になるNPOなのですから、世界有数の企業であるグーグルと、上手く連携することでサービスが向上するなら、それはそれでインターネットユーザー全体の利益にかなう自然なことかと思われます。

そういう意味で、2022年6月21日、ウィキメディア財団が非営利団体ながらウィキペディアおよびウィキメディアのプロジェクトを大量に再利用・出典する企業向けに設計された初の商用製品をリリースすると同時に、最初の顧客として、グーグルと非営利デジタル図書館インターネットアーカイブを発表したのも納得出来る取り合わせに思います。無論、グーグルにすれば、もっと自由にデータを引き出したいという意図もあるでしょう。ただ同じ意図の別の会社やスタートアップにも同時にその環境を提供するという点については日本のベンチャー企業にも同時にメリットがあるかと思います。

今回は新規ユーザーを対象とした無料トライアルアカウントも提供されると言うことなので、実際にサインアップして、本製品のニーズをより良く把握することができると言うことです。基本的にはAPIの拡充ですが、検証済みのさまざまな事実をオンラインカリキュラムに統合したい教育企業から、システムを訓練するために膨大な正確なデータ群にアクセスする必要のある人工知能の学習など、それぞれのニーズに最も適した方法でウィキメディアのコンテンツを大規模にパッケージし共有するのを容易にするための設計がされているようです。


《前田邦宏》

関連タグ

前田邦宏

前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

特集