3rd Party Cookie規制後の世界でメディアの価値を上げるためにPPIDを有効化する

去る7月28日、GoogleがChromeブラウザにおける3rd Party Cookieのサポート完全終了の再度延期を発表しました。これまでは2023年後半から段階的に終了としていましたが、新たな期限として、2024年後半という目標を設定しています。しかし、期限が伸びたとはいえ、3rd Par…

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3rd Party Cookie規制後の世界でメディアの価値を上げるためにPPIDを有効化する
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去る7月28日、GoogleがChromeブラウザにおける3rd Party Cookieのサポート完全終了の再度延期を発表しました。これまでは2023年後半から段階的に終了としていましたが、新たな期限として、2024年後半という目標を設定しています。しかし、期限が伸びたとはいえ、3rd Party Cookieの代替となるソリューションを取り入れ、各ブラウザの対策に適応していくことが求められている状況に変わりはありません。

PPIDとは

PPIDとはPublisher Provided Identifiersの略で、パブリッシャーが自社のWebメディアのユーザーに対して割り当てる識別子(ID)のことを指します。通常はログイン情報などと結び付けて利用されており、その本来の姿は、IDログインを伴うサイトで複数デバイスを横断した配信制御を実現させる機能です。以前から、GoogleはPPIDを広告システムに導入していましたが、これは、パブリッシャーと広告主との直接取引でのみ成立していました。そのため、多くの広告事業者の関心を集めるものではありませんでした。

PPIDが注目を浴びるきっかけとなったのは、2021年のGoogleの発表です。Googleが3rd Party Cookieのサポートを終了させる旨は先述の通りですが、今後はその代替となるようなユーザー識別子を自分達では作らないことを明言しています。その一方で、広告による収益は同社の中核であることに変わりはありません。この発表において、Googleは「プライバシーサンドボックス」という新しい広告の仕組みを構築中であり、その中でGoogle Ad Manager(以下、GAM)経由で公開オークションを含む全てのプログラマティック取引にPPIDが利用可能となることを明らかにしました。

プログラマティック広告でのPPID

しかし、ここで気になるのは、公開オークションでPPIIDを利用できるようになっても、ユーザーログイン機能がない媒体ではそもそもIDを発行できないのではないか、ということです。確かに、ユーザーを識別する、という意味でログイン機能は非常に重要ですが、ログインID以外にも個別のユーザーを識別できるものは存在しています。その代表例が、Cookieです。

ここでいうCookieとは、昨今規制の対象になっている3rd Party Cookieではなく、パブリッシャー側が発行する1st Party Cookieを指します。Googleの規定では、複数セッションでユーザーを識別可能な情報であればPPIDとして利用することができます。ログイン情報に限らず、Cookieのような1st Party のデータでも、ハッシュ化または暗号化して、個人を特定できないようにさえすれば、GAM経由でオープンオークションを含む全てのプログラマティックな取引に使用できるのです。

PPIDを有効化するメリット

PPIDを有効化する最大のメリットは、CPMを向上させることができる、という点にあります。2017年にAppleがメインのWebブラウザであるSafariに、ITP(Intelligent Tracking Prevention)サイトトラッキング防止機能を追加したことをきっかけに、費用対効果が高いとされてきたリターゲティング広告では、大幅にリードの獲得が減少していると言われています。2021年にはATT(App Tracking Transparency)を導入し、IDFAを利用したトラッキングができなくなった際には、iOSのCPMが大きく低下しました。Appleのトラッキング規制による損失は、業界全体で40億ドルから60億ドル相当とまで言われています。そして、Googleによる3rd Party Cookie廃止は、同じような衝撃をもたらすことを容易に想像させます。

しかしながら、先述のようにPPIDはパブリッシャーの持つ識別子を元に生成されているため、このような規制の対象とはなりません。広告主側からすれば、ユーザーのセグメントやトラッキングが可能となるメディアに広告を出稿する方がターゲティング精度が上がるため、PPIDを実装しているメディアの方がCPMが高くなることが予想されます。

PPIDと他のIDソリューションとの決定的な違いは、前者が「原則としてGoogleの広告配信だけで有効」な施策であることに対し、後者はGoogleのプラットフォームに縛られることなく利用できるソリューションである点です。このように表現すると、後者の方が有用なものに感じられてしまうかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。というのも、接続するDSPがソリューションごとに異なるため、出稿する広告主も利用するソリューションによって変わってくることになります。従って、PPIDかその他のIDソリューションか、という二者択一ではなく、必要に応じて適したソリューションを利用することが望ましいのです。

PPIDの設定方法

PPIDをGAM上で有効化するためには、まずCookieをサーバーサイドから発行するように設定しなければなりません。ここではGAM上でのPPID有効化設定までのフローをご紹介します。

  1. GAMと連携
  2. サーバーサイドからのCookie発行設定
  3. Cookieのハッシュ化または暗号化
  4. PPIDをGAMにアップロード

以上が大まかな流れになりますが、サーバーサイドからのCookie生成や、Cookieのハッシュ化・暗号化には専門的な知識が必要となります。

AnyManagerでできること

このようにパブリッシャーにとって自社リソースでのPPIDの実装はハードルが高くなるため、フォーエムは「AnyManager」でPPIDの実装をサポートする新機能を開発し、提供開始に至りました。

本機能を使用してPPIDを実装するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  1. ログイン機能の実装不要でユーザーの1st Party Cookieを取得できる。
  2. 生成したPPIDをGAMのオープンオークションに使用できる。
  3. PPIDの実装によってCPMの向上が期待できる。

またAnyManagerを利用する場合、必要となる作業工程は

  1. WEBサイトにおいてAnyManager専用のJava Scriptタグを挿入。
  2. 自社Webサイトに、DNSレコード設定用の新しいサブドメインを作成する。
  3. フォーエムが作成した専用DNSレコードをサブドメインに設定する。

のみとなっています。

上述のように、PPIDの導入にはログイン機能の実装や、ユーザーの1st party dataの一定数の確保が必要で、パブリッシャーにとって高いハードルとなっています。AnyManagerを介することで、工数を割くことなくPPIDの実装が可能になり、3rd Party Cookieのサポート終了後にもCPMの向上を図ることができます。

■フォーエムについて

会社名 :株式会社フォーエム

所在地 :東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー31F

代表者 :代表取締役 小堤音彦

事業内容 :メディアプロダクト事業/メディアパートナー事業/テクノロジー支援事業

URL :https://corp.fourm.jp/contact

《株式会社フォーエム》

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