日本と世界をつなぐ「CNN」その進化する広告ビジネスとは? 東京オフィスの長屋氏に聞く

米国発のニュース専門チャンネルとして世界的なブランドとなっている「CNN」。1980年にテッド・ターナー氏によって創業され、世界で初めて24時間ニュース放送を行い、日本でも湾岸戦争での報道などで知名度を上げました。現在はワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの…

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日本と世界をつなぐ「CNN」その進化する広告ビジネスとは? 東京オフィスの長屋氏に聞く
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米国発のニュース専門チャンネルとして世界的なブランドとなっている「CNN」。1980年にテッド・ターナー氏によって創業され、世界で初めて24時間ニュース放送を行い、日本でも湾岸戦争での報道などで知名度を上げました。現在はワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの傘下にあります。

そんな「CNN」はどんなビジネスを展開しているのか。日本での広告ビジネスを統括する、CNNインターナショナル・コマーシャルのセールスディレクター(日本)の長屋海咲氏にお話を聞きました。

長屋海咲
CNNインターナショナル・コマーシャル セールスディレクター(日本)
CNN インターナショナル・コマーシャル(CNNIC)の日本における広告営業セールスディレクター。東京を拠点に、国内における政府機関や企業へ向けた戦略的パートナーシップ構築から、CNNのグローバルサービスを活用した包括的ブランドソリューションを展開。また、CNNIC 国内広告営業チームを統括し、国内クライアントの課題別オーダーメイドのコンテンツも提供する。CNNインターナショナルにて10年以上の経歴を有する。

―――まずは簡単にご経歴を伺えますでしょうか?

アメリカの大学を卒業して、ビジネスを学びたいと思って最初はコンサルの仕事に就きました。その後、大学でマーケティングや広告を勉強していたこともあって、メディアの世界に興味が湧き、よく知っているブランドだったCNNに入社し、いま11年目になります。東京オフィスでセールスディレクターとして約10名の広告セールスのチームを率いています。

―――早速ですが、CNNの東京オフィスではどういった仕事をされているのでしょうか?

日本にあるセールスの機能としては、CNNのコンテンツを日本で流通させていくディストリビューションと、私が担当している広告セールスの2つがメインです。広告は日本企業や政府機関に対して、世界のCNNネットワークを活かしたマーケティング戦略を提案していくというのがメインのミッションになります。

広告セールスで約10名いるという点からも気付かれるかもしれませんが、様々な外資系メディアが東京に拠点を置いていますが、その中でもCNNはしっかりとした体制を築いているメディアの一つになります。広告もセールスだけでなく、制作チームも日本に存在していて、主に外国人のスタッフが海外目線で日本企業を売り込める体制を作っています。もちろん編集チームも東京オフィスに拠点を構えています。

東京の広告セールスチーム、長屋氏は右上

―――どういったクライアントや商材がCNNを利用しているのでしょうか?

属性としては日本の大企業と、政府機関が半分ずつ程度になっています。企業ではITや医療、金融、素材などのB2B企業が多くなっています。というのもCNNはかなりグローバルなメディアになっていて、単一マーケットでの訴求ではなく、北米、南米、アジア太平洋、EMEA(欧州、中東、アフリカ)など地域単位でのメッセージを届けるという使われ方が多いためです。B2Cの消費財などは、もう少し市場ごとにセグメントされたメッセージを届ける場合が多いようです。

もともとCNNは1980年にテッド・ターナーが米国で始めたニュース専門局ですので、日本企業も米国での発信として使っていただくケースが多かったです。ただ、現在ではマジョリティは米国ターゲットではなく、グローバルターゲットになってきています。ざっくり言うと、ある程度の英語が喋れる世界のビジネスリーダーがターゲットです。最近では「CNN Arabic」という中東の富裕層向けのチャンネルや、「CNN en Español(CNNエスパニョール)」という南米のスペイン語圏向けのチャンネルも強化しています。

―――政府機関の仕事が約半分というのは驚きました

日本を知ってもらう、あるいは実際に来てもらう、というニーズは非常に大きいと思いますし、直接それを行政が発信すると資料映像のようになってしまったり、プロパガンダ寄りになったりする懸念があります。CNNとしてはブランデッドコンテンツという形で、インハウスのクリエイティブチームが、受け手目線で日本の良い部分を発信するという事を放送やデジタルで展開しています。

具体的には、農水省の日本食訴求、外務省の国際貢献や女性活躍発信、観光庁のインバウンド誘致などです。

特に今後はポストコロナで改めてインバウンドを呼び込んでいく事になると思いますが、単に日本の魅力を訴求するだけでなく、CNN全体として注力している「サステナビリティ」をかけ合わせた、環境に負荷を与えず現地に貢献する「サステナブルツーリズム」が主眼になっていくと思います。あるいは現地の食文化に触れる事を目的とした「ガストロノミーツーリズム」も世界観光機関でフォーラムが開かれるなど、世界的な注目が集まっています。こういった世界のトレンドを日本のクライアントに提示していくのも、我々のできる貢献だと思っています。

―――「サステナビリティ」は観光に限らず大きなテーマになっているのでしょうか?

逆にサステナビリティに一切関わらないキャンペーンの方が珍しいくらいかもしれません。多くのブランドがサステナビリティを重要なコンセプトとするようになってきました。例えばグローバルで大きなクライアントになっているサムスンは「Better Tech for All」というブランドパーパスを掲げていて、テクノロジーを使ってサステナブルな生き方の実現を目指しています。CNNでは年間でこのコンセプトに基づいたブランデッドコンテンツを制作し、グローバルなユーザーに訴求しています。

CNN自身もサステナブルな地球のあり方を模索したいと考えていて、「Call to Earth」というイニシアティブを展開しています。これは世界中の学校、個人、組織と提携し、環境問題への意識を高め、自然保護教育に取り組むというもので、メディアという枠を超えて地域に良い影響を与えていきたいという考えで進めてきました。こうした取り組みはニュース番組の合間に放送するフィーチャープログラムでもお伝えしています。

―――「アドグリーン」という考え方もグローバルなクライアントの間では話題になりつつあると聞きました


《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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