【メディア企業徹底考察 #105】ミンカブ、業績は曲がり角に、ライブドア後も積極買収

資産運用関連メディアを運営する株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドの業績に異変が起こっています。

2023年3月20日に通期業績の予想を発表。非開示としていた経常利益を、2億円から3億円の経常損失としました。ミンカブが経常損失を出したのは、2017年3月期以来。実に6期ぶりの経常損失となります。

アフィリエイトサイト(minkabu.co.jpminkabu.jp内で展開)において、キーワードのカニバリゼーションが発生。検索順位を落とし、高利益率の成果報酬型広告に悪影響を及ぼしたと発表しています。一連の問題は、中期的に同社の業績にマイナスのインパクトを与える可能性があります。

投資中級者向けのメディアも初心者向けの稼げるコンテンツを作成

ミンカブは複数のメディアを運営していますが、順位低下の影響を受けたのは「みんかぶ-資産形成のための情報メディア・株価予想・ニュース・SNS(旧みんなの株式)」(URL:minkabu.jp)と、「みんかぶChoice|株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが運営するお金の情報サイト」(URL:minkabu.co.jp/choice/)の2つだと考えられます。

■みんかぶ

ホームページより抜粋

■みんかぶChoice

ホームページより抜粋

「みんかぶ」は国内外の最新の株価情報などを発信し、株式投資に知見があるユーザーが銘柄選定を行う目的で使うメディア。「みんかぶChoice」はおすすめの証券会社や投資信託の選び方など、投資初心者に向けた情報発信を行うメディアです。ユーザーの棲み分けはできているように見えます。

しかし、コンテンツ(流入キーワード)を見ると、必ずしもそうとは言えないことがわかります。ahrefsという流入キーワードを分析するツールを用いて、2つのメディアの主要な流入キーワードを抜き出したものが以下の表です。

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■みんかぶChoiceキーワード(上位10)

キーワード
fx おすすめ
仮想通貨 おすすめ
ネット 証券 おすすめ
ネット証券 おすすめ
タッチ決済
外貨預金 おすすめしない
ゴールドカード 年会費無料
円高 円安 どっちがいい
クレジットカード おすすめ
楽天カード ポイント 還元率

■みんかぶキーワード(上位20)

キーワード
ダウ平均
みんかぶ
株価
エーザイ株価
株価一覧
為替 ドル
ドル円チャート
ドル円 チャート
ドル円チャート リアルタイム
投資信託 おすすめ
Zホールディングス 株価
為替 ドル円
積立nisa おすすめ
日本郵船株価
株主優待 おすすめ
為替ドル円
配当利回り ランキング
豪ドル
日本製鉄株価
株価検索

「みんかぶChoice」は「〇〇+おすすめ」などの初心者向けのキーワードが並んでいます。「みんかぶ」は為替、株価に関連する中級者向けのワードが多くを占めていますが、10位に「投資信託 おすすめ」13位に「積立nisa おすすめ」15位に「株主優待 おすすめ」が入っています。

このような「〇〇+おすすめ」系の記事は、証券口座の開設や金融商品の購入に繋がりやすく、上位を獲得できると極めて効率の良い(CVの高い)記事に成長します。

メディアの運用を進めるに当たり、2つのメディアのユーザーの棲み分けという観点が薄れたものと考えられます。ミンカブが発表した通り、両メディアは一部のキーワードでカニバリズムが発生していたのでしょう。しかし、それ以上に深刻な問題が見えてきます。

Googleが対策を強化する寄生サイトとは?

同じくahrefsを使って2つのメディアの流入状況を調査したところ、自然検索による流入数が著しく減少していたのは「みんかぶChoice」の方でした。

■みんかぶChoiceのオーガニックトラフィック

■みんかぶのオーガニックトラフィック

「みんかぶChoice」は2022年3月ごろはオーガニックトラフィックが100万を超えていましたが、2023年3月はおよそ半分ほどにまで減少しています。流入数が急減したタイミングが2022年5月でした。

Googleは2022年5月25日にコアアルゴリズムのアップデートを発表しています。Googleが重視するマネーや医療・健康に関連するキーワードが大きく影響するのはいつものことなのですが、近年のGoogleが対策強化しているのがYMYLで横行する「寄生サイト」の撲滅。「寄生サイト」とは、アフィリエイト事業者が医療や金融事業を行う事業者からドメインを借り、サブディレクトリやサブドメインで独自のコンテンツを展開するというものです。アフィリエイト事業者はサイトの利用料をドメインの所有者に支払います。

実業を行う信頼性の高いドメインの力を借りるため、特定のキーワードでの早期の順位上昇が狙えます。2022年5月のアルゴリズム更新は「寄生サイト」の順位の低下が見られた例がありました。

ミンカブは自社で展開するメディアでキーワードのカニバリズムが起こっていた上、コーポレートサイトのサブディレクトリで展開する「みんかぶChoice」が、「寄生サイト」に近いコンテンツであると判断された可能性があります。

キーワードのカニバリズムは当該記事を削除すれば解決するはずですが、「寄生サイト」だと看做されたのであれば、簡単に対策を講じられるものではありません。

飲食店の集客支援を本格化

ミンカブはここにきて組織再編を急ピッチで進めています。

2023年3月20日に連結子会社のProp Tech plus株式会社の売却を決議しました。この会社は不動産証券化業界のJ-REIT ポータルサイト・JAPAN-REIT.COMの運営などを行っています。2022年3月期の売上高は11億7,800万円、純利益は1億5,000万円でした。

このM&Aによってミンカブは2023年3月期に19億4,600万円の譲渡益を計上する見込みです。Prop Tech plusは売上高、営業利益ともに堅調に成長しています。ミンカブはアフィリエイト事業の弱体化によって今期は経常損失を計上します。しかし、子会社の売却によって純損失を回避しました。更に成長に向けた投資にも資金を振り向けています。

子会社の株式会社ライブドアを通して、株式会社GINKANが展開するグルメアプリ事業を4月1日に取得しました。ミンカブは飲食店への集客支援へと手を広げることになります。

ミンカブは2022年12月にライブドアを子会社化しました。それを軸とした成長戦略を描こうとする様子がうかがえます。アフィリエイト事業に急ブレーキがかかり、曲がり角に差し掛かったミンカブの底力が試さ

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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