世界的にオンラインのコマースが新型コロナウイルスの影響もあり成長しています。このコマースをメディアが取り入れていくためにはどうしたらいいか、逆にコマースとしてメディア的な要素を取り入れて進化していくにはどうしたらいいか、Media Innovationでは2ヶ月連続特集として「メディアのビジネスモデルとしてのコマース戦略」(9月)、「メディア化するコマースの戦略」(10月)をお届けします。
新型コロナウイルスで打撃を受けた業界を支援する―――緊急事態宣言などによって影響を受けた事業者やクリエイターなどを支援しようと世界的なムーブメントとして様々な取り組みが行われました。その手段として活用されたのがクラウドファンディングです。その名の通り、何かしらのプロジェクトを起案するユーザーが、それに賛同する多くのユーザーから資金を集めて実行に移すというモデルです。
当初は資金ニーズに対応するモノが多かったのですが、現在ではテストマーケティング的に活用される事も増えてきました。市場の認知も進み、「Makuake」を運営するマクアケは昨年上場を果たしました。そんなクラウドファンディングのサイト構築を100以上も支援する(一部受注済み案件も含む)企業があります。新規事業支援をメインとする株式会社Relicは「ENjiNE」というネットワーク型のクラウドファンディングサイト構築サービスを、メディアを含む大企業に次々と導入しています。今何が起きているのか、同事業を統括する安立剛弘氏に聞きました。
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―――「ENjiNE」はどういったサービスなのでしょうか?
Relicは企業の新規事業を支援する会社で、その軸として(1)SaaS型のインキュベーションテックの提供 (2)コンサルティングによる立ち上げ支援 (3)投資やJV、レベニューシェア型での共同立ち上げ という3パターンがあり、「ENjiNE」は(1)に該当します。新規事業を立ち上げる基盤を提供する事をコンセプトに、約3年前に立ち上がった「ネットワーク型」のクラウドファンディングサイトを立ち上げるためのSaaSです。採用していただければ、大きなリスクなく直ぐにクラウドファンディングの事業を開始できるというものです。
「ネットワーク型」というと聞き慣れないかもしれませんが、同じ「ENjiNE」の基盤を採用しているサイト同士でプロジェクトを共有できるのが最大の特徴です。クラウドファンディングサイトを立ち上げても、通常であれば、自分たちでプロジェクトを起案してくれる人を探さなくてはなりません。どういったプロジェクトを集められるかが成否を分ける肝ではありますが、最も大変な部分でもあります。「ENjiNE」であれば、同じ基盤を利用している他のクラウドファンディングサイトと案件を共有する事が出来るので、ユーザーに飽きられないように定期的に案件を紹介できたり、逆にネットワーク上にある他のサイトにも掲載される事で支援金額が集まりやすくなるといったメリットがあります。
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―――良いところ取りのサービスですね。導入状況はいかがでしょうか?
新型コロナウイルスの追い風もあり、現在は100サイトを超えました(準備中も含む)。昨年末は約20サイトでしたので、直近で大きく伸びています。弊社の提供するネットワーク型は導入サイトが増えれば増えるほど魅力的なプロジェクトが増えるという特徴があることや、日本経済新聞社様の「未来ショッピング」、読売新聞社様の「idea market」、パナソニック様の「TAMATEBA」など錚々たる大企業に採用いただいたこともネットワーク型としての価値を高めることに繋がり、伸びが加速しています。
―――新型コロナウイルスの影響はどの程度あったのでしょうか?