本記事はThe Conversationに掲載された、オーストリアのQueensland University of Technologyでコミュニケーションメディア学を専門とするT.J. Thomson教授とデジタルコミュニケーション学を専門とするDaniel Angus教授とPaula Dootson教授による記事「3.2 billion images and 720,000 hours of video are shared online daily. Can you sort real fromfake?」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。
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Twitter社は、米国民主党大統領候補のジョー・バイデン氏が演説の中でどの州にいるか間違えたという内容の動画を誤った内容の投稿として「ラベル付け」しました。
バイデン氏が 「hello Minnesota」と挨拶している動画の中に『Tampa, Florida』と『Text FL to 30330』と書かれた看板が映っているという内容の動画です。
AP通信の事実確認では、看板はデジタル処理で追加され、元の映像はミネソタの集会からのものであることが確認されました。しかし、動画が削除された時点で、すでに100万回以上の再生回数を記録していたとガーディアン紙は報じています。
ソーシャルメディアを利用している人々の多くは、毎日共有(または転送)されている32億以上の画像と72万時間の動画の内のいくつかを消費しています。大量のコンテンツを目にする中で、私たちは何が本物で何が本物でないのかをどうやって見分けることはできるのでしょうか?
コンテンツ検証ツールの利用も対策の一つですが、デジタルメディアリテラシーを高めることも同様に重要です。
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目にしたものが常に真実ではない
どのような媒体で公開されたとしても、ミス・インフォメーション(誤って共有した虚偽のコンテンツ)やディス・インフォメーション(意図的に共有した虚偽のコンテンツ)は、報道機関や社会運動団体などの市民機関の信頼を損ねることにつながります。しかし、偽の写真や動画の影響力は非常に強力で、虚偽のコンテンツであると判明した後もその影響が残る場合が多いです。
既得権のある政治的利益を持つ人々にとっては、偽の画像を作成、共有、編集することで、視聴者の注意をそらしたり、混乱させたり、操作したりして、不確実性を生み出すことができるといったメリットがあります(特に、すでに二極化している環境では)。また、ポスターやプラットフォームは、捏造されたセンセーショナルなコンテンツを共有することで利益を享受することができます。
国際ジャーナリストセンターによると、ソーシャルメディアのコンテンツ検証ツールを使用しているジャーナリストは世界で11~25%に過ぎません。