本記事はThe Conversationに掲載された、オーストラリアのDeakin Universityでコミュニケーションを専門とするKristy Hess准教授とオーストラリアのRMIT Universityでデジタルコミュニケーションを専門とするLisa Waller教授による記事「Print isn’t dead: major survey reveals local newspapers vastly preferred over Google among country newsconsumers」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。
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オーストラリアの農村地域に住む人々は、地元の情報を得るためにGoogleやFacebookよりも地元の新聞社のウェブサイトに直接アクセスする確率の方が5倍高く、ニュースや情報を得るために議会のウェブサイトよりも地元のニュースサイトにアクセスする確率の方が約10倍高くなっています。
また、地方新聞の読者の約3分の2は、地域のメディアの将来に影響を与える政策が、次の連邦選挙の投票の際、大きく影響すると回答しています。
これは、オーストラリアの地方紙の読者約4,200人を対象に行った全国調査の結果の一部です。
オーストラリアでは、パンデミックの影響で広告予算が縮小し、多くの小規模新聞が廃刊に追い込まれました。また、コスト削減のためにデジタル専用版に移行した新聞もあります。
オーストラリアの地方紙の読者を対象とした最大規模の調査では、FacebookやGoogleが次々とニュースを配信しているにも関わらず、地方紙は地域の住民に情報を提供する重要な役割を果たしていることがわかりました。
これは、デジタルニュースや情報の中心となるハイテク企業の役割に注目が集まっているという観点から考えると、重要な発見です。
連邦政府は最近、ニュースメディアのバーゲニングコードを義務化し、FacebookやGoogleなどのハイテク企業に、自社のプラットフォームに掲載されたコンテンツの対価をニュース制作者に支払うよう求めています。
先週、ACCCは、Country Press Australiaが160の新聞社を代表して、ハイテク企業と交渉することを暫定的に承認しました。
ソーシャルメディア・プラットフォームに広告費を奪われている、信頼性の高いローカル・ニュースを支援するためには、この資金がどうしても必要です。しかし中には、それでも十分ではない人もいるでしょう。
地方紙がオンラインのみになることへの抵抗感
今回の調査では、オーストラリアの農村部や地域の地元紙、つまり印刷版に対する人々の思い入れも明らかになりました。実際、田舎の新聞社の読者の大半(71%)は、オンラインよりも紙媒体で地元の新聞を読みたいと考えています。