【メディア企業徹底考察 #113】新規上場するkuradashi(クラダシ)の成長継続に必要なものとは?

賞味期限切れが迫る商品や季節限定もの、パッケージの汚れなどで正規ルートでは販売できない商品を扱うECサイト「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシが、2023年5月26日に上場承認され、6月30日グロース市場に新規上場します。 「日本で最もフードロスを削減する会社…

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賞味期限切れが迫る商品や季節限定もの、パッケージの汚れなどで正規ルートでは販売できない商品を扱うECサイト「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシが、2023年5月26日に上場承認され、6月30日グロース市場に新規上場します。

「日本で最もフードロスを削減する会社」というビジョンを掲げ、その姿勢に共感する消費者をファンとして取り込んで成長してきました。売上高の成長スピードは速いものの、2022年6月期からは主に広告宣伝費が嵩んだことによる赤字に陥っており、失速している印象を受けます。

会社の成長を追いかけるあまり、取り扱う商品が理念にマッチしないものも多く含まれるようになりました。会社のビジョンに共感したファン離れが進んでいるようにも見えます。

消費行動に社会問題の解決を盛り込んだ新たな事業モデル

クラダシは2014年7月に設立されたグラウクスが前身。2015年2月にソーシャルグッドマーケットサービスを開始しました。創業者で代表取締役社長の関藤竜也氏は、大学卒業後に総合商社に入社。1998年から2000年にかけて中国で勤務していました。そこで大量に食品が廃棄される環境を目の当たりにし、廃棄ロスの問題意識を持つようになったといいます。

国連WFP協会評議員、食品ロス・廃棄に関する国際標準化対応国内委員会メンバーなども務めており、この領域においてはトップランナーとも言える存在です。

クラダシはメーカーや食品卸、小売店などから廃棄予定の商品を仕入れ、消費者に販売しています。仕入れた商品は95%OFFなどと破格の値段で消費者に販売されています。

食品は保存期間が限られるため、中古マーケットへの流通には限界があります。クラダシの取引先は廃棄寸前の商品を販売することができ、消費者は欲しい商品を安く手にすることができます。更に廃棄ロスという社会問題を解決する手段にもなります。クラダシのビジネスモデルは取引先、消費者、社会にとって三方良しとも言えるものです。

クラダシはECサイトの運営だけでなく、大手メーカーのブランド向上支援を目的としたメディア「くらだしマガジン」の運営も行っています。業界リーダーらしい企業や消費者に対する啓蒙活動にも熱心です。

有価証券報告書にはクラダシ会員の特徴として、エシカル消費に対する感度の高いことを挙げています。価格が安いことはもちろんですが、消費行動に社会貢献を織り交ぜて顧客満足度を高めていることが、サービスにおける最大のポイントであり、他のECサイトとの違いだと言えます。

UU数が減少に転じる


《不破聡》

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