電通ジャパン・インターナショナルブランズは、デジタル広告における「アテンション(広告への関心・注目度)」がブランド想起やエンゲージメントに与える影響を検証する調査を実施し、結果を公開しました。本調査は、Mobkoi、Ogury、Teads、Twitchなどの主要プラットフォームと提携し、Lumen ResearchとRealeyesの調査チームと共同で、最新のVision AIと視線計測技術を活用して行っています。
日本国内8000人以上のモバイル端末ユーザーを対象に、7種類の広告フォーマットについて視線の動きを計測。視線追跡、視覚的注意、表情のデータを45種類以上のクリエーティブから収集しました。アテンションは、視聴率 × 平均視聴時間 × 1000 = APM(Attention per mile 、1000インプレッションあたりのアテンション)という計算により、評価しています。

調査結果(一部)
広告視聴時間と効果の相関では、広告の視聴時間が長くなるほど、ブランド想起率が高くなることが明らかになりました。1秒未満の視聴では想起率が21%だったのに対し、10秒以上視聴した場合は41%まで上昇。1~3秒で14ポイント、3~6秒が29ポイント向上し、1~6秒は効率的な時間であることが示されました。
自発的アテンションの重要性も確認されています。ユーザーが広告視聴をコントロールでき、「自発的なアテンション」を獲得した広告は、強制的に視聴させる広告よりも高いブランド想起とブランド選択のスコアを達成しました。強制的に見せた場合と比べて、自発的に5~10秒間視聴した場合は想起率が18ポイント高くなり、10秒以上の視聴では79ポイント向上しています。
リッチメディア(ディスプレイおよび動画)フォーマットが高い反応率とブランド想起率を示し、日本のユーザーエンゲージメント獲得に効果的であることが判明しました。強制視聴型の反応率は高いものの、ユーザーがネガティブな感情を招く可能性が否めません。プラットフォームとオーディエンスに合わせた最適化や、様々なメディアチャンネルを活用したマルチプラットフォーム戦略が重要となります。
また、アテンションに影響を与える5つの要因として、「ビューアブル時間」「強制視聴」「広告の長さ」「動き」「サイズ」が確認されました。これらの要素を意識的に活用することにより、オーディエンスのアテンションを高める効果が期待できます。
今回の調査結果は、デジタル広告の効果測定に新たな視点をもたらし、より効果的なマーケティングキャンペーン展開の可能性を示唆しています。電通ジャパン・インターナショナルブランズは、これらの知見を活かし、クライアント企業の事業成長を支援する包括的なマーケティング戦略ソリューションの提供を目指しています。
デジタル広告は、新指標「アテンション」を取り入れることで、より精緻な効果測定と最適化が可能になると考えられます。今後、広告主や媒体社にとって、アテンションを考慮した広告配信やクリエーティブ開発がますます重要になっていくでしょう。なお、本調査の詳細な結果は、調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー」に掲載されており、PDFでのダウンロードが可能です。