国内電通グループの4社(イグニション・ポイント、電通、電通デジタル、電通総研)は、2024年8月に発表した独自のAI戦略「AI For Growth」を刷新し、「AI For Growth 2.0」を発表しました。
新戦略では、大規模調査データや社内の専門人財知見など独自のAIアセットとAI技術を融合させた「AIモデル」の深化により、マーケティング手法に革新をもたらし、全工程をAIエージェントがサポートする「AIネイティブ化」を目指すとしています。業務効率化とともに、価値向上および事業成長の両面から、顧客や社会の持続的な成長に貢献していく考えです。
AI技術の進化に伴い、企業の意思決定や業務効率化、新規事業創出など多様な場面でAI活用が期待されています。電通グループでは、AI人材育成の一環として、国内グループ39社の従業員1,114人(2024年11月時点)が、AI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための「ジェネラリスト検定(G検定)」資格を取得しています。
今回発表した「AI For Growth 2.0」の一環として、1億人規模のAIペルソナを仮想的に再現する「People Model」を開発しました。この新モデルは、電通独自の大規模調査データをLLMの活用によりファインチューニングすることで実現したものです。多人数・多層のペルソナ群を定義でき、時間の制約を受けずに学習データのない質問に対するアンケート調査やマーケットシミュレーションを実施できます。

また、クリエイターやプランナーといった社内の専門人財が有する知見やアイデア、思考法などを学習させた「Creative Thinking Model(創造的思考モデル)」についても、ビジュアルアイデアの生成が可能となるよう機能を拡充しました。このモデルは東京大学AIセンターとの共同研究結果をもとに開発されたもので、特許を出願中です。
さらに、電通の「AIQQQ FLASH」「AIQQQ TALK」、電通デジタルの「∞AI™」、両社の「AICO2」などのAIアプリケーション群との連携により、ユーザーとの対話を通じて自律的に最適な答えを導き出す「統合マーケティングAIエージェント」の開発を進めています。「統合マーケティングAIエージェント」は、電通グループ内での活用だけでなく、顧客向けにも提供していく予定です。
電通グループは、AI戦略「AI For Growth 2.0」を基盤に、これまでにないAI活用を推進し、顧客や社会の成長に貢献していく方針です。企業の業務プロセス改革への伴走支援や、ニーズに応じたカスタマイズ型AIエージェントの開発・導入などにより、マーケティング業務と顧客のAIトランスフォーメーションを統合的に支援していくとしています。