VUI(音声UI)・スマートスピーカー向けコンテンツ制作・音声広告配信事業に取り組む株式会社オトナルは2013年に創業し、「ビール女子」というウェブメディアを4年間運営後に売却、その後に音声向けの事業に転換しました。

音声領域では、アナウンサーの発話で広告や音声コンテンツを作るサービス「クラウドスタジオ」も展開。ウェブメディアを長年運営してきた経験を活かして、事業を拡大しています。今後どのような未来を見据えているのか、同社の
八木太亮社長に聞きました。

――― いつ頃から音声関連の事業を開始されたのでしょうか。

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音声のソリューション事業は2018年から開始しました。音声事業に参入した理由は、今後はメディアの形がどうなるのか、と考えた時に、2017〜2018年スマートスピーカーの国内販売が開始され、アメリカではPodcastが普及したことで音声広告市場が形成され、成長しつつあり、市場としても面白そうだと感じたからです。

また、記事コンテンツを音声コンテンツ化する際の配信の仕組みが、WEBメディアを外部転載する際に使用するRSSの仕組みと同様だったため、より興味を持ちました。

――― 可能性があると強く感じた体験はありましたか。

私ごとなのですが、一昨年、息子が生ました。そこで、自宅で子供の面倒を見ながら過ごす際に、どうにか仕事ができないかと思ったのですが、0歳児の子守をしながらなので両手が塞がれてしまっているわけです。でも、音声入力をつかえばテキスト入力や記事ライティングもできるので、仕事ができる。その原題体験から音声での入出力は人の生活をよりよく変えるパラダイムになると感じました。

ちなみに、スマートスピーカーは「日本人は話しかけるのが恥ずかしいから普及しない」なんて声もよく聞くのですが、それは結構、短期的な視点でしかないと思っていて、我々の次の世代は親がAlexaやGoogle Assistantに当たり前のように話しかけているのを見て育つことになるので、その世代が大人になるときには、音声のインターフェースは当たりまえのものになっているはずです。もともとSiriなどが存在していましたが、それがハードウェアとしてよりわかりやすく、生活に身近なものになっているので、ここからの普及が一気に進んでいくのではないと考えています。

――― 特に力を入れていることと、音声広告の未来について見解を教えてください。

最近はSpotifyなどのRTB(リアルタイムビディング)で出稿できるネットワーク型の音声広告枠、自社のアナウンサーを始めとした”声のプロ”また、音楽型広告を作成できる”音のプロ”を使って音声広告を作成して配信するサービスを行っています。

音声広告といえば、ラジオなどで長らくやられていた広告市場ですが、音声広告はデジタル化して大きく進化しています。

具体的には、ユーザー属性セグメントへのターゲティングができたり、クロスデバイスアトリビューションによりコンバージョンもとれるようになっています。それによってABテストもできますし、CPA算出も可能になります。

つまり、デジタル広告はこれまで視覚に依存するWEBの広告しかできないと思われていた定量的な効果測定やパラメーターチューニングができるようになっています。

音声が面白いのは、ある側面において、これまでの視覚型のウェブ以上の価値を発揮するという点です。デジタル広告はどうしてもバナーが視覚クリエイティブによるビジュアルの戦いになります。リスティングにしてもSNS広告にしても、画像であり、テキストであり、ビジュアル先行の戦いですよね

一方で、これまでテレビやラジオなどの音声を伴うメディアはサブリミナルな戦いが存在していたわけです。たとえば、大手菓子メーカーや食品メーカーなどの生活消費財などが昔からテレビCMなどで実施してきた音による耳に残るブランディングです。

この音のブランディングの戦いは、視覚型のデジタル広告ではそっくり抜け落ちていたものですが、音声広告ではこの点を押さえられることになります。またCV(コンバージョン)がとれてユーザ属性でセグメントもできることで、ある側面では、視覚型のデジタル広告よりも優れた特徴を持つわけです。

例えば音声の持つリアルタイム性を使えば、今まさにハワイ旅行をしている日本からの観光客が現地で音楽を聞いていたら、その中に音声広告を差し込むことで、ハワイのレストランやお土産などの現地消費を促進することもできます。これは逆にインバウンドなどでも活用できますね。

――― 逆に音声広告の課題や、今後乗り越えていく必要があるポイントなどはありますか。

音声広告の課題は2つあります。ひとつは広告面がまだまだ少ない点。ただ、これについては米国の音声広告市場データを見ると時間とともに解決してくるかなとも考えています。国内でもそこは、VoicyやRadiotalk、ロボスタさんのような音声メディアが増えることで、音声広告面の拡大に期待をしております。動画広告はだいぶ普及してきて、各社さん動画広告は素材としてだいぶもっているのでYouTubeやFacebook広告などでも一度作った動画素材を活用できます。

一方で音声だけの広告は、まだ各社が素材を潤沢には持っておらず、音声広告をお手軽に始める、という状況にはなりづらいようです。

また、音声広告には難しさもあります。それは動画やバナー以上に、広告がノイズになりやすいという点です。たとえば、 Spotifyで懐かしい音楽を聴いていて、感傷的な気持ちになっている時に、ダサい販促音声が流れてきたらどうでしょうか。興ざめしますよね。

つまり、音声広告は記事やテキスト広告以上にネイティブアドの質をあげなければいけないということです。これは、消費者も楽しめる広告、音のタイムラインの中に自然に溶け込める広告である必要があります。

このあたりは私がもともと、自社で広告媒体を運営しており、純広告でネイティブアドを提案してきたこともあり、広告とコンテンツの自然な境目を探求してきたことも現在の事業に直結しています。

オトナルはクラウドでの音のプロであるアナウンサーや音のプロを集めるプロダクトを用意していているので、この課題を解決していきます。

ちなみに、アメリカは国土も大きく、車社会のためラジオの使用率が非常に高いので音声広告が普及しやすいという点はありますが。日本でも地方は車社会ですし、都市部でも通勤電車などの特定の音声が活躍するシーンがあります。

具体的なメディアの媒体読者としては、スマートスピーカーは一番の使用用途は音楽で、私も自宅では音楽とニュースと天気予報を聞くようになりました。利用者は20〜30代が多いように思います。Spotifyは10代から20代前半のミレニアム世代が多く、30代、今後、さらに既存メディアであるラジオがアドテクされると40〜50代も使っていくと思います。

そういう意味でも広告面が多様化していくポテンシャルは十分あるメディアだと考えています。

――― 課題に対してオトナル社は、どう対応しようとしているのでしょうか

オトナルの解決手段はいくつかの手段があります。われわれはまず、広告出稿の敷居を下げ、デジタル音声広告をまず試していていけるようなソリューションをいくつか用意しています。

ひとつは、声と音のプロが集うことで質の高い音声広告を組み立てていけるようなクラウドのプロダクト。もうひとつは、ディープラーニングを活用して独自開発している音声合成のソリューションです。

いずれも我々がめざすのは、デジタル音声広告の出稿を、たとえば現在acebookやTwitterなどのSNS広告に出稿するときのような手軽さで、実施できる状態にすることです。

音声広告がデジタル化することで発揮する真価を、より多くの企業に提供できるようなソリューションを提供していきます。

特集: 音声とメディアの未来

5人のキーパーソンが登壇するイベントは5月22日(水)開催

今回の特集に登場する5名から直接話しが聞ける「Media Innovation Meetup #4 音声とメディアの未来」は5月22日(水)の開催です。

終了後には軽食と飲み物を用意した懇親会も実施します。

※Peatixの画面より領収書の発行が可能です
※当日は名刺を1枚お持ちください(ない場合は結構です)

■概要
日時 2019年5月22日(水) 19:00~22:00
会場 〒160-0004 東京都新宿区四谷3-9 第一光明堂ビル 9F TIME SHARING 四谷 ※四谷三丁目駅から徒歩2分
主催 株式会社イード
入場料 3,000円

■スケジュール
18:30 開場
19:00 開演、主催者挨拶
19:05 各登壇者からプレゼンテーション
    株式会社Voicy 緒方憲太郎 代表取締役CEO
    Radiotalk株式会社 井上佳央里 代表取締役
    シマラヤジャパン株式会社 安陽CEO
    ロボットスタート株式会社 中橋義博 代表取締役社長
    株式会社オトナル 八木太亮 代表取締役社長
20:20 パネルディスカッション
21:00 懇親会
    軽食とドリンクを用意します
22:00 終了

■チケット
チケットはPeatixで販売中です。

※Media Innovation Salonの会員様には1000円引きとなるクーポンを配布中です。ぜひ参加をご検討ください。

https://media-innovation.jp/2019/04/26/media-innovation-salon-open/