先日公開したカオスマップからも分かるように、多岐に渡るユースケースが模索されているブロックチェーン。技術の持つ素晴らしい特性を、いかに現実社会に適応させていくのか、という努力が求められています。

BlockBase株式会社はまさにこの観点に立ってブロックチェーンの実装に取り組んでいる企業。様々な業界の企業とブロックチェーンの導入に向けた取り組みを進めているほか、ブロックチェーンを活用した音楽の原盤権の管理や、3Dデータの流通にも取り組んでいます。同社創業者で代表取締役の真木大樹氏に聞きました。

―――最初に自己紹介をお願いします

2015年から外資系SIerにて貿易管理システムのグローバル展開、化学品総合管理システムの導入に関するコンサルティング業務に参加し、要件定義、設計、開発、テスト、保守などの開発に関する工程を幅広く担当していました。2018年9月よりブロックチェーン関連技術のコンサルティング業務とプロダクト開発を行うBlockBase株式会社を創業し、代表取締役に就任。主にプロジェクトのリードとプランニング、アプリケーションの実装を担当しています。

―――BlockBaseはどういう経緯で創業されたのでしょうか?

自分の持っているイーサリアムの価値を開発を通して上げていくことができればいいなと思ったのがきっかけです。2018年の2月に買い始めたので価格はかなり下がっていますが。

ブロックチェーンを使ったサービスの開発を始めてみて、アート作品を投稿し著作権管理や売買ができるようになるプラットフォームは海外のユーザーを中心に3,000作品ほど投稿され、dApps開発を始めたい人を応援するために作成した開発コミュニティの参加者は数日で500名以上となりました。

個人開発では法的な部分での整理など限界を感じていたころに、CAMPFIREで仮想通貨取引所関連のことをやっていた山村と出会い、BlockBaseを創業し高速かつ大量のプロトタイピングでブロックチェーンのユースケースを模索を始めました。

初期メンバーは、もともとtwitterや開発コミュニティで交流のあったメンバーで、BlockBaseのミッションに共感してくれそうな人を中心に声をかけました。

もともとブロックチェーンが専門ではなく、BlockBaseで初めてブロックチェーンエンジニアになったメンバーが多いのですが、みんなキャッチアップが早く、今ではすっかりブロックチェーンエンジニアとして仕事をしています。

ブロックチェーンのビジネスへの導入をミッションとするBlockBase

―――企業に対してブロックチェーン技術導入支援をされているとのことですが、どういった仕事が多いのでしょうか?

商社、人材系など業界を特に制限せず、幅広にブロックチェーンを導入したい企業のサポートを行なっています。ニーズに応じてライトに相談に乗ることもあれば、実際の開発、運用まで引き受けることもあります。最近はSatellites.jsというブロックチェーンゲームのデジタルアセットの取引を行うマーケットプレイスを簡単に構築できるオープンソースパッケージを展開しているため、デジタルアセットに直結するコンテンツとの相性がよく、その方面での取り組みが増えてきています。

―――企業が感じているブロックチェーンに対する期待、課題感はどのようなものがありますか?

ブロックチェーンに対する期待は大きく、期待が大きすぎてブロックチェーンを魔法の杖のように捉えてしまう場合も多いです。そのため、ブロックチェーンを導入するだけでは特に何も解決しないことを認識し、ブロックチェーンを使う根本的な意義から考えていくことを大事にしています。

その上で、ブロックチェーンを使った分散型のシステムを構築するためには、ビジネスモデルを抜本的に変えたり、業務の役割見直しを行ったりする必要があり、地道な作業が多くなってしまうので、なかなかプロダクションレベルでのブロックチェーン導入については難しいと考えてしまうケースも多いです。

ブロックチェーンを使うから価値がある、というわけではなく、非中央集権型で、自分で自分のデータを管理でき、参加にパーミッションが必要ない等の特性を持った、新しい時代のウェブを作るという大きな文脈の中でシステムを構築していくことが大事だと考えています。

―――Maltine Recordsと取り組んでいるNFTを使った実証実験とはどのようなものでしょうか?

音楽の原盤権をブロックチェーンで管理する取り組みです(プレスリリース)。音楽の視聴権ではなく、原盤権を管理しています。

ブロックチェーンは複製可能なデジタルコンテンツは価値が低いという常識を打ち壊し、デジタルコンテンツに本来の意味でのオリジナリティを持たせる事ができるようになる技術であると捉えています。

単純な視聴権をブロックチェーンで管理しても優位性は示せないと思ったが、原盤権などの権利の付与はスマートコントラクトによって、業務コストを大幅に削減し、いつでも検証可能な状態にできると考えました。

また、編曲や再配布などを通じて、誰がどのようにそのトークンを使ってきたかという内容がさらに作品に対して付加価値をつけていくような世界観が勝手に構築されていくと面白いなとも思っています。

―――同じくDiGITAL ARTISANと取り組んでいる実証実験はどのようなものでしょうか?

3Dアセットのデータと権利の一部をブロックチェーンで管理する取り組みです(プレスリリース)。

VR・ARなどXR技術の発展とユースケースの増加に伴い、3Dコンテンツのデータが身近になってきています。しかし、従来の3Dデータは複製可能であり、著作権・肖像権保護やマネタイズに課題があります。

3Dデータをはじめとするデジタルデータの価値向上のために、「誰が創ったのか」や「誰がどのように使用できるか」が重要であるという仮説を持っており、ブロックチェーン技術を使ってデータの来歴(作成者や改変者などの情報)と権利保有者を明確にすることで、3Dデータの価値向上と、それに伴うクリエイターへの利益還元や創作活動の活性化に取り組んでいくことができればいいなと考えました。

同じような文脈で例えば3Dモデルを動かすためのモーションキャプチャデータなども、単純な動作というデータではなく、「この人のこの動きが使いたい」というような価値観が生まれてくると思っています。

―――コンテンツ管理でブロックチェーンを活用することで、どのような可能性があると感じられますか?

すでに述べたデジタルコンテンツに本来の意味でのオリジナリティを持たせる事ができること、ライセンス管理が手軽になることとなどに加えて、コンテンツをユーザーが実際の物と同じような感覚で所有することができること、も挙げられます。

データの所有権をサービスに依存しない形で管理することができるので、ユーザーは自由に売買や譲渡などを行うことができます。

また、新品/未使用品などの感覚も取引履歴などから認識でき、コンテンツの発行上限などをスマートコントラクトで設定することができるため、限定品などの感覚もより強く認識することができます。

またコンテンツに共通規格を使うことで、サービスを跨いだコンテンツの利用や価値の交換を行うことができるようになり、コンテンツそのものの価値を向上させることもできると考えています。

―――オタクコインを使った「irekae」というサービスも開発されていると聞きました

「irekae」は、オタクコインを使って、ゲームソフトをユーザー同士がシェアできるというサービスです。オタクコイン協会とは、設立当初から弊社の山村が関わっており、BlockBaseの創業前から連携の模索を行っていました。

幾つか連携のパターンはありましたが、弊社に馴染みがあるゲームコンテンツを扱うサービスのirekaeを開発する形となりました。リリース時期は秋口を目指しています。

法定通貨を使うこと無しにゲームが遊べ、またそのゲームを出品する事で新しいゲームを遊ぶ事ができるという、オタクコインだからこそ成立するゲームソフトのシェアリングサービスが成立すると面白いと考えています。

―――様々な領域を見られている中で、特にブロックチェーンの活用可能性が高いと思われるのはどこでしょうか?

ゲーム領域とコンテンツ領域、アイデンティティ領域です。

ゲームは国内からもブロックチェーンで管理されたデジタルアセットを使用するゲームが何本か出てきており、コンテンツ領域は私たちも様々な取り組みを通じてユースケースの提案を行っています。

アイデンティティについても、自分で自分のデータを管理することが必須となる新しいウェブの中で根幹となる領域ですので、私たちも注力していきたいと考えています。

―――最後に、ブロックチェーンで良いプロダクトを作るために求められるものは何だと思われますか?

ブロックチェーンはただの技術ですので、かけ算の相手先が肝要だと感じています。役に立たないサービスはブロックチェーンを使っても結局役に立たないサービスになってしまうため、ブロックチェーンを使用するからより速くなる、よりコストが安くなる、新しい価値を提供できる領域を見つけることが大事です。

また、ブロックチェーンという技術に閉じず、新しいウェブの概念を作るという大きな文脈の中で価値があるものを作るのが大事です。

―――ありがとうございました。

真木氏も登壇するイベント「ブロックチェーンとメディアのこれから」を8月28日(水)に丸の内で開催します。詳細はこちらから

特集: ブロックチェーンとメディアのこれから

  1. 活用が広がるブロックチェーン領域のカオスマップを大公開!全135の企業・サービスを掲載
  2. メディアにおけるブロックチェーン技術の活用とは? 著作権管理と許諾のプラットフォームにも取り組む、コンテンツジャパンの堀代表に聞く
  3. ブロックチェーンで資本主義的な世界を超える!全領域に積極投資を進めるgumi國光会長に聞く
  4. 「ゲーム遊ぶ」だけで生活できる未来を作りたい、ゲーム領域のトークンエコノミーに挑む「GameDays」・・・イード宮崎氏
  5. NFTを使った音楽の原盤権や3Dデータ流通にも取り組む、ブロックチェーンの社会実装を目指すBlockBase真木社長インタビュー
  6. トークンを使ったコンテンツの翻訳プラットフォーム「Tokyo Honyaku Quest」について、Tokyo Otaku Mode、bitFlyer blockchain、イードの3社に聞く

登壇者が出演するイベントは28日(水)に開催

Media Innovationのオフラインイベント「Media Innovation Meetup」では、8月も特集と同じく「ブロックチェーンとメディアのこれから」というテーマで、4名の方をお招きして8月28日(水)に開催します。ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただければ幸いです。

■概要
日時 2019年8月28日(水) 19:00~22:00
会場 Vacans Space5 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル B1F
主催 株式会社イード

■スケジュール
18:30 開場
19:00 開演、主催者挨拶
19:05 各登壇者からプレゼンテーション
    株式会社イード 宮崎紘輔 部長
    BlockBase株式会社 真木大樹社長
    株式会社gumi 国光宏尚 会長
    株式会社bitFlyer blockchain 加納裕三 社長
20:15 パネルディスカッション
20:50 懇親会
    軽食とドリンクを用意します
21:45 終了

■スケジュール
18:30 開場
19:00 開演、主催者挨拶
19:05 各登壇者からプレゼンテーション
    株式会社イード 宮崎紘輔 部長
    BlockBase株式会社 真木大樹社長
    株式会社gumi 国光宏尚 会長
    株式会社bitFlyer blockchain 加納裕三 社長
20:15 パネルディスカッション
20:50 懇親会
    軽食とドリンクを用意します
21:45 終了

チケットはPeatixで販売中です。

サロン会員の皆様には1000円引きのクーポンコードを配布しています。下記からぜひ入会ください。