MIの9月特集は「食とメディアの未来」。進化するメディアやテクノロジーによって人と食との関係がどのように変化するのか、当事者へのインタビューで明らかにします。

様々なグルメメディアがあるなかで、スマホ時代に誕生し、実名制の口コミで急成長を続けているのが、Retty株式会社が運営する「Retty」。どんなお店に行けばいいのか、という人類永遠の課題に、信頼のおける実名の口コミによって解決してきたRettyのこれまでと、目指す未来について同社創業者で代表取締役の武田和也氏に聞きました。

―――創業までの経緯を教えてください

学生時代から個人でECを手掛けるなど自分で事業をやりたい、という想いが強くありました。卒業後は、ネットエイジ(現ユナイテッド)に入社し、3年間広告事業に携わっていました。退職後、すぐに起業したわけではなく、サンフランシスコに渡って約1年間、ビジネスアイディアを模索していました。「日本が世界に誇るようなテーマで」「より大きな課題を解決する」「どうせやるなら、多くの人をHappyにする仕事をしたい」というような事を想いながら、毎週新しい起業プランを考えてしました。その中で「自分が本当にやりたいのか」、「市場の見込みはあるのか」の2つの軸を置いて行き着いたのが、「食」という普遍的なテーマでした。

―――「Retty」は昨年11月には月間ユーザーが4000万人を超えたと発表されています。ここまでの成長を実現できた理由を振り返るといかがでしょうか?

一番大きかったのはタイミングだと思います。サービスを開始した2011年はちょうどスマートフォンが普及を始めた時期でした。その時期にいち早く、スマホファーストトで実名制のグルメメディアを立ち上げたというのが大きな追い風になりました。やはりデバイスが変わると勢力が変わっていきます。当時はmixiとFacebookが競争を繰り広げていた時期でもありました。

それから会社としては非常にオペレーションを重視していて、外から見えるイメージとは異なる価値観を持っていたのかもしれません。口コミの投稿数を拡大するにしても、データをとても重視していて、数限りなく施策を試していって徐々に改善していく。初期の頃から、ユーザーさんとのコミュニケーションを図る為のオフ会や、グルメブロガーの方にに「Retty」を使って貰うための施策なども多く実施していました。

急成長を続けるRetty

―――現在のユーザーはどういった層が多いのでしょうか?

月間4,000万人のユーザーさんに利用していただいているので多くの層の方がいるかと思いますが、その中でも頻繁に使ってくれているのは、20~30代で、都市部に住んでいる比較的お金を自由に使える方達ではないかと思います。これはスマートフォンで始まった比較的新しいサービスという事が大きいように思います。利用シーンとしては、デートや会食など何か目的があって、信頼できる人の口コミを参照したいというニーズがあると思います。

―――競合のグルメメディアとの違いはどのような点にあると考えられていますか?

最近のインターネットは「誰が言ったか」という事が重視されるようになっていると感じますが、「Retty」もまさに実名制の口コミサイトですので、そこが大きな特徴ではないかと思います。

皆さんも、大事なお店選びをする時に信頼できる人にオススメを聞く事があると思います。「Retty」はそういったオフラインで自然発生していることをインターネットのサービスに落とし込んだものだと考えています。信頼性をベースに、自分のオススメを伝える場ですので、基本的にポジティブな口コミが多く、しっかりとお店の特徴を伝えてくれる投稿が集まっています。

―――ユーザーと会う機会はあるのでしょうか?

インターネット越しでデータを見ていてもユーザーさんのこと理解するのには限界があります。Rettyでは創業当初からユーザーさんと社員がコミュニケーションを図るオフ会を開催しています。その中でも大きなものでは毎年1年に一回コアユーザーさんをRettyオフィスに招待して行う「RettyNight」 というイベントもあります。普段ユーザーさんと関わることのない職種のメンバーもユーザーさんの事を知り、自社のサービスのことを客観的に知るめったにない機会として楽しんで参加しています。ユーザーさんの姿を実際に想像しながら仕事に取り組めるようになるというのはとても大きいですよね。

―――ヤフーとの戦略的パートナーシップではどのような取り組みが進められているのでしょうか? (ヤフー傘下のYJキャピタルは同社への出資も行っている)

主に「Retty」の口コミや投稿写真などのコンテンツをヤフーの各種サービスに提供する一方で、当社としてはヤフーからのトラフィックを得ています。また、直近では決済サービスの「PayPay」とも連携を深めていて、共同キャンペーンを実施したり、「PayPay」の加盟店の開拓を、「Retty」の店舗開拓と共同で進めたりしています。また対企業などでは、ヤフーという信頼の置ける企業と提携しているという事実からも有形無形のメリットを得られているように思います。

―――現在のビジネスモデルはどのようなものになっているのでしょうか?

主要事業としては、Rettyを用いた飲食店の集客基盤構築を支援する事業です。「Retty」内での広告掲載、店舗ページの拡充、ネット予約などの予約仲介、見込み客の集客などが特徴にあげられます。競合サービスと比べると歴史も浅いですが、飲食店としては集客が見込めるサービスであれば排他的に契約するものでもないので、これからどんどん拡大していきます。

―――グローバル展開についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

グローバル展開は粛々と進めていく方針で、あまり公開していないのですが、アジアにスタッフを置いて展開をスタートしています。これは経験則ですが、口コミを集めるのに2〜3年、口コミが集まったら、情報をの受け取り手が見やすいサービスにするのに2〜3年、ビジネスとして成立させるのに2〜3年はかかると考えていて、まだ最初の口コミを集めているフェーズです。現在展開している国を最初に選んだのは、新しいグルメメディアが欲しい、こういうサービスを使ってみたい、というニーズがあり、Rettyの世界観がその国のカルチャーと親和性が非常に高かったのも要因だと思います。これからもっと世界に「食」を発信していき、世界中で支持されるグルメサービスを目指していきます。

―――会社として「Retty」以外のビジネスを立ち上げることはあり得るのでしょうか?

新規事業については考えています。グルメに関してはコンテンツやデータも蓄積されているので、全く新しい領域というよりは、今の強みが活かせる領域でチャレンジしようと思います。

―――「Retty Way」という行動指針をとても大切にされていると聞きました

「徹底的にやる」「革新的にやろう」「全てはユーザーのために」という3つを今の「Retty Way」では掲げています。会社のフェーズによって社員が行動する上での指標は変わっていくと思いますので定期的に見直しをしていて、毎回社員全員で考えています。現在のRett wayは1年半ほど前に改定したもので、。その時も、約100名以上の社員全員で考えました。全員で考えたものなので、一人一人が納得感を持っていて、自然と体現できていると思います。みんなが口に出して使っていて、議論や判断の具体的な指標になっていますね。

―――これから「Retty」が目指す世界について教えてください

Rettyを利用してお店に行った時に、より良い体験を提供するのが「Retty」が目指すゴールです。今は行きたいお店を探す際に、自分と好みが近い人の「オススメ」を提供するというところまで実現できましたが、オンラインとオフラインの世界を繋いで実現できることはまだまだあります。行った先にどんな体験が待っているのか、飲食店とも協力しながら、もっと新しい価値を作れると思っています。

9月特集: 食とメディアの未来

  1. メディアとテクノロジーの進化で変化を続ける「食」のカオスマップを公開!
  2. 店舗を持たずにUber Eatsで躍進するゴーストレストラン「筋肉飲料」安原代表インタビュー
  3. 日経新聞とバカンがタッグを組んだ異色の弁当取り置きサービス「QUIPPA」インタビュー
  4. トークンエコノミーで良質な”食のSNS”を構築し世界へ・・・「シンクロライフ」神谷代表インタビュー
  5. 進む飲食産業のデジタルトランスフォーメーション、店舗情報プラットフォーム「Yext」も手掛けるデジタルシフトウェーブ鈴木康弘社長に聞く
  6. 飲食店と一緒にポジティブな食の体験を実現していく、Retty株式会社 武田社長インタビュー
  7. 食から暮らしを豊かにする日本最大級のグルメメディア「macaroni」インタビュー