グルメプラットフォーム「Retty」運営のRetty株式会社が10月30日に東証マザーズに上場することが承認されました。想定価格1150円から計算される上場時時価総額は124億円ですが、新型コロナウイルス感染拡大によって業績が厳しい中での上場で、約4割の株を保有するベンチャーキャピタルが軒並み売出しで約62億円を放出、公募は約2億円という内容になっています(一の部)。
Rettyは2010年11月の設立。「食を通じて世界中の人々をHappyに。」をビジョンとして掲げ、実名制の口コミを特徴とするグルメプラットフォーム「Retty」を運営しています。今年に入ってから緊急事態宣言中はユーザー数が大きく落ち込んでいますが、8月頃には急回復しているということです。収益は飲食店への送客と広告がメインです。
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コロナまでは順調に成長、足元では大方回復
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飲食店への送客事業は「Fun Relationship Management」(FRM)と同社は呼んでいて、毎月の定額料金で新規の顧客集客や来店促進だけでなく、顧客管理やリピート集客の仕組みを提供しています。今期は新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいますが、前期には年間で13億円規模にまで成長しています。有料店舗数もストック型で増加をしていて、一時的な落ち込みはありましたが、8月末時点で9678店となっているとのこと。
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広告ではRetty上でのタイアップ、アドテクノロジー(運用型広告)、同業他社の飲食店予約サービスとの提携によるアライアンスで構成される「広告ソリューション」と、79万店におよぶ店舗データ、写真データ、実名口コミデータ、ユーザーログなどを「Food Data Platform」としてクライアントに月額料金で提供する「コンテンツソリューション」で構成され、前期では9.5億円の規模となっています。
飲食店のデジタルトランスフォーメーションを成長の軸に
新型コロナウイルスの影響は大きく、今期は前期を下回る計画ですが、月間利用者数は91%まで回復、FRMの有料店舗数は純増傾向に回復しているとのこと。また、飲食店のデジタルトランスフォーメーションが促進された事を好機として、飲食店向けの予約・決済などのEC事業、店舗オペレーション改善のための業務効率化支援事業などを推進。2020年秋にはユーザーがスマートフォンで注文・決済ができるようになるモバイルオーダーのサービスを提供開始する予定だとのこと。
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業績は2019年9月期(前期)に黒字化。ただし今期は新型コロナウイルスの影響もあり前年を下回る計画で、第3四半期までで売上高17億1187万円、経常利益2076万円、純損失4637万円となっています。RTMで休業を余儀なくされた一部の飲食店に対して費用を免除したり、広告の受注が減少したとしています。また課税所得の発生が見込まれなくなったことから、繰延税金資産を取り崩しています。
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なお、新型コロナウイルスの影響による運転資金需要に備えて、5月にきらぼし銀行、商工中金から4億円の借り入れ、りそな銀行と2億円まコミットメントラインを締結しています。
ヤフーグループとの連携が鍵か?
大株主は創業者で代表取締役の武田和也氏が29.4%を保有。第2位はヤフーグループのYJキャピタルが13.12%を保有。ヤフー親会社のZホールディングスは上場時に8億円を買い増しする計画で、ヤフーとの連携で成長戦略を描いて行くことになりそうです。
Japan Ventures(フィディリティ)、WiL、AT-1(グリーベンチャーズ)、CA Startups(サイバーエージェント)、テクノロジーベンチャーズ(伊藤忠テクノロジーベンチャーズ)、NTTインベストメント、三菱UFJキャピタルなどの大株主のベンチャーキャピタルは大半の株を売却する方針。
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