グーグルは3月30日、Google Chromeで「Federated Learning of Cohorts(FLoC)」の試験運用を開始することを発表しました。クッキーのブロックが加速するなか、ユーザーのプライバシー保護とパブリッシャーの広告収益の両立を図る狙いがあるようです。
現在、多くのパブリッシャーがクッキーベースの広告に依存しており、ユーザーがクッキーをブロックすることでフィンガープリンティングのようなプライバシーを侵害する技術が生み出されています。そこで同社は、新たなプライバシー保護技術開発の取り組み「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」を2019年より実施しています。これはクッキー廃止後もパブリッシャーがビジネスを成長させ続け、コンテンツへのユニバーサルアクセスが可能なウェブサイトを維持することを目的としています。

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その具体的なウェブ技術として試験運用されるのがFLoCで、同社は試験運用で得られた意見や知見に基づいて今後改良していく意向です。FLoCでは、似たような閲覧履歴を持つ何千人ものユーザーをまとめてコホート(群れ)を識別します。パブリッシャーはコホートに対して適切な広告を表示するので、ユーザーのプライバシーを保護できるということです。コホートはユーザー個人の詳細データに基づくものではなく、どのコホートに属するかはユーザーの閲覧履歴の変化に応じて頻繁に変わります。

FLoCはグーグルと閲覧履歴を共有することはなく、パブリッシャーに提供される情報はコホートの識別番号のみで、ユーザー情報を追跡できるサードパーティクッキーとは異なります。コホートが小規模の場合は個人を特定できてしまう可能性もゼロではないですが、グーグルクロームでは機密性が高いと判断した場合、グループを作成しない機能が導入されているということです。ブラウザがコホートを決定する際に、特定のサイトへの訪問を含めないようFLoCをオプトアウトもできます。
FLoCの試験運用は、オーストラリア・ブラジル・カナダ・インド・インドネシア・日本・メキシコ・ニュージーランド・フィリピン・米国の一部のユーザーを対象に行われており、トライアルが世界的に拡大するのに合わせて今後他の地域にも拡大される予定です。
ただし、現在クロームでサードパーティクッキーのブロックを選択している場合は、今回の試験運用の対象にはならないということです。同社は4月に、FLoCやその他のプライバシーサンドボックス提案への参加を拒否するための管理UIを導入する予定です。
クッキー廃止の動きが加速し、パブリッシャーの広告収益減少が懸念されているなかで、FLoCのようなツールを効果的に使うことが広告収益維持へのカギとなりそ