8月24日、ジャーナリズムに関する教育や研究を行っている非営利組織ポインター学院は、CNNが直近で200人ものジャーナリストを採用しようとしていることを報告しました。著者の友人であるCNN人材開発部役員のRamon Escobar氏からの情報によれば、ジャーナリストだけでなくトップマネジメントやプロデューサー、編集者なども合わせて450人もの人数の採用を計画しているとのことです。この大きな目的として、2022年第一四半期に米国で開始予定のストリーミングサービスCNN+の世界進出があると伝えられています。
新たなサブスクストリーミングサービスCNN+
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CNNは7月に新たなサブスク形式のストリーミングサービスCNN+を発表しました。CNN+は既存のテレビ版CNNと並列する形となり、1日に8時間から12時間のライブ番組を提供する形になるということです。番組内容については前述のライブ番組に加えて、気候変動、中東関係、人種問題などのトピックに焦点を当てたドキュメンタリーも放映されるようです。
登場の背景としては、近年米国で急増しているケーブルテレビや衛星放送の解約=「コードカット」があります。Business Insiderによれば、2020年末までに米国の約3,120万世帯が有料放送を解約した言われ、2024年には米国世帯の3分の1がコードカットを行うとも予想されています。
こうした状況で登場したCNN+は1980年の創業以来最も重要な取り組みと位置付けられており、人材募集の規模も創業以来最大となっているようです。
CNNが求める人材層
CNNがCNN+の立ち上げに伴い募集した人数は450人に上ります。募集している職種は多岐にわたり、トップマネジメントからプロデューサーや編集者、レポーターなど現場担当者まであらゆる階層のジャーナリストを必要としているようです。Ramon Escobar氏によれば、ジャーナリストだけでも200人もの人数を採用しようとしているとのことです。さらに、必要な人材はジャーナリストだけではなく、多方面のスペシャリストも含まれています。具体的には、番組制作、技術、マーケティング、アナリティクスの分野が挙げられます。
Escobar氏によれば、既にいくつかの組織でジャーナリストのスカウトに成功していることが伝えられています。彼は、ローカルやネットワークテレビだけでなく、紙媒体出身者やオンラインで活躍するジャーナリストをスカウトしているとのことです。ほかにも有望なスカウト先としてCNNのジャーナリズムワークショップが挙げられています。この場に集まるジャーナリスト組織に全米黒人ジャーナリスト協会、全米ヒスパニックジャーナリスト協会や全米LGBTQジャーナリスト協会などがありますが、このワークショップ関係だけで50人以上がスカウトされているようです。
飽和状態におけるCNN+の活路
CNNがこのような大規模な人材採用を進める背景として、CNN+の世界進出があるとEscobar氏は語ります。実際、国内におけるサブスク形式のニュースサービスは飽和状態であり、競争が激化している状況です。既にCBS News、MSNBC、ABC News、Fox Newsなどが先行してサービスを提供しており、CNNは大きく出遅れていると言えます。
他サービスとの差別化として、CNN+ではインタラクティブ・コミュニティと呼ばれる機能が提供されます。これは、視聴者がリアルタイムでライブ番組中のタレントや専門家とやりとりを行うことができるもので、CNNによるインタビューや会談の場にリアルタイムに参加できるようなものと言えるようです。ニュースをストリーミングすることは一般的ですが、これはそれ以上のインタラクションを提供している、とEscobar氏は言