【メディア企業徹底考察 #23】受信料値下げでスリム化を推進するNHKは、新たな「らしさ」を確立できるのか?

2020年度の日本放送協会(NHK)の事業収入が前年比3.6%減の7,121億円となり、過去5年で初の前年割れとなりました。直接的な原因は2020年10月に地上契約で月35円、衛生契約で月60円引き下げたことによるものです。引き下げた金額はわずかに見えますが、家庭や企業の支払…

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2020年度の日本放送協会(NHK)の事業収入が前年比3.6%減の7,121億円となり、過去5年で初の前年割れとなりました。直接的な原因は2020年10月に地上契約で月35円、衛生契約で月60円引き下げたことによるものです。引き下げた金額はわずかに見えますが、家庭や企業の支払い率が80%以上に達するNHKにとってその影響は少なくありませんでした。

■NHK収支推移(単位:億円)

決算概要をもとに筆者作成

受信料の値下げの影響は、160億円に上っています。

決算概要より

2021年度は受信料が2020年比2.7%減の6,714億円、事業収入を同3.2%減の6,900億円で予算を組んでいます。純利益に該当する2021年度の収支差益は230億円を見込んでおり、例年と同じ水準となる計画です。すなわち、経費削減をこれまで以上に進める必要があるのです。

この記事は、番組制作費や人件費を見ながらNHKの行く末を占うものです。

大型企画が消えて小粒化するNHKの番組

NHKの自己資本比率は60%を超えており、一般的な企業と比較して財務状況は安定しています。ただし、日本テレビは80%、業績が不調気味のTBSでも自己資本比率は70%を超えており、テレビ業界の中でNHKが突出して資金的な余裕があるというわけではありません。NHKは公共放送という特殊な形態をとっており、予算については国会審議で厳しくチェックされています。また、民放各社は不動産事業など利益率の高い事業によって収益率を高めていますが、NHKはそのような戦略がそもそもとれません。

そのため、値下げの影響は組織の財務状況に直撃します。NHKは人件費や番組制作費を大幅に削減しなければなりません。

NHKは、2019年の事業収支が7,384億円となり、過去5年で最高となりました。2019年と2020年で支出の中身はどのように変化しているのでしょうか。

■主な支出項目の比較(単位:億円)


《不破聡》

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