地方紙リー・エンタープライズがアルデンによる買収提案を「過小評価」として拒否・・・サブスク65%増と好調アピール

米ヘッジファンドのアルデン・グローバル・キャピタルによるメディア企業リー・エンタープライズの買収提案について、12月9日、リー社の取締役会が全会一致で拒否したことがわかりました。リー社のコメントによれば、アルデン側は同社を著しく過小評価しており、買収が自社及び株主にとって最高の利益にならないと判断したとのことです。背景には、第4四半期の決算が好調であり、ローカルメディアで最も急速成長しているデジタルサブスクリプションプラットフォームであるという自負があるようです。

リー社取締役会による買収拒否

11月22日、米アルデンはリー・エンタープライズに対し、買収提案を行いました。アルデンのようなヘッジファンドによるローカルメディアの買収は米国で相次いでおり、米地方紙は存続の危機に立たされています。今回の買収が成立すればガネットとの二大勢力構造が形成されることもあり、その行く末に注目が集まっていました。

11月24日にリー社は買収防衛策であるライツプラン(「ポイズンピル」とも呼ばれる)の適用を発表し、対決の姿勢を見せることとなりました。そして12月9日、リー社の取締役会は正式にアルデンからの買収提案を拒否することを発表しました。

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リー社会長のMary Junck氏は、「アルデンによる買収提案はリー・エンタープライズを著しく過小評価しているものであり、ローカルメディアで最も急速成長しているデジタルサブスクリプションプラットフォームを提供している我々の強みを認識できていない」と言います。このような非常に自信に満ちた主張をする背景には、同日に発表されたリー社の好調な第4四半期決算があります。

背景には好調な四半期決算

リー社は12月9日に2021年第4四半期の決算を発表しました。その決算は非常に好調であり、総売上高は2四半期連続で増加し、1億9390万ドルとなりました。同社は、2021年初頭に打ち出した「3本柱のデジタル成長戦略」の成果が出てきていると見解を示しています。また、この成長を牽引した要因は、

  • デジタルサブスクリプションの収益が28%増加したこと
  • Saas型コンテンツプラットフォームTownNewsの収益が8%増加したこと
  • デジタルマーケティングサービスを提供するAmplified社の収益が71%増加したこと

であるとも述べています。

デジタルサブスクリプションについて、その加入者数は前年同期比で65%もの増加を示し、40万2,000人に到達したと報告されています。さらに、広告、サブスクリプション、サービスを合わせたデジタル分野全体の収益は37%増加し、収益全体の34%を占めるまでに成長しました。この好調な業績から、社長兼CEOのKevin Mowbray氏は、「リー社はローカルメディアで最も急速成長しているデジタルサブスクリプションプラットフォームである」とも述べています。

Amplifiedは前年同期比71%も成長

収益を牽引する要因のうち、注目したいのがAmplified社の成長です。同社は、デジタルマーケティングサービスを提供するリー社保有の企業であり、四半期の収益は前年同期比の71%増の1,200万ドルというめざましい成長を遂げました。主にローカル広告主をターゲットにした事業を展開し、カスタム化されたビデオ広告、Eコマースの構築と強化、ファーストパーティーデータの収益化を提供しています。特にビデオ分野の成長が著しく、収益が前年同期比の2倍を超える213%増の210万ドルとなっています。

堅調に成長するリー社の行く末はどうなるのでしょうか。引き続き注目が集ま

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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