メディアのDXを支援するCCI、EC展開も包括的にサポート・・・特集「メディアとコマースの2021年」

3年連続で特集を組み、毎回大きな反響を呼んでいる「メディアとコマース」。この記事では、11月に株式会社CARTA COMMUNICATIONS(CCI)が立ち上げたメディア向けEC開発支援サービス「TORAMe(トラミー)EC開発支援サービス」について取り上げます。

メディアレップ大手が手がけるEC支援とはどのようなもので、メディアがEC事業に取り組む意義とは何か? いちメディアとして知りたいことからメディアのDX化における課題まで、CCIが見つめるメディア業界の現状も含めTORAMe EC開発支援サービス担当のお三方にお話をお聞きしました。

CCIの唐崎氏(右)、加藤氏(左)

なぜ今、メディアがEC事業に取り組むのか。その意義とは?

―――始めに皆様の自己紹介をお願いいたします。

唐崎氏(以下、唐崎): ECのコンサルティング事業を手がける会社を経てCCIに入社し、主にメディア企業様を対象にDX推進を行う部署に所属しております。11月に立ち上げた「TORAMe(トラミー)EC開発支援サービス」のメイン担当をしております。

加藤氏(以下、加藤):2011年に入社後、電通に出向し、デジタル業務遂行担当としてナショナルクライアントを中心に、総合的なプランニングを担当していました。帰任後は運用型広告のオペレーションやコンサルを経験したのち、現在のECマーケティングチームに配属されています。

当部署では「コマースコンテナ」というECソリューションのサービス開発及びクライアント提案をしており、その中で自社のD2Cブランドを立ち上げたノウハウをもとに、クライアントへのサービスを強化している状況です。

西氏(以下、西):私も入社後から電通へ出向しており、帰任後はSSPなどのプラットフォームベンダー向けの窓口を担当しておりました。その後大手コマースモールにてメーカー向けの販促コンサルタント業務に従事し、同社がメーカー向けコンサルを提供し始めた時期にジョインしたため、現在もその際の知見を生かしコマースコンテナのコンサルに従事しています。

―――TORAMe EC開発支援サービス誕生の背景についてお聞かせください。

唐崎:弊社は長らくメディアレップ支援で媒体社とのお付き合いがあったのですが、広告収益モデル以外のマネタイズ方法が広がり、広告以外の支援も行うことが媒体社の成長をお手伝いをする上では必須となって来ました。

その中でUXデザインやデータ周りのインフラ構築、運用型広告などの知見を貯めていき、直近ではサブスクリプションサービスを開始されるメディア様向けのご支援や、グループ企業としてBPO会社を設立するなど、新たな取り組みに対するニーズに対してのサービスも多く提供しております。

そういったご支援をそれぞれの部署で提供していたのですが、今年に入ってから一気通貫でメディアの支援をする窓口を作った方が良いのではないかという動きが出てきました。そこで生まれたのがTORAMeというブランドです。さらにECや販促の知見がある加藤と西を別部署から呼び、11月9日に立ち上げたのが「TORAMe EC開発支援サービス」です。

―――各種支援サービスをひとつのブランドにまとめたのがTORAMeなのですね。メディアがECに取り組む意義について、お聞かせください。

唐崎:多くの媒体社が、メガプラットフォーマーの台頭やクッキーレスで、従来の広告モデルでは今後の収益を支えられないという不安を抱えていらっしゃいます。新たなマネタイズ手法を模索する必要があるということと、ファーストパーティーデータの拡充も課題ですが、既存のビジネスモデルではユーザーと直接繋がることにハードルがあるんですね。これまでザッピングで見られていたコンテンツが会員にならなければ見られないとなると、ユーザーが離れてしまう可能性もあります。

ECサイトは一度個人情報を入力すればその後の入力が不要ですし、「物を買う」という新たな目的があれば、ユーザーは登録を手間とは感じない可能性が高い。そして、メディア側は商品を通じて世界観をさらに深いところまで伝えることもできます。更に購買データを獲得できれば、データとしての強みになり、ユーザー分析の深堀りも可能です。拡大が見込める市場で新たな顧客を獲得し、既存事業の拡大や新規事業への足がかりを掴むという部分が、EC事業を手がける意義かと思います。

資産の洗い出しから販売までワンストップでサポート

―――サービスの内容についてお聞かせください。

唐崎:「TORAMe EC支援開発サービス」は弊社のDX推進というアセットの中で、EC領域に特化したサービスになります。日本のB2CのEC化率は右肩上がりで、コロナ禍で更に進んだと言われています。コロナ禍が落ち着いた後も消費スタイルとして定着し、市場は拡大し続けていくでしょう。EC化率は欧米に比べるとまだまだ低く、全体の消費量を見ると伸び代もあります。

ただ、お付き合いのある企業様にEC事業への関心をお聞きすると、興味がある一方で参入には多くの判断や手続きが必要で、デジタル推進部や担当者がひとりで手がけるのはかなり大変だというお話を聞きます。

そこで各社の状況をヒアリングし把握した上で、我々が必要なサービスやソリューションをご提供していきます。まずはメディアに合わせたECの方向性をご提案することがメインになります。第一段階として、各メディアの持つ価値、特長を理解することに注力します。

―――具体的にはどのように進められるのですか?

メディアはユーザーありきですから、UX起点でメディアを通じどのような体験をしているのか、どのような体験を求めてサイトを訪れるのかを定性、定量的に調査し、アクセス解析などで出てきた内容に加え、社内インタビューなどでそのメディアがどんなことを大事にし、どういうアセットを持っているかを探ります。そうして抽出したアセットを最大限にECに生かせるよう、媒体社ごとに最適なビジネス設計を行い、ECの設計図をお出します。

その設計図に合わせ、必要なソリューションやツールをご紹介・ご提供し、サポートさせていただきます。

―――方向性が定まった後は商品を売る段階に入ると思いますが、その部分のサポートについてはいかがでしょうか。

加藤: Amazon、Yahoo! ショッピング/PayPayモール、楽天といった日本の3大モールと、Shopifyを使った自社ECサイト、インスタグラムショッピングなどのソーシャルコマースの導入支援まで、主要チャネルでの販促をワンストップで支援できる体制を整えています。

チャネルの特性を理解した上で参入市場や競合の分析をしながら、どのような商品をどのチャネルで売るかという戦略を策定し、在庫管理や出品準備をしていきます。

ECコンサルティングサービスでいうと、3大モールの出店、出品支援というところから物流周り、デザインの制作も行いつつ、新しいECを立ち上げる企業様や既存ブランドの売り上げを伸ばすようなご支援を提供します。

店舗転換率支援に関しては、商品ページの分析、ページ改善、撮影やライティングに加えSEO対策にも対応し、コンバージョンを上げていくような施策を取っています。広告関連では各モールの検索連動型広告やディスプレイの広告運用をさせていただき、広告データを分析、PDCAを回して売り上げを伸ばしていくという形です。

CCIはECのShopify Plusパートナーに認定されておりますので、ハイエンド顧客向けの開発や機能の追加にも対応し、インスタやTikTokなどの既存媒体との連携もトータルでサポートさせていただきます。

D2Cブランドの立ち上げやオリジナル商品の開発支援については、戦略策定から事業計画、商品開発、企画から製造までを行い、ECの構築運用、モールの運営代行、さらにはメディアプラン、広告運用、TikTokやインフルエンサーを活用したマーケティング、フルフィルメントについては受注からワンストップで対応できる内容となっています。

―――ECに関わること全てに対応できる体制が整っているということですね。商品開発についての事例はありますか?

加藤:TORAMeは立ち上げから間もないためこれからとなりますが、自社の商品で言いますと4月にメンズスキンケア商品を立ち上げ、雑誌の掲載やグッドデザイン賞受賞などの実績が出てきています。そのノウハウをクライアントのサービス拡充に活用していきます。

ECでのメディアの強みはブランド力とコンテンツ制作力

―――メディアが取り組むECと一般的なECの違い、またECに適したメディアというのはあるのでしょうか?

唐崎:メーカーは商品力、モールは価格競争や品揃えという強みがありますが、メディアにはこれまで培ってきた世界観やブランドイメージ、コンテンツの制作力があります。

今はライブコマースやECサイトでもギミックを使った見せ方や、SNSと連携しコンテンツと連携して売っていくという動きが広がってきたので、メディアが参入する時期としてはいいタイミングだと感じています。

全てのメディアがやり方次第でEC事業を手掛けられると思いますが、コンテンツマーケティングに活用していくのであれば、ユーザー像が明確などの強みをお持ちのメディアは戦略が立てやすいですね。例えば、美容系メディアが取り上げる化粧品には信頼感があります。ブランド力が購買をサポートするように感じますので、ECで活用しやすいと思います。

―――価格で勝負するのではなく、コンテンツやブランドの力で売るということですね。ECは売り上げが立たなければ継続が難しいと思いますが、そこに対する工夫はありますか?

唐崎:ECは先行投資が必要になる部分が大きいのですが、一度軌道に乗ってPDCAをしっかり回せば回収できるビジネスモデルになり得ます。そのために全てを外注し続けるのではなく、媒体社にノウハウをお伝えし、自社で回せる体制をつくっていただくことを大切にしています。

ロジ周りなどの外注せざるを得ない部分を除き、他を媒体社自身が回していけるようになると、利益率は大きく上がります。弊社がデジタル黎明期から持ち続けてきた「デジタル社会の中で事業をより豊かに展開していく」という観点から、事業を長く続けていただけるためのご支援を重要視しています。

―――長く続けるためには、定番で売れる商材作りも必要になりそうです。

唐崎:そこはメディアの特性によって競合調査やマッピングなども活用し、コンサルで決めていく必要があると思っています。購買データを分析に加えることでユーザーインサイトが深掘りできますので、コンテンツ開発や広告商品の開発にもつなげることができます。

―――EC事業支援において、CCIならではの強みはどのようなところでしょうか。

唐崎:プラットフォーマーとの繋がりがあるので、プラットフォーマーからいただけるデータを分析し、施策に活用できるのは弊社の強みです。また、長らく広告運用を手がけていますので、販促手法のデータ量は日本有数なのではないかと思います。

ECの特性上、立ち上げ時に多少プロモーションが必要になる部分があるのですが、これまで蓄積したデータからある程度の効果が予測でき、無駄打ちにならないプランニングを立てられることもあると思います。

―――B2BよりもB2Cメディアの方がECを手がけやすいということはあるのでしょうか。

唐崎:B2BのメディアはEC事業を敬遠される方が多いのですが、最近のトレンドはモノ消費からコト消費、トキ消費と進んでいますので、toBの会社でもウェビナーチケットやビジネスコーチングを販売するケースが多く見られます。ECの可能性はますます広がってきていますので、B2B企業がECでできることはたくさんあると思います。

ECをDXの足がかりに。動画学習で媒体社の土壌を醸成

―――リアルグッズでもデジタル商材でも、ユーザーにサイト上で購入してもらうという体験は、より大きなものに繋がっていく可能性がありますね。

唐崎:雑誌がこれまでハガキで集めていた情報をデジタルに変えればユーザーも便利ですし、媒体社側もデータの貯め方という点でメリットがあり、DX化にもつながります。従来アナログで進めていたところを、デジタルに移行した方が便利な部分はないかというご提案を含め、その手段がECに集約されると考えています。

―――広い意味では、媒体社がDXを進めるためにどう変わるかというところなのでしょうね。メディアは今後、どうすればDX化できるのでしょうか?

唐崎:企業内でDX化に向き合っていらっしゃるのが、デジタル推進部やデジタル全体を統括されている部署なのですが、これまで紙媒体でやってきた媒体社はデジタル化が進んでいない部分があり、会社全体を動かせないという問題を抱えています。デジタルメディアでも複数の媒体を持っていらっしゃる会社は、編集部によって方向性や共通認識が異なるようです。

DX推進についてのアンケートを媒体社向けに実施すると8割が進行中、着手予定と答えても、蓋を開けてみると会社全体のITリテラシーと人材が不足しているという課題が、ほぼ全社で出てくるんですね。課題の共通認識が醸成されていない、会話する時の共通言語がまちまちという声もよく聞かれます。

―――デジタル担当以外の大多数が、DXの推進を理解していないということですね。どのように状況を変えれば良いのでしょうか。

唐崎:TORAMeの中では、DX周りの基礎知識が身につくeラーニング事業も提供しています。DXはコンサルが入ってもなかなか難しいという話を聞いていたので、忙しい編集者でも移動などのスキマ時間で見られるよう、1本5分程度の動画を配信しています。さらに知識のブラッシュアップを図るための研修サービスもあり、各社の現状に合わせてサービスを提供しています。

価格もついてはいますが、この事業に関しては採算度外視で行なっています。媒体社に知識を持っていただければ我々のご提案も通りやすくなりますので、最終的にTORAMeのその他のサービスに繋がることを期待しています。

―――ECを手がけるなら今がチャンスということですね。

唐崎:はい、コマースコンテナのウェビナーなども開催しておりますので、EC事業にご興味があるメディア様はぜひお問い合わせ頂ければと思います。

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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