アンバサダープラットフォームを展開するアジャイルメディア・ネットワーク株式会社が、2021年12月期に3億6,800万円の債務超過となりました。アジャイルメディアは2022年12月末までに債務超過を解消できない場合、上場廃止となります。ところが、2022年12月期は4,200万円の純損失を予想しており、利益を出すことによって債務超過を解消することは絶望的とも言える状況となりました。
元CFO石動力氏が2億6,800万円を不正に出金したとして辞任。警視庁が業務上横領の疑いで逮捕しました。アジャイルメディアは資金調達の要であるCFOを失って手詰まりになりました。
しかも、2020年7月6日に資金を調達をするため、Oakキャピタル株式会社に対して397,900株分の新株予約権引受契約を締結していましたが、不適切会計が発覚したアジャイルメディアに対してOakキャピタルが契約違反に伴う違約金6億8,000万円と遅延損害金を求めて訴訟を起こしています。裁判の行方次第では違約金を支払うこととなり、アジャイルメディアは追加の損失を出すことにもなりかねません。
四面楚歌ともいえるアジャイルメディアは上場を維持できるのでしょうか。
目次
上場後の業績は悪化の一途を辿る
アジャイルメディアは2018年3月28日にマザーズ市場(現:グロース市場)に上場しました。公募価格3,000円に対して初値は415.7%高い15,470円をつけました。市場の期待が極めて高い会社でした。
しかし、上場後の株価は低迷します。
■アジャイルメディア・ネットワークの株価推移
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アジャイルメディアが会計監査人から不適切な会計処理があることを指摘されたのは、2021年12月期第1四半期のレビュー。株価はそのはるか前から下がり続けています。
株価の下落が止まらなかったのは、アジャイルメディアの業績が低迷していたため。上場したタイミングの2018年12月期の業績は好調でしたが、それを境にして売上高が縮小へと転じます。
■アジャイルメディア・ネットワークの業績推移(単位:百万円)
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アジャイルメディアは、2019年12月期に主力の「カタパルト」事業の固定資産の減損損失を計上しています。それがこの期に赤字に陥った大きな要因です。この時点で収益柱となるサービスの伸び悩みが鮮明になっていました。
サービスが縮小することに焦ったのか、2019年7月に動画を自動生成するサービス「PRIZM」を運営するクリエ・ジャパンの全株を取得して連結子会社化しています。株式の取得価額は1,900万円と大きくはありませんが、クリエ・ジャパンは2016年12月期から3期連続の営業赤字を出していた会社。買収したアジャイルメディアは損失額を広げる結果となりました。
追い打ちをかけるように、取締役1名による不適切会計という不運に襲われることになります。