「コンテンツ編成で収益最大化を」文春のデジタル戦略・・・文藝春秋・村井氏

Media Innovationでは、メディアのグロースを支援するプロダクトを提供するPIANOの協力の下、オンラインカンファレンス 「Media Growth Summit 2022」 を5月27日(金)に開催します。業界のキーパーソンがメディアの成長に向けた戦略を語ります。

「文春砲」という異名にも見られるように、株式会社文藝春秋が発行する「週刊文春」は高いコンテンツ力で知られます。デジタル展開は、複数のチャンネルを活用し、その高いコンテンツ力を存分に発揮する形で行われているということです。

「週刊文春」編集部次長・電子版コンテンツディレクターでMedia Growth Summit 2022にも登壇する村井弦氏に聞きました。

―――文春のデジタル展開が加速しています。村井さんは、以前は月刊文藝春秋の電子版である「文藝春秋digital」にいらっしゃいましたね

いま携わっている「週刊文春 電子版」は2021年3月にローンチしました。もともと広告モデルの「文春オンライン」というサイトがあり、それに対してサブスクリプションモデルを採用したサイトになります。当初は専任の担当者がいなかったのですが、2021年7月に私が異動して担当になりました。

―――月刊誌の電子版と週刊誌の電子版では大きく異なりますね

そうですね。雑誌の特性が全然違いますし、コンテンツが出てくる頻度が全く違います。ですから戦略は完全に別物になります。月刊は読み物が多いですが、週刊はスクープなどの速報性の高いコンテンツが中心という特徴もあります。

―――どういった事を考えてコンテンツを編成しているのでしょうか?

最大の特徴はコンテンツの特性に合わせて出し先を変えている事です。サブスクリプションの「週刊文春 電子版」、広告モデルの「文春オンライン」、そしてLINEで単品買い切りの「週刊文春」という3つの媒体をコンテンツの内容によって使い分けています。これを文春オンラインの編集長と手分けしながら采配して、デジタルでの収益を最大化するのが自分の仕事です。

それぞれビジネスモデルが異なるので、お客さんの動きも異なります。沢山の人に読まれる事で価値が出る記事、そこまで大衆には広がらないけど確実に訴求できる記事、長く連載する事で興味を持続させられる記事、そうした特性に注目しています。また、媒体ごとのユーザー属性も気にしています。

「週刊文春」には毎週、沢山の記事が載ります。どんな記事が載るかはコントロールできないので、どういう出し方をすれば最大限に活かせるか、という事を日々考えてきて、少しずつ分析しながら、徐々に良い傾向が見えてきました。

―――課題はどんなところにあるでしょうか?

「週刊文春 電子版」の立場から言うと、持続性のあるコンテンツをどう作るかが課題です。文春の記事は単発のパワーはとてもあります。1本の記事で1億PVを取るようなものも珍しくありません。ただ、サブスクリプションで定着してくれるかが重要になってくると、確かに巨大なスクープで一時的には会員を増やせるのですが、必ずしも長く契約してくれる読者ではない、という事がよくあります。

ですから、シリーズ物を作って欲しいというのは紙の編集部にはリクエストしています。また、記事のキュレーションのような事もしています。例えば、ウクライナ戦争、芸能界の性スキャンダル、日経新聞の内幕、など人気がある記事をまとめて訴求する事でコンバージョンし易いという結果が出ています。こうした手法は編集出身の自分ならではかもしれません。

あるいは「週刊文春 電子版」の中でも様々なフォーマットを試していて、話題の出来事については編集長コラムを依頼したり、報じている記者による音声番組をやったり、こういう中の人の声を届ける企画はとても人気があります。

―――記事以外でのマーケティングの取り組みはありますか?

大きいのは「スクープ予告」でしょうか? 「明日、こんなスクープが出るよ」というのを火曜日の夕方から告知をしています。サイトに訪れてもらえればフッターのオーバーレイでアピールをして、メルマガでも告知を送ります。

更に記事が公開されたら、メルマガで読めるダイジェスト版を送ります。ダイジェスト版は無料で読めますが、本文に巧みに誘導しますので、そこからコンバージョンしてくれる読者も増えています。

チャネルとしてはプッシュ通知も使っていますが、許可してくれている人全員に送られる性質があるので、コンバージョン率という点では劣ります。

―――かなり機動的な動きをされているようで、エンジニアの充実というのもデジタル成功の秘訣としてありそうですね

いまエンジニアの採用はどんどん増やしていて、非常に優秀な人が加わってくれています。先日はBunshun Tech ZEROという会社も立ち上げました。これは文春本体のルールに縛られず、エンジニアの方に長く働いてもらえるように作った別会社です。もちろん業務は編集部とガッチリと組んでやりますが、副業を認めるなど、自由な働き方が保証されています。noteさんの提携など、デジタルへの積極性をエンジニアの皆さんにも認めてもらっているようです。引き続きタッグを組んで、デジタルのグロースを実現していければと思います。

Media Growth Summit sponsored by Piano
・日時 2022年5月27日(金) 13:30~17:00
・会場 オンライン開催(Zoomを予定)
・会費 無料 ※要事前登録
・主催 Media Innovation (株式会社イード)
・共催 PIANO Japan株式会社
・備考 人数が定員に達した場合、早期に申し込みを終了する可能性があります

※本イベントは無料開催となりますが、Media Innovationの会員登録(無料可)が必要です

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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