ニュースの凋落と読者の分極化・・・ロイター研究所「デジタル・ニュース・レポート2022」を読み解く(1)

2012年から調査を続けているオックスフォードのロイタージャーナリズム研究所(RISJ)の今年度のデジタルニュースレポート(全164ページ)の2022年版についてご報告したいと思います。

まず、概要としてデジタルニュースの消費は昨年のパンデミックの時期より後退し、オンラインニュースの購買は横ばいになるだろうとの見解を示しています。また昨年見られた兆候として、米国、英国、ブラジルでのフォーカスグループへのアンケートとインタビューでは、富裕層はニュースにお金を払っているものの、その傾向は横ばいです。「支払いが比較的広まっている20カ国においては17%がオンラインのニュースの購買を行っており、」これは昨年と同じ数字に当たります。全体としてはニュースの購入あるいは閲覧を避ける(Avoid)傾向が強くなっており、2017年以降、ブラジル(54%)と英国(46%)で倍増し、他の全ての市場でも増加しています。

つまり「ニュースをたまにしか読まない、もしく頻繁には読まない “と答えた人の割合は、2017年以降、ブラジル(54%)と英国(46%)で2倍になり、その他の国すべてでも同様の傾向がある」と著者は書いています。米国では、増加幅は小さく、米国の回答者の42%が2022年に「ニュースをたまにしか読まない、もしく頻繁には読まない」と回答し、2017年の38%から上昇しました。

米国では、右派を自認する人は「ニュースが信頼できない」「内容に偏よりがある」と考えてニュースに反抗する傾向が強いものの、左派の人は「(違和感のある政治的)圧力を感じる」「無力感を抱えている」「ニュースが議論を引き起こしてくれるかもしれない」との気持ちから新聞に期待を感じているようです。

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前田邦宏
前田邦宏
メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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