【メディア企業徹底考察 #77】終活メディア鎌倉新書が大躍進、葬祭から相続への事業拡大が奏功

ポータルサイト「いい葬儀」や「いいお墓」を運営する株式会社鎌倉新書の業績が堅調に推移しています。2023年1月期第2四半期の売上高が前年同期比29.7%増の23億2,400万円、営業利益が同13.6%増の3億1,100万円となりました。 鎌倉新書は終活の基本ステップである葬祭やお…

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ポータルサイト「いい葬儀」や「いいお墓」を運営する株式会社鎌倉新書の業績が堅調に推移しています。2023年1月期第2四半期の売上高が前年同期比29.7%増の23億2,400万円、営業利益が同13.6%増の3億1,100万円となりました。

鎌倉新書は終活の基本ステップである葬祭やお墓を主軸として事業を展開してきましたが、相続や介護へと事業の幅を広げています。特に相続事業の伸長は目覚ましく、主力事業の一つとなる可能性があります。

日本の65歳以上が総人口に占める割合は、2000年の17.4%から2021年の29.1%へと急増。2040年は35.3%まで増加する見込みです。

※総務省統計局「高齢者の人口」より

鎌倉新書は市場規模の拡大という将来性は言うに及ばず、終活を核とした周辺テーマの囲い込みや素早い経営判断など、スタートアップ顔負けの事業展開、経営判断をしています。それが成果として実を結びました。

中堅企業のお手本ともいえる巧みな事業承継

鎌倉新書は1984年4月設立。当初は仏壇仏具業界向けの書籍を出版する会社でした。2000年10月にBtoCへと事業を転換。ポータルサイト「いい葬儀」をスタートします。2003年12月に「いいお墓」「いい仏壇」をリリース。そこから石材店と霊園探しの「優良墓石・石材店ガイド」、「樹木葬なび」、「納骨堂なび」、「終活情報局」などの終活にまつわるメディアを次々と世に送り出しました。

2020年6月からは金融の分野にも進出し、「いい相続」を開始しています。

鎌倉新書の成長をけん引したのが、代表取締役会長の清水祐孝氏。証券会社の勤務を経て、父親が経営していた零細出版社だった鎌倉新書に入社。出版業を情報加工業と定義づけ、ITへと事業を大きく転換させました。

鎌倉新書は2020年4月に社長の交代を発表。小林史生氏が社長に就任しました。小林氏は、楽天株式会社の国際戦略部長として活躍し、アメリカに8年間駐留。Rakuten.comの最高責任者も務めた経歴を持っています。2017年6月に鎌倉新書に入社し、2018年4月に取締役に就任していました。

清水祐孝氏 は、ITと経営に精通した人物を後継者として選んだことになります。このようにスマートな事業承継は、今の日本の中堅企業では珍しいでしょう。

2020年1月期までは2桁ペースでの増収が続いていました。2021年1月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で葬祭やお墓、仏壇などの需要が著しく減退。減収減益となりましたが、2022年1月期からは急回復しています。

■鎌倉新書業績推移(単位:百万円)

決算短信より筆者作成
※営業利益率の目盛りは右軸

2023年1月期の売上高は前期比30.7%増となる50億円を予想。強気の予想にも見えましたが、上半期の売上高が23億2,400万円で、進捗率が46%を超えていることを考えると業績予想の到達は難しくないでしょう。

なお、鎌倉新書はお盆の時期や死亡者数が多くなる12月-1月を含む下期の方が、上期と比べて売上は増加する傾向があります。


《不破聡》

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