AIによる記事制作が進む、Googleも気にしない?【Media Innovation Newsletter】1/16号

おはようございます。Media Innovationの土本です。僕らのAIはせいぜいBOTですが、無いと比べると生産性は格段に違います。では、今週の「Media Innovation Newsletter」をお届けします。

メディアの未来を一緒に考えるMedia Innovation Guildの会員向けのニュースレター「Media Innovation Newsletter」 では毎週、ここでしか読めないメディア業界の注目トピックスの解説や、人気記事を紹介していきます。ウェブでの閲覧やバックナンバーはこちらから

会員限定のコミュニティ「イノベーターズギルド」を開設しました。Discordにて運営しています、こちらからご参加ください

★アプリも提供中です → AppStore / Google Play

今週のテーマ解説 AIによる記事制作が進む、Googleも気にしない?

ChatGPTのような存在がメディア作りに大きな影響を与えるという考えた方が日に日に強まる中で、先進的なパブリッシャーは既に試行錯誤を続けています。最近話題になった例をお伝えします。

Red Venturesが買収したテクノロジーメディア、CNETでは、昨年秋からAIが執筆しているマネーに関するコンテンツを掲載しています。例えば、複利とは何か銀行口座なしに小切手を現金化する方法、といった75記事が現在までに掲載されています。

複利は大事だよーというCNETの記事。こちらを執筆しているのはAIだそうです

CNETのコニー・グリエルモ編集長は同誌のAI活用についての記事で、エンジンを「AIアシスト」と呼び、「AIは記事の下書きをしたり、一部の情報を収集する一方、(他の数千の記事と同様に)編集者によって編集され、事実が確認されています」と強調しました。

CNETは長年テクノロジーを活かした報道を行なってきたとして、AIの活用がどのように作用するか自ら実験をしていると述べています。AIがアシストする事によって、記者だけではカバーが難しい幅広い領域を取り扱うことに繋がるかもしれません。

一方、当該記事の著者が「CNET Money Staff」と単に表記されていて、リンクをクリックしなければAIによる制作だということが分からない状態になっていたことは批判も集めました。同誌は「CNN Money」に名前を変更し、「This article was assisted by an AI engine and reviewed, fact-checked and edited by our editorial staff.」という注記も記事に添える変更をしました。

同じくRed Ventures傘下の金融関係のメディアであるBankrateでもAIがアシストしたコンテンツの提供を開始しているようです。Red Venturesは多数のデジタルメディアをロールアップしている企業ですが、こうしたテクノロジーの共通化には価値がありそうです。

AIによるコンテンツはGoogleからも一定の評価を得ているようです。以前はAIによるコンテンツに対して否定的でしたが、軌道修正を図った可能性があります。

Googleの広報担当者はFuturismに対して、「私たちの目標は人々のために作成された有益で関連性のあるコンテンツを表示することです。ランキングチームは、コンテンツがどのように作成されたかではなく、コンテンツの有用性に焦点を当てています。こうしたアプローチにより人間が作成したものでも、自動化されたプロセスで作成されたものでも、検索に役立たないコンテンツを減らすことができます」と述べています。

AP通信がスポーツの結果や企業の決算情報を自動的に生成しているなど、他のパブリッシャーでもAIによるコンテンツ制作は一定の実用化を見てきました。ただ、こうしたコンテンツはテンプレートを穴埋めする定型化されたコンテンツに近いものでした。ChatGPTのように自然言語を生成できるAIエンジンの登場は全く違う世界を生み出すでしょう。

ただ、CNETの取り組みが物議を醸したように、誰が書いたのか、というのは読者の判断にも影響するものです。Press Gazetteに対して英国の通信社、PAの担当者は「読者を不安にさせるかもしれず、透明性は必要」と述べるように、積極的な開示をすることが読者にとっても検索エンジンにとってもフェアなことと言えるかもしれません。

今週の人気記事から Pianoがパブリッシャー向けのPMPを提供開始

国内でも多くのパブリッシャーに採用されているDMPを提供するPIANO Japanは、媒体をネットワークしたPMPの提供を開始しました。サードパーティクッキーの廃止が懸念される中、媒体間で収集するデータを共通化し、DMPに蓄積、そのデータを活用したPMPということになります。MIを運営するイードも参画しています。広告市況が厳しい中、どのように機能していくのか注目です。

1.スマートニュース、広告事業の認定代理店制度「SmartNews Ads パートナー プログラム」を4月にスタート

2.CARTA HOLDINGS、D-Marketing Academy社を完全子会社化

3.日本テレビと松尾研究所、放送業界のDX化に向け共同研究 AIを活用した視聴率予測など

4.Taboola、「現代ビジネス」ほか講談社運営の有力メディアと複数年の戦略的パートナーシップを締結

5.AlphaDrive、経営体制変更で共同事業「AlphaDrive/NewsPicks」を強化

6.「全部入りメディア」メタバースとAIの普及が進化を促進?・・・2023年のメディア業界展望(10)

7.PIANO Japan、パブリッシャー向けのPMPによる運用型広告で収益向上を支援する「Piano Publisher Hub for PMP」を提供

8.GameWithの2Q業績、PV好調とコスト低減で増収増益

9.「日経CNBC online」がリニューアル、投資・資産運用情報などの動画コンテンツが月額プランで見放題

10.凸版印刷、流通・小売業向けに集客効果を最大化させる「Print to Digital」を開始

会員限定記事から 文教堂の事業再生は計画通りに進んでいるのか?

今週のメディア企業徹底考察では書店チェーンを運営する文教堂を取り上げました。同社は2年半前に債務超過に陥り事業再生ADRを申請・受理されました。債務の株式化や利払い条件の変更、日販からの出資などを受けて経営再建に着手。徹底的な不採算店の整理などを進めてきました。再建は順調に進んでいるようです。2年半の歩みについて振り返りました。

1.【メディア企業徹底考察 #92】文教堂の事業再生は計画通りに進んでいるのか?

2.スタートアップ投資資金は潤沢だが、投資先は厳選、EXITは今は難しい・・・米VC協会調べ2022年の投資環境

3.メディア業界はどうサステナビリティを実現するか【Media Innovation Newsletter】1/10号

4.ロイター研究所「ジャーナリズム、メディア、テクノロジーのトレンドと予測 2023年」を読む

5.【メディア企業徹底考察 #91】キャンプ用品ECのミモナが新規上場、クラシコムよりも広告宣伝費を抑えている理由は?

6.極右・極左メディアから学ぶ、読みやすい政治報道・・・ハーバード・ケネディスクールの研究

7.「ゴースト新聞」が生んだ、でたらめ経歴の「うそつき」下院議員

8.アップル、AI制作のオーディオブックを販売開始・・・市場の変化を促すか?

9.メタ社、ターゲティング広告への個人情報データ利用で、3億9000万ユーロ(4億1400万ドル)の罰金

10.米アクシオス、「国内とローカルをつなぐ」ニュースハブを開設・・・地域拠点とのコラボを実現

編集部からひとこと

梅干しの消費量が20年で4割減となっているそうです(マネーポストWEB)。そもそも白米の消費量が落ちているという要因が大きいように思いますが、梅干しも高価になっていて日常的に食べられるものではなくなっているのかもしれません。我が家は子供たちが好きなので冷蔵庫に常備していますが、昨年は自分たちで漬けてみたら結構いい感じにできまして、なかなか楽しいなと思いました。お米大好き人間なので梅干し業界にも頑張って欲しいところです。

2,779ファンいいね
226フォロワーフォロー
2,463フォロワーフォロー

【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

最新ニュース

Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

関連記事