頼れなくなったソーシャルメディア流入、データから知る【Media Innovation Weekly】5/8号

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もくじ
今週のテーマ解説 頼れなくなったソーシャルメディア流入、データから知る
今週の人気記事トップ10 電通、将来トレンドを予測した「未来曼荼羅2023」を公開
会員限定記事から 「VICE」が破産間近か、若い世代に支持されたデジタルメディア
編集部からひとこと

今週のテーマ解説 頼れなくなったソーシャルメディア流入、データから知る

BuzzFeedがニュース部門のBuzzFeed Newsを閉鎖したり、英国の新聞社Reachがページビューの急減を報告したり、デジタルメディアにとっては悪いニュースが続きますが、両者が述べていたのはソーシャルメディアの変化です。パブリッシャーに巨大なトラフィックを運んできたFacebookやTwitterがニュースを重視しなくなり環境が変わってきました。

英国のPressGazetteが、Chartbeatのデータを引用して報じたところによれば、パブリッシャーの外部流入、検索、ソーシャルからのページビューにおけるFacebookの割合は、2018年1月には27%だったのが、2023年4月には11%にまで減少したということです。これはChartbeatがカバーする1350のグローバルなパブリッシャーから得られたデータで、実数にすると20億PVから15億PVという大きな数字の減少となります。特に落ち方は小規模なパブリッシャーで顕著だということです。

Facebookからのトラフィックは急速に減少している

PressGazetteはメディア別の推移の数字も公開しています。前述のBuzzFeedの場合、2020年4月から2023年3月で比較すると1400万強から120万弱まで9割以上の減少となっています。これはNewsではなくサイト全体の話ですが、こうした急激がメディアの命運を決めたという見方はあながち外れてはいないでしょう。その他のサイトの数字も軒並み急減という様相です。

特にBuzzFeedは大幅な減少に見舞われている

Facebookを運営するメタは、ニュース業界は「Facebookから多大な経済的利益を得ている」とするレポートを先日発表しています。これは世界中で、プラットフォーマーによるコンテンツ利用に対して適切な対価を払わせようとする動きを牽制するものですが、同社はその中でニュースの役割は「小さく、減少しつつある」とも述べています。またメタは、パブリッシャーに戻しているトラフィックが収益な大きな貢献をしていると指摘しています。

先日にはTwitterがパブリッシャーが記事に課金するためのシステムを導入すると表明しました。Facebookやその他のソーシャルメディアも同様ですが、メインのビジネスは広告であり、パブリッシャーにトラフィックを戻す(ユーザーを外に送る)のは、広告収益を減少させる要因になります。当初はコンテンツとしてニュースを優遇したとしても、成長して収益を追うようになったプラットフォーマーは自然と囲い込みを強化することになります。つまりFacebookやTwitterが今度トラフィックを沢山戻すような未来は想定し得ないということです。

一方、Ofcom(英国通信放送庁)の調査によれば、ソーシャルメディアで流通する映像の中で、ニュースコンテンツはハウツー、一般人からの動画に次いで3番目に人気があるコンテンツであることが分かりました。これはインフルエンサーによる映像よりも上位です。ニュースの需要は依然としてある、ただし表現方法、流通方法は常に変化をしている、ということを意識する必要がありそうです。

今週の人気記事から 電通、将来トレンドを予測した「未来曼荼羅2023」を公開

電通デジタルと国内の3社が共同で、2030年までに起こるとされるトレンドをまとめ、中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅2023」を提供開始しました。最新版では、「α世代の新しい価値観と教育」「週4日勤務制(週休3日制)の普及」「美容の“ハイパーパーソナライズ”」など21のテーマを追加して72のトレンドテーマを設定し、未来のビジネスに影響を与える予測される価値観やテクノロジー、社会動向を多角的な視点から紹介しています。どれも気になるテーマです。ぜひチェックしてみてください。続きを読む

1.国内電通グループ4社が2030年までの未来トレンドをまとめた「電通未来曼荼羅2023」発表

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3.博報堂「ミライの事業室」とOniGOが新マーケティングツール「Q-MEDIA」 併売データ分析、提携リアル店舗を活用した販促支援など提供

4.日本経済新聞社、生成AIの可能性とルールメイキングを議論する「生成AIコンソーシアム」を発足

5.デイリースポーツ案内広告社とACROVEが業務提携 ECソリューションの取引支援体制強化

6.jekiの車内サイネージ、オリジナルコンテンツへの関心は8割超え 「つい見てしまう」や「旬な話題」がキーワードに

7.ビジネスニュースメディア「Business Insider Japan」が無料会員機能をリリース

8.若年層とのコミュニケーションにはCTV広告が重要 ニールセン調査

9.NERD株式会社、広告費を自然を守るお金に変える「Save by photo」サービスをリリース

10.国内電通グループ4社が2030年までの未来トレンドをまとめた「電通未来曼荼羅2023」発表

会員限定記事から 「VICE」が破産間近か、若い世代に支持されたデジタルメディア

若い世代に支持され、尖った報道で日本でもファンが多い「VICE」が破産間近かとウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じました。かつては57億ドルの評価で資金調達を受けたこともあったデジタルメディアの巨人はどう躓いたのか、まだ成り行きを見守る段階ですが、デジタルメディアの厳しさを感じるニュースです。続きを読む

1.【メディア企業徹底考察 #107】LINEマンガの契約打ち切りで減収のメディアドゥに打ち手はあるのか?

2.「Vice」破産間近か、かつては57億ドルで評価されたデジタルメディアの新星

3.ペイウォールを撤去、100歳を迎えた「TIME」の方針転換【Media Innovation Weekly】5/1号

4.Twitter、メディアが記事ごとにユーザー課金出来る機能を提供へ・・・反転攻勢なるか?

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10.Z世代が「デジタル世界に求めるもの」とは? デロイトのメディア調査から

編集部からひとこと

ゴールデンウィークの長い休みから新しい一週間が始まります。皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか? 私は普段の休みの延長線という感じで、特別な感じでもありませんでしたが、ゆっくり過ごせたような気はします。5日間ある普通の一週間、ちょっとしんどい感じもしますが、なんとか頑張っていきましょう!

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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