日本経済新聞社は2019年から音声やポッドキャストへの取り組みを本格化しました。音声メディア「Voicy」を提供する株式会社Voicyとの業務提携により始まったチャンネル、「ながら日経」「ヤング日経」は中高年から若者まで、今まで新聞に触れてこなかったような世代にも利用されています。
若者の新聞離れ、ニュース離れが議論される中で、日経は音声メディアを活用する事で幅広い世代にニュースを届けようとしています。音声メディアを始める事によって何が起きたのか、これから何を目指していこうとしているのか。
「ながら日経」「ヤング日経」を統括する日本経済新聞社 デジタル事業デジタル編成ユニット 総合プロデューサー 村野孝直氏にお話を伺いました。
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目次
若い世代とのタッチポイントに
―――取り組まれている音声事業についてお教えください。
2019年1月に音声メディア「Voicy」を展開する株式会社Voicyと業務提携し、「ながら日経」と「ヤング日経」をスタートしました。「ながら日経」は、2019年7月から開始した事業です。これだけは知っておいてもらいたい、というニュースを5本以上選び、朝6時40分から放送しています。「ヤング日経」は2019年8月から開始しています。若い世代にとって役立つニュースを5本選び、夜9時から放送しています。「ながら日経」のフォロワーは4.7万人、「ヤング日経」はフォロワー1.2万人、と順調に人気を伸ばしています。それぞれの一日の平均再生回数は、「ながら日経」が4万人、「ヤング日経」が8千人程度です。
―――どのような経緯で始められたのですか。
実は「ヤング日経」は、音声より先にSNSで始まった企画でした。ニュースに親しみのない若者に向けて、記事を簡潔に要約した投稿でニュースを知ってもらおうという取り組みです。ユーザーから好評だっただけでなく、Instagramのページは「企業によるSNS活用の好事例」として、宣伝会議やFacebookから好評価をいただきました。
この高い注目度を活かし、このSNS投稿を日経と若者とのタッチポイントとして、より活用するべく音声でも展開しています。
現在、「ヤング日経」のツイッターはフォロワー数9千人、インスタグラムは2万人と多くのユーザーに見ていただいています。SNSの要約画面を20秒で音声解説するニュース発信の形は、ニュース収集に時間を割かないヤング世代にも、日経の読者になっていただく導線になると考えています。
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―――音声事業に取り組まれて2年ですが、振り返るといかがでしたか。