Media Innovationの2021年3月特集は「進化するサブスク」。今やメディアにとって最重要のビジネスモデルに位置付けられつつあるサブスクリプション。国内でもトライするパブリッシャーが増加し、今までのようにビジネスパーソンに訴求する以外のメディアも増えてきました。いまサブスクに起きている変化は、そして未来は、考えていきたいと思います。31日にはイベントも開催します!
グローバル・メディア企業であるコンデナスト。「VOGUE」「VOGUE GIRL」「GQ」「WIRED」といった強力なブランドを擁し、近年では大戦略としてコンシューマービジネスの拡大に力を注ぎます。日本法人のコンデナスト・ジャパンでも「WIRED」そして「VOGUE GIRL」でサブスクリプションのサービスを開始しています。
そんな同社でサブスクリプションのサービスを牽引するのが、メディアを「プロダクト」と捉えてアプローチするプロダクトマネージャーという役職だそうです。2つのメディアのサブスクリプションの現状も含めて、コンデナスト・ジャパンの牛木裕美氏と高橋努氏にお話を伺いました。
デジタルプロダクト統括 ディレクター / Director, Head of Audience Growth & Digital Product
2000年よりインターネットビジネスに従事。大手Web媒体でのデジタル広告プロモーションコンテンツ制作、Webサービス・広告・ゲームの制作会社での新規サービス、メディア、プロダクト開発、フリーランスなどを経て、2014年6月にコンデナスト・ジャパン入社、2016年より現職、『VOGUE JAPAN』『GQ JAPAN』『VOGUE GIRL』『WIRED』日本版、全てのデジタルメディアの統括としてブランドアセットを活かしたデジタルプロダクト開発、ソーシャルメディアマーケティングによりAudience Growthを牽引。
(右)高橋 努
マネジャー オーディエンスグロース/プロダクトデベロップメント / Manager, Audience Growth / Product Development
プロダクトマネージャーとしてコンデナスト・ジャパンに入社。2019年より4媒体のプロダクトマネージャーとデザイナーを統括し、プラットフォームのUX、オーディエンスグロースなどを担当。「WIRED SZ Membership」や「VOGUE Girl+」(ヴォーグガール プラス)のプロダクトの立ち上げを中心となって指揮。
目次
コンデナストのサブスクリプションを牽引するプロダクトマネージャーとは
―――お二人の肩書を見ると、日本のパブリッシャーでは余り見かけない「プロダクト」というタイトルがありますが、どういった仕事をされているのでしょうか?
牛木: コンデナスト・ジャパンではオーディエンスグロースとGlobal Product and technologyいう組織の中にプロダクトデベロップメントというチームがあり、そこに所属しているのが高橋などのプロダクトマネージャーです。
編集部が制作する優れたコンテンツに対して、リーチ最適化、ブランド価値最大化、といったマーケティング視点でアプローチする役割です。手法としてはWebマーケティング的な手段、プロダクト改善、提携やアライアンス、広告出稿まで非常に広い活動領域があります。
編集部がメディアをコンテンツとして捉えるのに対して、プロダクトマネージャーはメディアをプラットフォームプロダクトとして捉えて、短期、長期の両方の視点を持って成長のためのアプローチをしていく役割と理解していただければ良いと思います。
―――どういった人がプロダクトマネージャーとして向いているのでしょうか?
牛木: 要件は非常に難しく、サービスへの愛やコンテンツ理解がありながら、専門的なデジタル知識が求められます。デジタルマーケティングのバックグラウンドは必須で、コンテンツマーケティングもしくは開発のスキルのどちらかを求めています。
いまコンデナストには「Vogue」「VOGUE GIRL」「GQ」「Wired」でそれぞれ1名ずつのプロダクトマネージャーが在籍しています。それぞれ個性は異なりますが、高橋はUI/UXのプロフェッショナルとして高い専門性を持っています。
―――米国ではパブリッシャーにプロダクトマネージャーという肩書が増えていると聞きます。コンデナストではいつ頃から生まれたのでしょうか?
牛木: 私が入社した当初はウェブプロデューサーという肩書でした。その後に、以前在籍していたリクルートに倣ってメディアプロデューサーに変えました。プロダクトマネージャーという名称に変えたのは3年ほど前からで、実は本社にはそういう肩書はありませんでした。ただ、「プロダクト ●●」というタイトルを持った人が今では多数いて、非常に重要視されています。
プロダクトマネージャーはテック企業では花形で、文字通りプロダクト=サービス全般を取り仕切る仕事です。編集部はコンテンツ制作に優れていますが、それだけではテクノロジーをベースにしたメディアを成長させる事は出来ないと思います。編集部のやりたい事も含めて、プロダクトに落とし込んで成長を導くのが私達の仕事です。
グローバルでサブスクリプションに取り組むコンデナスト
―――「WIRED SZ Membership」そして「VOGUE GIRL+」とサブスクリプションの導入が続きましたが、どういった背景があったのでしょうか?