経済産業省は、デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、著名人や有名企業になりすます偽広告（以下「なりすまし型偽広告」）への対応について、Google、LINEヤフー、Metaの3社に聞き取り調査を行いました。SNS型投資詐欺の被害が急速に拡大している現状を踏まえ、これらのプラットフォーム事業者の対応状況を評価し、結果を公表しました。
FacebookやInstagramを運営するMetaに対しては、対応の不十分さや遅れなどが目立つとして特に強く批判しています。
アカウントの本人確認強化
なりすまし型偽広告を抑制するためには、広告主の本人確認が重要です。各社は本人確認の仕組みを設けていますが、そのタイミングや対象範囲には差異が見られます。
Google：本人確認のプロセスを厳格に実施しており、すべての広告主に対して一律に適用しています。特に新規広告主や、過去に不正行為が疑われた広告主に対しては、追加の確認手続きを行っています。
LINEヤフー：本人確認のプロセスは比較的柔軟であり、広告主の規模や過去の取引履歴に基づいて異なる手続きを適用しています。しかし、高リスクと判断された広告主には厳格な確認を行っています。
Meta：本人確認の範囲が限定的であり、多くの広告主が追加確認の対象外となっています。これにより、偽広告が出稿されやすい状況が続いています。
広告審査の強化
広告審査は、当初出稿時や内容変更時に行われ、各社ともに機械や人の目で審査を行っています。
Google：高度なAI技術を用いて、広告の内容を自動的に分析し、不適切な広告を排除しています。また、専門の審査チームによる二重チェック体制を敷いています。
LINEヤフー：地域ごとに専門の審査チームを配置し、各地域の文化や言語に応じた審査を行っています。特に日本市場向けには、日本語対応の強化を図っています。
Meta：広告審査システムは世界共通の基準に基づいて行われていますが、日本特有の悪質広告への対応が不十分です。日本語や日本文化に基づいた判断ができる体制が整っておらず、偽広告が見逃されるケースが多発しています。
広告監視の遅れ
Google：リアルタイムで広告を監視し、不正な広告を迅速に削除するシステムを構築しています。また、ユーザーからの報告に対しても迅速に対応しています。
LINEヤフー：ユーザーからの報告を重視し、報告された広告に対して迅速に対応する体制を整えています。特に、緊急性の高い報告については、優先的に対応しています。
Meta：ユーザーからの報告に基づく対応が遅く、偽広告が長期間表示され続けるケースが確認されています。この遅れが、被害の拡大を招いており、迅速な対応が求められています。
今後の取組
経済産業省は、なりすまし型偽広告への対応について、今後もモニタリングを行い、必要に応じて改善要請を行う予定です。また、被害を受けた広告主へのヒアリング結果も踏まえた上で、さらなる対策を講じる方針です。
今回の調査結果は、なりすまし型偽広告問題に対するプラットフォーム事業者の対応状況を明らかにし、特にMetaの対応の不十分さを指摘しています。経済産業省は引き続き、プラットフォーム事業者への監視と改善要請を行い、詐欺被害の防止に努める方針です。
