動画配信サービス「ABEMA」は、コンテクスチュアル広告をグローバル展開するGumGumと共同で、国内OTT初となるコンテクスチュアルオーバーレイ広告の実証実験を行い、高い広告効果が確認されたことを発表しました。
実験は2024年11月18日から12月1日にかけての2週間、ABEMAの人気恋愛リアリティーショー「花束とオオカミちゃんには騙されない」を対象に実施されました。番組内の旅行や休暇をテーマにしたシーンに合わせて、総合旅行サイト「エクスペディア」の広告を挿入しました。
実験の結果、エクスペディアに対するブランド認知度が広告非表示時と比較して151%に、興味関心が127%へと大幅に向上したことが確認されました。これは、広告が視聴者に自然な形で受け入れられ、ブランドメッセージが効果的に伝達されたことを示しています。
また、NTTデータが提供するクリエイティブ評価ソリューション「D-Planner®」のアテンション解析を活用した結果、広告が挿入されたエリアにおいて視聴者の視線が集中していることが明らかになりました。広告エリアの平均アテンション度合いは非広告エリアと比較して約4.8倍という大きな差が確認されています。
この結果は、コンテクスチュアルオーバーレイ広告が、映像の文脈に自然に溶け込みながら視聴者の注目を効率的に集める特性を持つことを示しています。視覚的な注目を集めつつ、視聴体験を損なわない設計は、新しい広告フォーマットとしてさらなる可能性を感じさせる結果となりました。
ABEMAは今回の実証実験を踏まえ、今後は関連性の高いシーンに対するプログラマティックな広告配信や、視聴者の属性や視聴環境などによって表示するオーバーレイ広告を出し分けるといった技術確立を視野に、コンテクスチュアルオーバーレイ広告の可能性を模索するとともに、商品化を目指すとしています。
この新しい広告手法は、視聴者のコンテンツ体験を損なうことなく広告効果を向上させることができる点で注目されています。従来の広告手法と比較して、より自然な形でブランドメッセージを伝達できる可能性があり、広告主と視聴者双方にとってメリットのある新たな広告形態として期待されています。
ABEMAは2016年4月にサービスを開始して以来、オリジナルコンテンツの制作やライブ配信など、従来のテレビの枠にとらわれないサービス展開を行ってきました。今回の実証実験は、革新的なアプローチの一環として位置付けられており、今後の動画配信サービスにおける広告のあり方に一石を投じる取り組みとなりそうです。
