ポーランドのユニコーン企業ElevenLabs(以下、イレブンラボ)は2025年4月14日、初の海外拠点となる日本法人「イレブンラボ合同会社」を東京に設立し、日本およびアジアパシフィックでの活動を本格化すると発表しました。
日本法人は、イレブンラボの最先端の音声生成プラットフォームを日本ならびに韓国マーケット向けに提供・サポートすることのほかに、プラットフォームのローカライズや日本語ならではの言語的・文化的な特性に対応していくことをミッションとしています。
今回の日本進出は、同社が2025年1月に実施した1.8億ドルのシリーズC資金調達に続くものです。グローバル成長戦略における重要なマイルストーンとして位置付けられており、日本は戦略的市場だという共通認識のもと、投資パートナーらも日本法人設立について支持を表明しています。
イレブンラボは、TBSや、NTTドコモがシリコンバレーに設立したグループ会社DOCOMO Innovations, Inc、韓国の放送局MBCの子会社MBC C&I CO.LTDnadot、韓国の翻訳・ローカライズ技術を持つテクノロジー企業LLSOLLUなどと協業を進めています。
TBSでは、世界的に有名なスケーターたちが特設コースで競い合う番組「KASSO」に、イレブンラボの音声吹き替え技術を活用。音声を多言語対応させることで、海外視聴者に臨場感溢れるコンテンツを届けています。
MBC C&I CO., LTD.も、商業向けのAI映像コンテンツ制作に、イレブンラボの音声合成および効果音技術を活用しています。MBC C&I傘下のAIコンテンツラボが制作した「Mateo」は、Korea International AI Film Festivalでグランプリを受賞し、「Art In the World」はNarrative(ナラティブ)部門で1位を獲得しました。
イレブンラボが持つ技術の強みは、各種言語特有の複雑さに対応できる点です。話し言葉には、ピッチアクセントや文脈による多様な表現など、音声AIにとって難易度が高いとされる課題が存在します。イレブンラボの生成AIは微妙な音声的特徴を的確に捉え、各言語の自然な話し方を再現しながら、実際のコミュニケーションに不可欠な感情表現の幅を実現しています。
イレブンラボ売上統括部門 ヴァイスプレジデント カルレス・レイナ氏は、「日本を初の海外拠点として選んだのは、豊かな言語文化、技術革新の土壌があるからです。そして私どもの技術がコミュニケーションの壁を越える架け橋となり、豊かな文化を守り未来へと繋げる力になると信じています」とコメントしています。
イレブンラボジャパン合同会社 Japan&Korea ゼネラルマネージャー 田村元氏は、「日本市場には、これまでの枠組みにとらわれない、音声AIならではの独自の可能性が広がっています。高齢化社会に向けたアクセシビリティの向上から、より没入感のあるエンターテインメント体験の創出とその多言語化まで、私たちのプラットフォームは、多様化する国内のニーズに応えうる力を備えていると確信しています」と述べています。