メディアプラットフォーム「note」を運営するnote社は6月17日、AI事業者への学習用コンテンツ提供を通じてクリエイターに新たな収益機会を提供する取り組みを8月1日から本格的に開始すると発表しました。
この新制度では、noteに投稿されたテキストコンテンツ（無料・有料記事、メンバーシップ特典を含む）がAI事業者の学習用データとして利用された際、その対価をクリエイターに還元します。画像や音声、動画コンテンツは対象外です。このシステムの稼働に合わせて、8月1日に利用規約を一部修正します。
クリエイターはコンテンツをAI学習に提供するかどうか、対価を受け取るかどうかを選択できます。初期設定は「参加する」となっていますが、データ提供を希望しない場合はいつでも設定変更が可能です。
「生成AIの学習に拒否意向を示す」を選択している場合は、対価還元プログラム参加の初期設定が「参加しない」となります。また、アカウント全体の設定とは別に、記事単位での参加・不参加も選択可能です。準備期間を設けるため、6月17日から設定ができるようになりました。
note社は、2025年2月から3回にわたって実証実験を実施してきました。第一回実験（2月25日～4月8日）では作品単位での還元モデルを構築し、第二回実験（4月21日～5月9日）では新たな評価指標を追加して対価算出ロジックの精度を向上。第三回実験（5月15日～6月2日）では生成AIの出力内容を分析しながら、還元の仕組みをさらにブラッシュアップしました。
実証実験には多くのクリエイターが参加し、「自分の創作活動が正当に評価されていると感じた」「新しい収益の可能性に期待できる」といった前向きな声が寄せられたといいます。
AI事業者から得た収益は、noteの運営手数料を差し引いた上でクリエイターに分配します。現在、具体的な分配ロジックを構築中で、確定次第改めて案内する予定です。提携するAI事業者は、技術の透明性・倫理観・法令遵守などの観点から信頼できるパートナーに限定するとしています。
note社のCEOである加藤貞顕氏は、新システムに合わせた利用規約の改定について「今回は、AI時代のあたらしい創作と報酬のエコシステムをつくることができるのではないかと考え、このような規約改定を行うことにいたしました」と説明しています。同社は今後もユーザーの意見を反映しながら、クリエイターがより創作しやすい環境づくりを進めていく方針です。
