株式会社オトバンクは、オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」における2025年(2024年12月1日~2025年11月30日)のオーディオブック年間ランキングを発表しました。同サービスは日本マーケティングリサーチ機構の2023年11月調査で、日本語オーディオブック書籍ラインナップ数No.1を獲得しています。
単品購入ランキング:人生の解像度を高める知的テーマが上位独占
2025年の単品購入ランキングでは、「思考」「お金」「哲学」など、人生の解像度を高める知的テーマが支持を集めました。
1位を獲得したのは『「悩まない人」の考え方――1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』(著者:木下勝寿、ダイヤモンド社)です。詐欺に遭って全財産を失っても「この20年以上、まともに悩んだことがない」という著者が、「出来事」「仕事」「他者」に一生悩まない最強スキル30を公開した作品で、2025年2月14日に配信を開始しました。
3位には『STOIC 人生の教科書ストイシズム』(ブリタニー・ポラット著、ダイヤモンド社)がランクイン。自己変容やストイシズムを扱ったタイトルが多数上位に入り、不確実性が高まる社会のなかで、内面的な安定や思考スキルを求めるニーズが一層強まっていることがうかがえます。
2位の『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』(スコット・ギャロウェイ著、児島修訳、ダイヤモンド社)や、7位の『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』(山口周、ダイヤモンド社)など、お金・キャリア・人生設計を見直す作品も人気を集めました。物価上昇やAIによる働き方の変化など先行きの見えづらい時代だからこそ、多くのユーザーが長期視点で人生を再設計することに関心を寄せているものと考えられます。
4位には『ベルリンは晴れているか』(深緑野分、筑摩書房)、9位には『屋上のテロリスト』(知念実希人、光文社)といった文芸作品もランクインし、幅広いジャンルが支持されています。
聴き放題ランキング:「成瀬」が2年連続天下を取る
聴き放題部門では、文芸作品の強さが突出しました。
『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈、新潮社)は、昨年に続き2年連続で年間ランキング1位というロングヒットを記録しました。本作は12名の豪華声優陣によって没入感のあるドラマ形式で制作され、成瀬あかりをはじめとする個性的なキャラクターたちを演じる声が「解釈一致で嬉しい」というユーザーの声も寄せられています。2024年本屋大賞受賞作で、デビュー作にして14冠を達成した話題作です。
さらに、同著者による『婚活マエストロ』が3位に入り、宮島未奈作品が2作同時トップ3入りという快挙も達成しています。三文ライターが婚活業界の「マエストロ」と出会う物語で、2024年12月13日に配信を開始したばかりの最新作です。
一方、2位の『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健、ダイヤモンド社)や6位の『幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』といった定番のアドラー心理学シリーズ、7位の『人は話し方が9割』(永松茂久、すばる舎)などロングセラーの学び系作品も引き続き強い人気を維持しています。
さらに4位『世界の一流は「休日」に何をしているのか 年収が上がる週末の過ごし方』(越川慎司、クロスメディア・パブリッシング)、5位『13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海』(田中孝幸、東洋経済新報社)など、実用×知的好奇心のカテゴリーも支持を獲得しました。
8位には『#真相をお話しします』(結城真一郎、新潮社)、9位には『ツミデミック』(一穂ミチ、光文社)、10位には『難問の多い料理店』(結城真一郎、集英社)と、エンターテインメント性の高い作品も多数ランクインしています。
オーディオブック市場の拡大続く
オトバンクによると、近年スマートフォンやワイヤレスイヤホンの普及で音声コンテンツの利用環境が急速に整ったことや、定額で様々な作品が聴き放題となるサブスクリプションプラン導入などを背景に、オーディオブック利用者が急増しています。現在、オーディオブックは紙、電子書籍に続く第3の書籍として広がりつつあります。
「audiobook.jp」は2007年より「FeBe」として配信を開始し、2018年3月にリニューアル。2025年には会員数が320万人を突破しました。聴き放題プランは月額1,330円(税込)で、初回2週間は無料で利用できます。
同社は500社以上の出版社と提携し、「聞き入る文化の創造」「目が不自由な人へのバリアフリー」「出版文化の振興」の達成を目指しています。耳だけで読書を楽しめるため、ランニング中、電車や車での移動時間、家事の最中など、生活のあらゆるシーンで「ながら読書」が可能です。
今回のランキングは、単品購入部門が2024年12月1日~2025年11月30日の期間中のダウンロード数、聴き放題部門が同期間中の再生ユーザー数を指標として集計されました。
