早いものでもう年の瀬。皆様にとって2019年はどのような一年だったでしょうか? 2019年1月にオープンしたMedia Innovationも最初の一年を終えようとしています。これまで10回の特集企画、13回のイベントを開催し、多くのメディア業界のキーパーソンを取材してきました。12月特集は「メディア業界2020年の展望」という事でこれまで登場いただいた皆様にメッセージをいただきました。

日本経済新聞は言わずとしれた日本を代表する経済紙であり、日本経済新聞社は有料のサブスクリプションを日本のメディア企業の中でも先陣を切ってスタートし、デジタルへの積極果敢な投資を進めています。2015年にはイギリスの有力紙、FTを買収し世界展開も進めています。Media Innovationでは2月の経済メディア特集でインタビューを掲載しました。

インタビューを受けていただいた山崎氏は現在、 編集局総務 ニュースエディター 論説委員 総合編集センター長を務められています。山崎氏に改めて、2019年の振り返りと2020年に向けての展望をお願いしました。

2019年はメディア業界、またご担当のメディアにとってどのような年だったでしょうか?

皇位継承と令和のスタート、消費税率引き上げ、ラグビーW杯など国内ニュースのほか、米中の激突や英国のEU離脱、香港デモといったグローバルな話題も相次ぎました。海外メディアや新興メディアがデジタルでどんな伝え方をしたのかを学ぶ題材にも事欠かず、報道機関としてもめまぐるしい年でした。

あらゆるメディアが舳先をデジタルに向けていることが一段とはっきりした1年でもあったと思います。米国大統領のつぶやきや市民によるリアルタイム災害情報など、ニュースの「自分発信」が普通になり、ニュースの共有スピードと賞味期限がどんどん短くなっています。デバイスの急速な多様化でテキスト中心、映像中心といったモデルは古くなり、新聞・テレビといった住み分けも意味を失いつつあります。それぞれのメディアが自らの再定義を考えさせられた年でした。

これからのメディアに求められること、直面する課題はどういったことでしょうか?

そうした中で、事実に迫る報道機関の役割や責任をかみしめる場面も数多くありました。誰もが発信できる時代だからこそ、メディアが提供する情報の価値を問われる場面が増えてくるはずです。とりわけ国家的、政治的な発信を冷静に監視する局面が増えてきたと感じています。

これからのメディアは情報を伝えるだけではなく、読者に「発見」を提供するミッションを背負っていると思います。長いあいだコンテンツの正確さ、速さ、広さ、深さを突き詰めてきたわけですが、これからはオリジナリティ(独創性)やスペシャリティ(特技)が問われる場面が増えるのではないでしょうか。読むだけでなく、見る聴く体験する。ここでしか得られない「コンテンツの引き出し」を増やしていかなければならないと考えます。

2020年に取り組みたいと考えていることはどういったことでしょうか?

2010年3月に日経電子版がスタートしてからちょうど10年。大きな改革を実施する年になります。コンテンツの高度化、使いやすさ、役に立つと実感できるデジタル媒体に進化したいと考えています。ユーザーが求めているコンテンツを届けるのはもちろん、求めていなかったコンテンツを届けて感謝されるというミッションも考えています。

ジャーナリズムの進化にも全力で取り組んでいきます。映像、音声、データ、AIなど、伝統的といわれたメディアでも日本でここまでやるという姿をお見せしたいと思います。

読者の方にメッセージがあればお願いします。

「メディアの再発明」を常に考えています。「デジタル」「グローバル」、それと「クオリティ」がわたしたちのあしたのキーワードです。

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