本記事はThe Conversationに掲載された、オーストリアのLa Trobe Universityで政治学とメディア学と哲学を専門とするAndrea Carson教授とオーストリアのUniversity of Melbourneで社会学と公共政策学を専門とするLeah Ruppanner教授とオーストリアのUniversity of Sydneyで政治学を専門とするShaun Ratcliff教授による記事「Trust in quality news outlets strong during coronavirus pandemic」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。
New York Timesは、今月世界中で600万人を超える有料購読者を獲得するという記念すべき日を迎えました。最新の調査によると、新型コロナウイルスの危機下でこの偉業が達成されたことは偶然の出来事ではないようです。
New York Timesの社長兼CEOのマークトンプソン氏は、定期購読者の増加を発表するにあたり、パンデミックは「報道機関や新聞が視聴者に対し、信頼できるニュースの価値を証明」したと述べました。
世界経済が停滞し新聞広告が枯渇したため、新型コロナウイルス危機の間、こうした発言は報道機関にとって大きな励みとなったでしょう。ここ数週間の広告の減少に伴い新聞のページ数が減ったことは、新聞の厚さにより目で確認できてしまうほどです。新規および既存の購読者がいなくなれば潰れてしまう状況の会社もいくつか存在します。
一部のオーストラリアの地方紙はすでに閉業しました。またある会社は広告収入の減少のために印刷工程を止めました。
パンデミックが起きる以前から経営難であったBuzzFeedは、オーストラリアとイギリスでのニュース事業の運営を終了すると発表しました。同社は、これから調査報告書の作成業務に重点を置いて、「世界中の購読者」に向けた記事を作る予定です。
オーストラリアだけでなく国際的に、新聞社が困難に直面しているにも関わらず、私たちの調査によるとオーストラリアではパンデミック中の情報源として報道機関が強く信頼されていることが明らかになっています。一方で米国では、どの党を支持しているのかによってメディアの信頼に偏りがあります。
米国研究センター、ラトローブ大学、メルボルン大学により行われたオーストラリア人1,000人とアメリカ人1,000人を対象とした世論調査では、コロナウイルス流行の際の情報源として、報道機関をどの程度信頼していたかを回答者に尋ねました。最高レベルの信頼を持つ人々は、コロナウイルスに関するニュースを見る際に質の高い大都市のメディアブランドを好む傾向にありました。
オーストラリア人の3分の2（68％）が報道機関を信頼しているのに対し、アメリカ人の割合は57％でした。
