リーチ数だけでは意味がない世界に、フジテレビ清水氏・・・メディア業界2021年の展望(2)

新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞き…

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新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞きました。「メディア業界2021年の展望」全ての記事を読む。

フジテレビの清水俊宏氏はニュースメディア「FNNプライムオンライン」やエンタメメディア「フジテレビュー!!」などの立ち上げや運営に携わっています。テレビ局によるデジタルメディアとして非常に存在感を高めている両メディアですが、清水氏は2020年をどのように振り返るのでしょうか聞きました。

清水 俊宏
株式会社フジテレビジョン総合事業局コンテンツ事業室副部長 兼報道局 兼広報局
2002年入社。政治部記者として小泉首相番などに従事したのち、新報道2001ディレクター、選挙特番の総合演出、ニュースJAPANプロデューサーなどを歴任。現在は『FNNプライムオンライン』(HTTPS://WWW.FNN.JP/)や『フジテレビュー!!』(HTTPS://WWW.FUJITV-VIEW.JP/)のチーフビジョナリストなどとしてテレビ局のデジタルコンテンツ戦略を推し進める。これまでNEWSPICKSプロピッカーやラジオ出演など社内外での活動も多数。

2020年はメディア業界にとってどのような年だったでしょうか?

各メディアが「全集中の呼吸」を習得した一年でした。取材に行けない、いつもの機材が使えない、普段のフォーマットにはまらないなど、新型コロナによる影響で、コンテンツ制作には大きな制約が出ました。一方で、正確な情報収集のニーズ増大や在宅率増加などもあって、メディアに求められる期待も大きくなりました。そうした社会的使命や意義、ビジネス上の理由などもあって、各メディアは工夫を凝らしながら情報を伝え続けています。

私が立ち上げたニュースメディア「FNNプライムオンライン」やエンタメメディア「フジテレビュー!!」などもそうですが、どのメディア業界でもコロナが猛威を振るう前から、取り巻く環境変化に対応するため、「コンテンツの作り方」と「届け方」の開発を続けてきています。

ただ、実際には、従来のモデルを急に変えることの難しさや日々の業務の忙しさなどから、変化が少しずつしか進まないという声もよく聞かれました。それが、2020年は従来モデルが通用しなくなったことで変革が一気に加速しました。

まだ既存の仕組みを置き換えることのみにとどまっている分野もありますが、「ユーザーの心理や行動の変化を的確に捉えれば、新たな需要や成長を見込める」という可能性を肌で感じた一年とも言えます。どのメディアもコロナ禍でも耐えられる「全集中の呼吸」を習得した状態なので、今後さらに大胆で柔軟な戦略転換をして伸ばすメディアが増えていきそうです。

これからメディアに求められること、直面する課題はどういったことでしょうか?

これからのメディアには「コミュニティを作る」という機能がますます必要になっていきます。

そのために必要なのが、

「1万人がとりあえず再生だけしたコンテンツよりも、100人が熱心に見てくれるコンテンツ」

「1万人のなんとなくのフォロワーがいるインフルエンサーよりも、100人の熱狂的なフォロワーがいるマイクロインフルエンサー」

です。

そうした存在をメディアとして抱えられるかが、今後の成長の鍵となります。「リーチ数のみを求めても意味がない」という空気はさらに広がっていくでしょう。

2021年に取り組みたいと考えていることはどういったことでしょうか?

2021年は「コンテンツを誰かと語り合いながら楽しむ」というトレンドが、ますます強まると予測します。友人と一緒にドラマなどをオンラインで楽しむ「ウォッチパーティ」のような形態がコロナ禍で広がりましたが、この流れは、コロナが終息したとしても遠距離恋愛などのニーズもつかんで成長していきそうです。

アマゾンプライムビデオでは、配信中の映画やアニメなどを最大100人でチャットしながら楽しめる機能のベータ版を会員向けにリリースしました。スマホ向けサービスでは「ピカブル」が、友人と声で会話しながら一緒にYouTubeなどの動画を見られる機能を無料で提供していて、若者の支持を得はじめています。

5Gの整備でXRや新サービスなど「コンテンツを語り合う場」も増えていきそうです。そうした時流に乗って、「コンテンツを誰かと語りたくなる仕掛けづくり」に挑戦していきたいです。

23日には今年を振り返るイベントを開催

Media Innovationが毎月開催しているオンラインセミナー「Media Innovation Meetup」ですが、12月はメディア業界の今年を振り返り、2021年の展望を語るイベント+オンライン飲み会として、12月23日(水)に開催いたします。

今年のメディア業界を賑わせたテーマとして「広告」「音声」「サブスクリプション」を特に取り上げ、アドテクスタートアップとして急成長する株式会社FLUXの平田慎乃輔CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)、音声広告事業に取り組む株式会社オトナルの八木太亮社長、ニュースレタープラットフォーム「theLetter」を運営する株式会社OutNowの濱本至社長に登場いただきます。

MIの運営メンバーからは株式会社コンテンツジャパンの堀鉄彦社長、株式会社メディアインキュベートの浜崎正己社長、株式会社イードの土本も参加します。去年のように海老会とはいかないのですが、悲しみを堪えつつ、激動の2020年を振り返る会にしたいと思います。ぜひともご参加宜しくお願いします。こちらから参加申し込み(無料)

■開催概要
名称: Media Innovation Meetup #22 2020年の振り返りと来年に向けての展望
開催: Zoomを使ったオンライン開催となります
料金: 無料(事前登録が必要です)

■スケジュール
19:00 開演
19:00~19:30 広告の部 ゲスト: 株式会社FLUX 平田慎乃輔CPO
19:30~20:00 音声の部 ゲスト: 株式会社オトナル 八木太亮社長
20:00~20:30 ニュースレターの部 ゲスト: 株式会社OutNow 濱本至社長
20:30~21:30 オンライン飲み会の部(※)~今年の振り返りと来年への展望
※ぜひ来場者の皆様もご参加くださいこちらから参加申し込み(無料)

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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