【メディア企業徹底考察 #5】赤字が続くC Channel、インフルエンサープラットフォームで大逆転できるか

3期連続で赤字を計上していたC Channelが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で更なる苦戦を強いられています。2020年11月24日に発表した売上予想を2021年1月20日に下方修正。2021年3月期の売上高は、従来予想から6.3%減の71億7,500万円と予想しています。これは主にメ…

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3期連続で赤字を計上していたC Channelが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で更なる苦戦を強いられています。2020年11月24日に発表した売上予想を2021年1月20日に下方修正。2021年3月期の売上高は、従来予想から6.3%減の71億7,500万円と予想しています。これは主にメディア事業の減収が原因です。

C Channelは2020年11月に本社を麻布十番から渋谷区青葉台のビルに移転し、経費削減に努めています。2021年3月期の経常損失は4億5,600万円で、従来予想よりも1億5,300万円赤字を圧縮していますが、赤字体質からの脱却はできていません。

■C Channel業績推移(単位:百万円)

そんな中、稼ぎ頭となっていたeコマース事業の中核子会社マキシムの株式を2021年3月に一部譲渡しました。これによってマキシム株の保有比率は100%から70.7%まで下がります。C Channelはeコマース事業への依存からの脱却を図り、インフルエンサープラットフォーム「Lemon Square」を中核事業に育てようとしています。なぜ、インフルエンサープラットフォームへの移行を急いでいるのでしょうか。背景には、原価と販管費が膨らんでしまう事業構造があります。

メディアからeコマースへと軸足を移す

まず、C Channelの事業内容を見てみます。

事業は大きく3つに分かれています。「C Channel」を軸として広告収入を得るメディア事業、アパレルやコスメ、美容機器などを販売するeコマース事業、アジア圏を中心として商品を販売する海外事業です。

C ChannelはLINEの元社長 森川亮氏が2015年4月に立ち上げたメディアです。F1層(20~34歳の女性)をターゲットとした美容・ファッションメディアで、早い段階から動画コンテンツを中心に据えていました。また、インフルエンサーの起用も早かったことが特徴で、ファッション雑誌を駆逐するのではないかと注目を集めていました。直近では動画再生数が月間最大1億回、Instagramのフォロワーが420万を超えるまでに成長。しかし、後述するように広告収入は思うように伸びていません。

目論見書より抜粋

2017年4月に神戸を拠点とする女性向けECアパレル企業のマキシムと資本業務提携を締結。その年の7月に森川氏が取締役に就任しています。このeコマース事業が会社を支えるようになりました。2021年3月期第3四半期の売上高は54億8,100万円。事業別売上構成比率はメディア事業が15.2%、eコマース事業が79.2%、海外事業が5.6%となっています。

創業当初は注目度が高かったメディアですが、広告収入は全体の20%にも届いていません。これは新型コロナウイルス感染拡大前の2019年3月期も大きな差はありませんでした。メディア事業の売上構成比率は18.7%(13億9,400万円)に留まっています。

■2021年3月期第3四半期事業別業績(単位:百万円)

決算短信より筆者作成

C Channelは、メディアとインフルエンサーを活用して自社商品の認知をF1層に広げ、事業規模を拡大していることになりますが、このことが利益が出にくくなる体質の原因となりました。

人件費の膨張が問題点の一つ

C Channelは仕入れ原価が膨らみやすいeコマース事業が主力となっていることに加え、マーケティングが最も難しいF1層獲得のために従業員の給料が高くなり、更にインフルエンサーの出演などによるメディア運用費用が嵩んでいる可能性があります。


《不破聡》

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