ロイター研、有料オンラインニュースについて調査・・・購読者はコンテンツの独自性や価格を重視

ロイター研究所は、有料オンラインニュースの購読者に関する調査結果を発表しました。ユーザーはコンテンツの独自性や質、価格を特に重視しているほか、購読者の大部分が来年も購読を継続すると回答したということです。

同調査はノルウェー・米国・英国の3カ国において、米国と英国では購読者4,000人、ノルウェーでは購読者2,000人を対象に実施されました。なお、この3カ国の有料オンラインニュースの普及率については、ノルウェーでは人口の45%、米国では20%、英国では10%が購読しているということです。

有料オンラインニュースへのアクセス

どのような有料オンラインニュースにアクセスする人が多いか調査したところ、3カ国とも単独のオンラインニュースにアクセスする購読者が最も多いという結果になりました。その次に多いのが、印刷版とデジタル版がセットになった単独のニュースサイト、次いでニュースキュレーションメディアとなっています。

ノルウェーでは、印刷版とデジタル版がセットになったニュースサイトにアクセスする人の割合が他国と比べて高く、現時点で購読者の20%が利用しています。米国では、Apple News+を中心にニュースキュレーションメディアが比較的多く利用されているとのことですが、現時点では単独のオンラインニュースと比較するとその割合は低くなっています。

購読するオンラインニュースの種類

[MMS_Paywall]

ユーザーは、大手オンラインニュースにアクセスする傾向があるようです。米国では購読者の半数以上がニューヨーク・タイムズもしくはワシントン・ポストにアクセスし、英国ではタイムズ(The Times)もしくはテレグラフ(Telegraph)にアクセスする人が多くなっています。ノルウェーは傾向が異なり、ヴェルデンス・ガング(VG)やAftenpostenなどの大手オンラインニュースの人気がある一方で、多くの人がローカル紙にもアクセスしているということです。

購読料を自分で支払うユーザーの割合

有料オンラインニュースにアクセスするユーザーの多くは、自分で購読料を支払っているということです。45歳以下ではこの割合は低くなるものの、45歳以上の大部分が自分で支払っています。

ユーザーが有料オンラインニュースを購読する理由

米国やノルウェーでは、多くのニュースサイトがペイウォールを導入していますが、英国では、ペイウォールを導入しようとするニュースサイトはまだ少数であるとされています。

米国と英国を対象に購読する理由を調査したところ、両国ともコンテンツの独自性と質を重視しており、購読者は無料オンラインニュースよりも優れた情報を得られると考えています。また、購読者の3分の1以上が特定のオンラインニュースを信頼していることが購読理由だとしています。米国では、仕事で成功するために購読するという人が多く(英国では3%であるのに対して米国では13%)、ウォール・ストリート・ジャーナルのような金融関連のニュースを購読している人の割合が多いということです。米国では、複数のニュースサイトが購読者獲得に向けて競合しているため、購読者は価値をより意識するようになっており、3分の1が購読の理由に「価値のある契約であるから」を挙げています。

ノルウェーにおいても、利便性や使いやすさに加えて、コンテンツの独自性が購読理由の上位にきています。同研究所は、レシピやクロスワードなど付加価値を生み出すような情報を掲載すると、他のニュースサイトとの差別化が図れ、購読定着率が高くなるとしています。

購読者の大部分が来年も購読を継続すると回答

自分で支払いをしている購読者の80〜90%が、来年も購読を継続する可能性があると回答しています。この数字は、ネットフリックスやスポティファイの購読者とほぼ同等の継続率を示しています。さらに、現在無料ニュースにアクセスしている人の約半数が、ニュースが有料化したら購読するかもしれないと回答しています。

こうした前向きなデータの一方で、無料トライアルの段階で購読しないことを決定したり、購読開始後に解約する人も多いということです。解約したユーザーのなかでも特に多いのが、価格への意識が高い若年層だとしています。

現在購読している人と過去に購読経験がある人の割合を調査したところ、英国では購読経験がある人の割合が10%であるのに対し、現在購読している人は9%でした。米国とノルウェーでは、現在購読している人の割合の方が多くなっています。同研究所は、購読者を増やすためには、購読経験のある人に再度購読を促すことと、新規購読者を増やすことの両方の取り組みが重要だとしています。

新規購読者を獲得する方法

3カ国の新規購読理由を調査すると、「購読をする理由がない」と回答した割合が非常に高い(米国では40%、英国では50%)であることがわかりました。その理由として、ユーザーの大部分がニュースへの関心が低いか、無料ニュースに十分満足していると考えられています。しかし、ニュースへの関心が高い傾向にあり、無料ニュースサイトが限られているノルウェーでは、「購読をする理由がない」と回答した割合は19%でした。

新規購読者獲得には、価格と利便性も重要な要因になるようです。ノルウェーでは、3分の1(30%)が「もっと安ければ購読するかもしれない」と回答し、17%が「1回の支払いで複数サイトにアクセスできるようになれば購読するかもしれない」と回答しました。また、ネットフリックスやスポティファイのように、家族内でのログインIDの共有制度があると良いという意見もあったようです。広告の掲載を控えることも重要な要素で、3カ国で14〜16%が広告がなければ購読すると回答しています。

有料オンラインニュース購読における懸念点

オンラインニュースのなかには、無料記事を閲覧するために読者に会員登録を求めるものがあり、ジャーナリストの多くはこれを構成な取引としていますが、なかには慎重に捉えているユーザーもいます。3カ国とも、会員登録することが公正な取引と考える人は半数に満たないですが、強く反対している人も同程度いました。そして、5分の1から4分の1のユーザーが「どちらともいえない」と回答しています。

ペイウォールを回避しようとするユーザーの割合

最後に、ペイウォールを回避するためにクッキーのリセットやブラウザの設定変更、専用のソフトウェアをダウンロードするなどの手法を用いているユーザーが全体の3分の1いたということです。

今回の調査データは、新型コロナウイスのパンデミック前に収集されたものですが、パンデミック以降、多くの報道機関でオンラインニュースを活用して収益を上げる必要があるという意識が高まったと考えられています。すでに一部のオンラインニュースでは、ペイウォールに関するメッセージを変更するなどの対策を取っているとのことです。オンラインニュースにとって、今回の調査結果で明らかになった課題に対していかに取り組みを進められるかがカギとなるで

2,779ファンいいね
226フォロワーフォロー
2,464フォロワーフォロー

【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

最新ニュース

Yuka Hirose
Yuka Hirose
ライター・翻訳者。大学で工学を学び精密機器メーカーで勤務ののち、2020年に独立。群馬県出身。

関連記事